22話
委員会を途中で終えると、図書室を出た。
そして、鈴木くんと一緒に帰路についた。
「なぁ、はるってさ、言えるんじゃん。自分の気持ち。」
『今日は初めてだよ。』
「それでいいんだよ。だから、もう、俺は必要ないな(笑)」
どうして。
私が自分の思いを言えるようになったからって、私は鈴木君に用はある。
私は、鈴木君のおかげできっと自分の思いを伝えられるようになったんだ。
きっと、鈴木君に出会ってなかったら、今頃。
そう思うと、鈴木君に何か、恩返しをしなくちゃいけない気がした。
『そんなことないよ。なんでそんなこと…。』
「俺は、お前が自分の思いを話せるようにしたかったんだ。お前が、俺の過去と一致してたから。」
『もしかして、鈴木君も。』
この時、私は驚いた。
鈴木君が自分の思いを話せてこれなかったこと、そんなこと、信じられなかった。
太陽のように明るくて、みんなを照らしてる鈴木君が、って。
「おう。でも、今はこうして話せてる。人って変われることを伝えたかったんだよ。」
『ありがとう。私のこと考えてくれて。』
確かに私は、変わろうとしてこなかった。
変わりたくない、という独特なオーラも放っていたかもしれない。
「なぁ、これまで、お前に付き合ったんだから、今度は俺に付き合えよ。」
『できることなら。私。何もできないかもしれないけど。』
「だからさ、俺をちゃんと、一人の男としてみてほしい。」
急に話が変わる。
鈴木君は男子。女子なわけない。
『えっ。鈴木君は男子じゃん。』
素直な気持ちが出てしまった。
その私を見て、鈴木君は、笑いをこらえられずにクスクスと笑っている。
「そういうことじゃなくて。ちゃんと見て。男として。」
『えっ?』
「俺は、お前のことが好きだ。」
私は、幻聴を起こしてしまったのかも、と少し焦った。
私は、人に好かれる性格なんかじゃないし、どちらかといえば、人に嫌われる性格だ。
だから、信じられなくてもう一度聞いた。
『えっ。』
「だから、す・き・だ。」
鈴木君が大声で叫んだ。
まるで、やまびこのように。
「ここまで言わせんなよ(笑)俺、恥ずかしいじゃん。」
『私だって恥ずかしいよ。』
「でもさ、これが俺達らしいかもな。不器用さとか。」
『だね。』
私はそう言って空を見上げた。
青く澄んでいた青空が、私たちの恋模様を祝福しているように見えた。
本当に大切なことは君が教えてくれたんだ。
君が変えてくれたんだ。
この空と、きっと。




