21話
「なぁ、嫌がっってんだから、お前らもやめてやれよ。」
図書室の本棚の陰から、鈴木君が飛び出してきた。
一緒になってからかわれるのかと思ったが、鈴木君は、私の見方をしてくれた。
女子「えっ!勇斗君見てたの?ひどいよ。」
女子たちは、大好きな鈴木君に嫌われるのが嫌だったのか、とっさに否定した。
いつも、この繰り返し。
私を助けてくれる人がいないことを知って、良い気になったのだろう。
調子に乗ってからかってくる。
「ひどいのはお前らだろ。お前らだって、何人もで橘をいじめてんじゃん。謝れよ。」
女子「悪いことなんてしてないよ。ただ、橘さんが委員会をさぼるから代わりにやってただけじゃん。」
女子は言い訳を止めない。
その言い訳は、すべて私が悪いような言い訳。
それでも、鈴木君も対抗して、私を守ってくれる。
そんな言い訳、信じる人しかいないと思ってた。
「いつまで言い訳してる気だよ。証拠あんだから、さっさと謝ったら?お前らに、橘の気持ちなんて分かんねぇだろ?」
そりゃそうだ。
私の気持ちなんて誰にも分かるはずがない。
自分でさえも、自分の気持ちが分からなくなる時だってあるのだから。
女子「一緒にしないでよ。これでもねっ、クラスの人気者ですから。橘さんみたいに陰キャじゃないもん。」
「はっ?橘は、みんなに好かれてるよ!違ったとしても、俺には好かれてるよ!」
女子「もういい。謝れえばいいんでしょ。ごめんなさい。」
「そんな謝り方ねぇだろ。」
鈴木君の怒鳴り声が図書室中に響いていた。
女子たちは撤退していった。
確かに、クラスで私は嫌われているし、陰キャということに間違いはない。
クラスに溜まっている埃のような存在なのだから。
『もういいよ…。ありがとう。』
「ごめんな。一人で抱えさせて。」
『一人じゃないよ。だって、こうやって、いつも支えてくれる人がいるから。』
頬が真っ赤に染まっていくのを感じた。
鈴木君も照れているのか、顔が赤くなっていた。




