1、幼馴染 さつきルート
俺は高校二年生となり、この町に引っ越してきた。鏡に映る俺を見ると、そこそこかっこいい。本来の俺はひきこもりで太っているのに、太っても痩せてもなくちょうどいい。これはいわゆるチート能力って事か。
俺の家は一軒家、周りも戸建てばかりの住宅地のようだ。両親は仕事に出かけてしまったので、俺は自室の整理をしていた。窓を開けてみる、隣の家との距離が近い、ていうか隣の家と同じ位置に同じような大きさの窓があった。隣の家の窓が開いた、やべ。現実の俺は高校を辞めてからずっとひきこもっていたんだ。人と話すのなんか、コンビニの店員くらいだ。俺は身を隠そうとしたが遅かった。
「あれ、隣に誰か来たんだ」
女の子の声、俺はおそるおそる顔を上げる、こういう時は、あいさつしなくては。
「隣に引っ越した、名無しです」
うわ、もっとまともな名前にすればよかった。女の子は俺をじっと見た。
「あー。権兵衛じゃん。すごい久しぶり! 私、わかる?」
俺は女の子を見てじっと考えた。そして思い出した。
「さつき、小さい頃よく遊んだ!」
これはLOVEagainの記憶だ。
「そうそう、じゃあ、再会を記念して」
さつきは木の板を取り出し、窓枠に乗せた。ってこっちに渡ってくる気か!
幼馴染テンプレ発動!おい!
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さつきとの昔話はつきなかった。俺と同じ高校だから、朝が苦手な俺の為に毎日起こしに来るってよ。ありがたい、でも窓から渡ってくるのはやめろ。
翌朝、さつきと学校へ行った。さつきは色々学校の事を教えてくれた。
幼馴染で小さい頃一緒に遊んでいたからか、感覚も似ているからかすぐに仲良くなった。毎日一緒に学校に行き帰りしているが、今日はさつきは委員会活動があるとかで一人で帰る事になった。帰り道は人気のない道を通る、俺は男だからあんまり関係ないけれど、女の子は大変だろうな。と思いながら通っているとすごんだ女の声が聞こえた。
「おい、金出せよ」
かつあげ? 今時? どうしよう、ここは男として止めるか、かつあげしている加害者も被害者も同じ高校の制服だ。
って・??・? かつあげしているの さつきだ。そんな奴だったのか……
バットエンド。俺の目の前にそんな文字が見えた。そしてそのまま、俺は意識を失った。
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