12話
私は相変わらず思いを打ち明けられずにいた。
その中で唯一、鈴木君には少しだけ打ち解けることができていた。
全ての思いを伝えることは私の性格上不可能だけれど、少しずつ思いを伝えられるようになってきた。
その一方で、他の人間とは全くと言っていいほど、、。
考えることも嫌なくらい、伝えられずにいた。
「なぁ。俺のこと、『勇斗』って呼んでほしい。」
『えっ!?』
鈴木君は急にものを発するものだからビックリしてしまう。
一緒にいる時間が多くなっていってもそれは驚くことに変わりはなかった。
しかし、そんな鈴木君の一面が自然と心を開いていける理由なのかもしれない。
最近はそう考えるようになっていた。
『本当にいいの?』
「おうっ!」
『勇斗くん!って呼ぶね。』
『勇斗君』と言うと、恥ずかしくていたたまれない思いになった。
頬が真っ赤に染まって夕焼け色になったよう。
一緒に夕焼け空に溶け込んででも逃げたいような気持ち。
でも逃げられもはずなくて、仕事を続けた。
冷静に、心を落ち着かせようと決心した。
「俺も『はる』って呼んでもいい?」
『うん。』
最初からきっと下の名前で呼びたかっただけだろう。
だったら言えばよかったのに、なんてことも思ったがあえてそこには触れずにいよう。
きっと鈴木君も恥ずかしくて言えなかっただけだろう。
照れ隠しに、本を読むふりをしていたから。
恥ずかしくて、そして嬉しくて、その日は仕事が全く手が付かなかった。




