4、謎の生徒会副会長 美月ルート
俺はクラスメイトの如月葉月に連れられて、生徒会を手伝う事になった。生徒会は会長の葉月と副会長の美月しかいない。もうひとり華月というのがいるが、バイトに熱心でほとんど現れない。
俺はいつも始業時間近くに来るけれど、今日はたまたま早起きしたので、生徒会室に寄ってみた。美月は生徒会室にいる。朝も早くから、生徒会室の掃除、洗濯、料理。って料理?生徒会室で弁当作っているよ。カセットコンロと包丁とまな板、わざわざ持ってきているのか。作っている弁当は二つ。何故? そういえば、美月って何年何組なんだ?生徒会室以外で見た事がないぞ。苗字もわからないし。
「おはよ~」
俺は生徒会室の扉を開けた。美月は俺に気づいて、びっくりした。
「どうしたの権兵衛さん、朝早くから」
「たまたま、早く起きたから」
「そうなの。お茶でも淹れるわね」
美月は弁当作りを辞めて、お茶を淹れた。
「ここで、弁当作るの? しかもどうして、弁当二つ?」
美月はビックとしたように見えた。
「これは……」
美月が言葉を濁していると、生徒会室の扉が開いた。
「ママ、今日のお弁当何?」
黒髪の男が入ってきた。何故か、私服のジーンズにワイシャツ。
「ちょっと、葉月ちゃん、学校にいるときは制服とかつらをかぶりなさい。それからママはやめてね」
「ママも制服で若作りするのもどうかと思うよ」
男は言った。
「そうかも、あ、油が飛んだわ。顔洗お」
美月は顔を洗った。
化粧の取れたその顔は、おばちゃんだった。
美月は葉月の母親だった。
苗字を教えてくれないのも、生徒会室でしか見かけないのも、この学校の生徒ではなく、侵入者だったのだったんだ。
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