14話
「ねえ。橘さん、図書委員代わってよ。」
『えっ?』
「勇斗君と一緒ならやろうかなーって。それに、橘さんは忙しそうだからさ。」
席について下を向いていると、委員会決めの時に『図書委員をやってほしい』と頼んできた女子が話しかけてきた。鈴木君と親しくなっていった私に嫉妬しているのだろう。
その女子は鈴木君のことが好きだという感情を隠しきれておらず、鈍感の私にも分かるほどだった。
それにしても、仕方ない。
鈴木君はクラスの人気者で、私はクラスの埃のような存在なのだから。
釣り合うわけなんてないし、からかわれることに関しても何も言えない。
なぜなら、この身分だから。
『いいでしょ!勇斗君は私のことが好きなんだよ。』
「でも、、、」
私は何も言い返すことができず、ただただ言葉を濁した。
何もできずにいた。
図書委員という仕事を失ってしまえば鈴木君との接点なんてないし、関わる必要性もなくなってくる。
そんなことを決めるだなんて私にはできない。
ただでさえ決めることは私にとって苦痛なのに。
そんなもやもやした気持ちをなんとか抑えられている時だった。
『はる!どーした?早く来ないと怒られるぞ!』
廊下から鈴木君が呼んでいる。どうやら、なかなか来ない私を心配して駆けつけてくれたらしい。
私はただただ教室から逃げたい一心だった。鈴木君は教室に入ってきて私の腕を引っ張ると無理矢理図書室へ連れていった。
この行動で誤解を招くことは分かっていたけど、今にも泣きだしそうになってしまったから抵抗はしなかった。
みんなに涙を見られたくなかった。弱い一面を見られたくなかった。




