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グチャグチャでネバネバでドロドロ

日程 、五日目 。


行き先『金』世界。


「アー……ソレニシテモ モウ シュウマツダネ」


「…………」


「ソロソロ ボクノコト スキニナッテクレタカナ?(ハテナ)」


「…………」


「マフルチャン?(ハテナ)」


「…………」


「ナンデ ムシ スルノヨ」


「……いや、ってかキミはケイトくんなの?」


「⁉︎」


グチャグチャ、ネバネバ、ドロドロ。


形容すると、こんな感じ。アメーバーのような、スライムのような。


私はどこに顔があるのかもわからない、この物体Y(としか表現できない)に恐る恐る話しかけた。


「ナンテコッタ ボクダヨ ケイトダヨ⁉︎」


いやいや、こっちがなんてこったなんだけど‼︎


辺りを見回すと、『火』世界に似てると思うのは、砂漠のような一面砂地が広がっているからで。けれど、その砂が。


全部、金色‼︎


ベタだけど、金‼︎


眩しいくらいの、金‼︎


「デモコレ サキントカジャナイカラ オカネニ カンキンデキナイヨ」


「砂金だったら、ちょう金持ちになれるんだけどなあ」


「ザンネンネ デモ モチダシ キンシダカラネ⁉︎」


ここでケイトならウィンクしてそうだけど、目も鼻も口も見当たらないので、わからない。


こうしてみると、人間ってやっぱり目も鼻も口も必要なんだなあ。話し相手の表情がわからないって、結構キツイ。


けれど、嫌そうな(話しにくそうな)顔を見なくていいなら、これはこれでありなのかも。


ここでスライムケイトが、グニュグニュと動いた。


「ネエ マフルチャン ボクノコト スキニナッテクレタカナア?」


「……えっと、……うん」


「……ビミョウナ ヘンジダナア」


「だって、こんなスライムみたいな……」


「ガイケンハ カンケイナイ‼︎」


「お、おう、そ、そうだね」


「コンドハ ハグ デキルヨ」


ケイトはビヨーンと手のようなものを伸ばしてきて、私の首へと回した。


すると。


べちゃあっと身体にくっついてきて。


「わああああ、ネバネバするっっっ」


私が焦って手で避けようともがくと、ケイトがそのまま砂地に飛び降りた。というか、落ちた。


「ゴメンゴメン キモチワルカッタ?」


声のトーンが低くなった気がして、私は焦って言った。


「気持ち悪くなんかないよ。ちょっとビックリしただけだから」


「アリガトウ マフルチャン ヤサシイネ ボク マフルチャン ダイスキダヨ」


人生で初。こんな私を好きだと言ってくれて、こんな風に新婚旅行と称して、一緒に居てくれるだなんて。


絆されるって、こんな感じなのかも知れない。


「……ケイトくん、こちらこそ、アリガトウ」


「ハハハ イイカタガ ボクニ ニテキタネ」


ああ。


表情はわからなくても、ケイトが笑っているのがわかるよ。


こうやって、アンテナを伸ばしながら、人と話すんだね。


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