第八話 ケイトリンの楽しい一日
あらま大変な事になっちゃったね。
どうしよ。 普通に抜けてもつまんないし。
ああ、状況を書いてなかった。
私、ケイトリン=アールズデールは、両腕を上から吊らされて、裸になっている。
いや、裸ではない。
恐らく武器をとられたのであろう。 下着だけの私の隣には、反乱軍の制服が置いてある。
勿論、手を使えないので、取ることは出来ないが。
なんでこうなったのか。
それは、数時間前の事だった。
◇◆◇◆
私は夜、酒に酔って一人で帝国街まで出てしまったようだ。
そこでも大分呑んだ。
まるで商人のようにフラついて歩いてたら、帝国城に入っちゃって。
んで気がついたらここにいたってわけ。
大体、可愛いレディをこんなにエロい格好にして、しかも縛るなんて。 何がしたいのかな??
おっと、誰か来るぞ! 今起きた感じにしなきゃ!!
「んあ?」
「おはようございます。女騎士さん。」
「おー、おはよー! 君も女騎士だけどねー。」
「なんでそんなに余裕なんですか....?」
「いやだって、こんなの簡単に抜けれるし。 ホラよっ!!!っと」
私は腕力で腕を留めている金具を壊して、抜け出した。
「なっ.....」
「女騎士なめんなー!!! ペッ!!」
そして私は窓から外へ出ると、大事なことに気がついた。
「あっヤベ、制服きてねぇ。」
だから身軽だったのか。全く、私ったら、ドジなんだから!!
なんて気色の悪い劇を自分でやって自分で後悔して、また城の壁を登って窓から入った。
するとそこには服があったが、さっきの女騎士もいた。
「お前まだいんのー? もう私抜けたし、どっか行けば?」
「いや、抜けられたら困るんですよ! 私は殺されてしまいます!!」
んー。 実に困る。
あんまり長居すると、トモヤたちが助けに来ちゃうんだよなー。
「よしわかった!! じゃあ反乱軍こいよ!! 私もいるし、結構楽しいぞ?」
私は着替えながら言った。
「!!!」
彼女はびっくりしている。
「まあそんな起こるなって。 さ! 抜け出すぞ!」
「そんないきなり.....」
「ほら! 落ちろ!」
そういって、私は窓にいる彼女の尻を蹴った。
「うわああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
そして私も落ちる。
「まあ大丈夫だって。 下は水だから。」
バッシャーン!!!
と、水が跳ねて、私達は顔を出した。
「もう! 何するんですか!!」
「楽しかったな!」
「そうですけど...」
彼女は紅い髪を絞って、陸に上がった。
私も、陸に上がった。
「じゃあ基地へいこう!」
「はい!!」
帰りに、私は彼女に色々なことを聞いた。
「そういえば名前聞いてなかったなぁ。」
「アニー=ワトソンです。」
「いい名前だ。 私はケイトリン=アールズデールだ。 宜しくな!アニー!」
なんて話して帝国街を歩いていると、一人の男が現れた。
「俺がどれだけ心配したと思っている? アニー君を連れ去ろうなんて無理。 君には責任をとってもらおうか。」
「...!!!」
彼は私を公園の芝生に押し倒し、腕をしっかり掴んでいる。
「痛えよ!! 離せ!!」
私は叫んだが、彼は離さなかった。
そして彼はポケットから短刀を出すと、私の首に持ってきた。
「君、私とヤりたいの?」
私は彼を挑発した。
「貴様は我が帝国軍の大切な仲間を誘拐しようとした! だからここで死ねぇ!!」
「てか誰君。」
彼は質問に答えず、短刀を首に近づけてきた。
正直私はもう終わりかと思った。
しかし、終わりじゃなかった。
アニーが、助けてくれたのだ。
彼女は彼を倒して、私を立たせた。
「ありがとうアニー!!」
彼は混乱している。
「アニー...俺達、恋人同士だよなぁ....」
!!!
「違います。 ジェームズ、もう貴方とは会いませんから。 さようなら。」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
彼が絶望で発狂している中、私達は全力で逃げた。
「走れ!アニー!」
「走ってますよー!!」
何故だろう。アニーはとても足が遅い。
「しょうがないなぁ。 アニー、おんぶしてやる!」
「え、いいんですか..」
「ああ。 基地に行ったら、走る練習をしろよ!」
「はい!」
そして私たちは、大急ぎで基地に戻った。
「ふふふ。 かえってきたねケイトリン。 その女が誰か、あとどこへいたのか説明してもらおうか。」
喋ったのはトモヤだった。
「ごめんなさい! 私は普通に帝国軍に囚われてたの! でも自分で抜け出したからいいじゃん! 彼女は元帝国軍のアニー。 今日から仲間なんだ。」
そこに、トモヤの声が響く。
「帝国軍だとっ!! スパイだったらどうするんだ!! 戻してこい!! って言おうとしたけど、仲間になるんだったら大歓迎だよ。 でも帝国軍にはアニーさんが話つけといてね。」
「は、はい!!」
トモヤはアニーを大歓迎だった。
疑いもせずに入れた。
最初は私は不思議に思ったが、トモヤの考えはすぐにわかった。
彼女の嘘のない目。 声。 感情。
トモヤにはわかったのだろう。
「よぉし!! じゃあ今日はみんなで呑むかァ!!」
「もう、ケイトリン!! 今度は酔って帝国軍に行かないで下さいね?」
「おう!」
私は今日は飲み過ぎないようにした。
明日から頑張っていこう!
そう思って、カップに酒を注いだ。
酒をグビっと飲み干すと、楽しくなってきた。
その宴会は、明け方までずっと、続いていた。