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この空と、きっと。  作者: 佐野はる
19/22

19話

あの時、自分の身体が自分の意志で動いていないような感覚になった。

自分のしたいことも分からなかった。

ただ、一つの指名に立ち向かっているような気持ちになった。


思っていたより学校には早く着いた。

そして、無我夢中で鈴木君を探した。

委員会のはずだから図書室にいるよね、と特に考えもせず図書室へ。

ほとんどの生徒は、部活か帰宅の二択になるため、校舎に残っている者はほとんどおらず、あたりは静まり返っていた。

しかし、図書室に近づくにつれて、声が聞こえてくるようになった。

すると、女子の笑い声が聞こえた。

でも、だからこそ鈴木君がいるんだと思った。

鈴木君の周りにはいつも鈴木君の友達がいたから。

だって、鈴木君はクラスの人気者なんだもん。


私は、図書室の中へ入って言った。

その時、少し嫌な雰囲気を感じてはいたが、鈴木君のことしか頭になかったため、特に気にすることはなかった。

嫌な予感は的中した。

そこに鈴木君の姿はなかったのだ。

あったのは、私をからかっていた女子たちの姿だった。

すると、嫌なことばかりがフラッシュバックしてきた。

だから、またからかわれるんじゃないかと思い、逃げようとした。


しかし、そこで女子に気付かれてしまった。

気付かれてしまったから終わりだ、と思った。

なぜなら、私は何も言い返すことができないから。

「はい」と言って逃げることしかできないから。


女子の目が怖かった。

その目は、今にも人を襲いそうな肉食動物みたいな表情をしていた。

私は抵抗なんてできるはずもなく、ただただその場に立ち尽くしていた。


女子たちは私に牙を向けてきた。


『勇斗を探しに来たのかよ。』

『勇斗とお前が釣り合うわけねぇから。』

『勇斗を振り回すのやめてよ。』


確かに妥当な主張ではあった。

私は鈴木君といれる時間に甘えていた。

私にとって鈴木君が大切な存在であったように、鈴木君にとっての私の存在も大切なものだと、勝手に決めつけていた。

鈴木君にとって私はどんな存在だったのだろう。

恋の湖に溺れて、周りのことを考えられていなかった。

しかし、妥当な主張だとはいえ、その心ない言葉は容赦なく、私の心に(とげ)となり刺さっていく。


私は嫌がらせを受けた人に対して、すぐに拒否反応を起こしてしまう。


今もだ。

無意識に一歩一歩と後ずさり。

やめようとしても身体が命令を聞いてくれない。


このままだと再び引きこもる生活が始まる、と思うと絶望する反面、嫌な人間と関わらなくていい、という嬉しい考えも浮かんできた。

だが、逃げてしまったら過去と何一つ変わらない私になってしまう。




もう、嫌なことから逃げ出す自分には戻りたくなかった。



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