20話
『やめてよ。』
…。
気付けば大きな声で叫んでいた。
これまで発したこともないほどの大きな声で。
こんなことを言ったのが初めてで、信じられない。
本当は言うつもりじゃなかった。
心の中に留めておくつもりだった。
言ったってどうせ変わらないことだし、悪化するだけだから。
だけど、思いを抑えることは出来なかった。
我慢をすれば、また前の自分に逆戻りしてしまうと思ったから。
でも、このまま耐え続ける自分は何があっても嫌だった。
人に嫌われても、自分がありたい姿でいられるのならそれでよかった。
きっとこの思いがこの言動になったのかもしれない。
自分の気持ちが言えたことは嬉しかった。
やっと変われたような気がしたから。
『ハイ』と言い続けた人生も無駄じゃなかったんだな、って思えたから。
『近道だけが人生じゃない。』
こんな言葉があるように、人生は遠回りの先にも、本当に奇跡や道があることが分かった。
これは実際に感じてみたから言えることだ。
今までは、人生において、名言など必要のないものだと思っていた。
そして、名言を当てにして生きていく人生にあきれていた。
『そんなことをするくらいなら努力したほうが良い』と、何度思ったことか。
だけど今は思う。
どうして人生を否定することしかできなかったのか、と。
人は成功から学ぶことよりも失敗から学ぶことのほうが多い。
いかに失敗を生かすことができるかに人生の充実はかかっている。
だから、常日頃から楽観的に考えることが大切なんだ。
部屋にこもったことで冷静になれたのだろう、考え方がいつもの状態に戻り、明るい未来が開けてきたかのように思えた。




