『岩城さんの「ぶつぶつ」』
これは、紛れもない真実である。なんてウソこくなよ。小説ってものはなぁ、全部が全部、ウソの塊なんだよ。
と言うわけで始まりました。非常につまらない小説。題名は『ぶつぶつ』。読めるもんなら読んで見やがれ。あれ? 読んで見やがれって、重複してませんかね。重複って、ずっと「じゅうふく」だと思っていたよ。ははは。うわ、間違ってないよ……。非常に詰まりませんね。これまでを読んで、読むのをやめた人は、いったい全国に何人くらいだろう。この文を読む人数は最低でも5人はいると想定したとしても、半分はあきれ返っているであろう。んん? 5人の半分って、2.5人じゃありませんこと? 2人はいいとしても、0.5人のほうは気になりますな。縦半分か横半分か。考えるのは脳みそだから、縦半分のほうに一票。でも、足は第二の脳といいますからね。もしかしたら、横半分で下のほうは足が、この文の、良し悪しを決めているのかもしれない。むむ、あなどれませんな、足。足と手はなんだか似ているものがあるので、手もものが考えられるかもしれない。この文を書いている私の手はいったい何を考えているのだろう。「ばかだなぁ、この文」とか考えていそうである。もしかしたら、この文自体を手が考えているのかもしれない。首の上にある脳は今休んでいる状態なのか。そういえば、テストのとき知っているはずなのに、どうしても答えが出てこないときがあった。ど忘れである。でも、テストが終わると突然思い出すのだ。これはきっと、テストのときは手で考えていて、終わったとたんに脳が目覚めたのだ。それで思い出したのだ。のだのだ。おお、そうだったのか。『ぶつぶつ』も役に立つな (最初の一文をよく思い出していただきたい)。と、こんな感じで小説は続いてゆくのだ。
小説と書いておきながらも、登場人物は今のところゼロ。当然ながら会話文もない (かぎかっこは一回使ったが、手が考えていることであった)。うん。一人くらいは、登場人物を出してもいいかなと考えるが、今のところ未定。……。よし、だそう。「岩城りく」にしよう。作者のペンネームである。と言っても、この『ぶつぶつ』の中では、岩城さんは作者本人ではないのであしからず。岩城さんは高校二年生という設定。高校では本ばかり読んでいる子だ。自分から人に決して話しかけず、話しかけられても、ぼそぼそと小さい声で話す。岩城さんには、こうなってしまったとても暗い過去があったのだ……。というわけではなく、元々こういう性格なのだ。という設定。岩城さんは、しょうもないことを、ぐだぐだと考えるのが大好きなのだ。手元に本がなかったら、図書館に行くのが日課。図書館が休みならば、学校で国語の本を読み始めているかもしれない。というのは極まれで、常に本を片手に学校の机に座っている──これが岩城りくなのだ。うむうむ。だんだんキャラクターが出来てきたぞ。さて、今から岩城さんの日常を書くことにしよう。
岩城さんは、今日日直だった。起立、礼と号令をかけなければならない。岩城さんは、人前で大声を出すのが嫌いの上に、号令が、なんだか命令しているみたいで嫌いだった。それなら、もう一人の日直に頼めばいいと、岩城さんは考えた。根が腐っているのである。だが、学校へついてみると、ペアの人は休んでいた。人生ってそんなもんさと、諦められるのが、岩城さんのよい所だ。だが、一週間ある日直の期間のうち、半分以上も休まれたときには、人生の厳しさを真の当たりにした岩城さんである。そんな岩城さんは、休み時間に黒板を消しているとき、手が滑って黒板消しを足の上に落としてしまった。人生の厳しさに涙が出そうである。黒板消しが終わって、自分の机に戻ったとき、岩城さんの手は真っ白だった。本が汚れるな。と、机の中から本を出しながら思う岩城さんであった。
岩城さんは、本を読むのが速くはない。遅くもない。いや、どちらかというと遅いほう。だが、常に本を読んでいるので、速いと思われがちである。はい、別にどうでもよい情報でした。
岩城さんは、コンピュータ部に入っている。本当は中学でも入っていた美術部に入りたかったのだが、高校に入るとき、面接でこう受け答えてしまったのだ。
「部活は何に入ろうと思っているのですか?」
「……コンピュータ部です」
どうしてそう答えてしまったのか。岩城さん、実は理由は分からない。岩城さんは商業科で、他の学科よりもコンピュータに触れる機会が多い、入試のとき、コンピュータに興味があると見せかけていたほうが、受かるのではないかと岩城さんは考えたと推測できる。まあ、そのおかげで、コンピュータを使うのが慣れたからいいか。と、岩城さんは思っている。だが、今現在、2年生の岩城さんは、部活に行ってない。他の2年の部員が行っていないからである。岩城さんは、みんなに合わせるような人ではない。現に1年生のときは同級生が誰もいなくとも、一人でコンピュータ室にいたものである。では、何故か。答えは、3年生が引退して、次期部長が2年生から決まるからである。部活動をしている2年生が岩城さんしかいなかったらどうだろう。顧問の先生は、いくら岩城さんが無責任野郎でも、仕方なく部長に岩城さんを、となってしまうのではないだろうか。だから、岩城さん、1年生の終わり頃から、部活には行っていないのである。最低の無責任野郎だ。では、誰がコンピュータ部の次期部長になるのだろうか。そんなこと岩城さんの知ったことじゃないのである。そんな岩城さんの血液型は、B型です。
ああ、なんだか『ぶつぶつ』とは、だんだんと離れていっているような気がする。まあ、当たり前である。この話に、プロットはないのだから。こんな話にプロットがあったら凄い。という訳で、最後もまだ決めていない。最初から決めていたものは、最初は「これは、紛れもない真実である」にしよう。というだけである。だったら、題名を変えたら? と岩城さん。作者の耳元でボソリ。作者に意見を言うなんて、岩城さんにしたら珍しいことなので、意見を尊重しよう。新しい題名は『岩城さんの「ぶつぶつ」』。二重かぎかっこの中にかぎかっこを入れるという斬新な題名にしてみました。
さて、始まりました。『岩城さんの「ぶつぶつ」』。今日の岩城さんはどんな具合なのか。実は、岩城さん、先日から風邪を引いていたのである。はじめに喉が痛くなって、頭痛がして、耳鳴りもして、鼻水ズルズル咳コンコン。「あなたの風邪はどこから?」と聞かれたら、真っ先に、「私は、のどから」と答えてしまうでしょうね、銀のベンザ。でも、岩城さん、こんな状態の時には何故か頑張ってしまう人です。学校を休まないどころか、体育も見学せずにマラソン3キロ走りぬきました。頑張ったね、岩城さん。ところがどっこい。終わった後、咳が出すぎて息が荒れて、しまいにゃ貧血起こす騒ぎになってしまいましたとさ。まったく、岩城さん。学校休んだほうがよかったんじゃないのかい?ってな感じで、岩城さんのネタは尽きないのである。とんでもないキャラクターを作ってしまった作者は、一体この話をどうするつもりなのだろう。
岩城さんは、高校に入って初めて、携帯電話というものを買ってもらった。機械を触るのが元々好きな岩城さん。最初は、いろいろ機能を試したりして遊んでいた。だが、すぐに飽きてしまう。そして、学校へ持っていくのも忘れてしまうほどにまでなってしまった。一度、「携帯」の意味を国語辞典で調べたほうがいい岩城さんであった。もちろん、メールはしないし、電話も家族と必要なときだけ使っていた。そもそも、岩城さんに友達は片手に数えるほどしかいないのだ。あ、そこの君、岩城さんに友達がいたことに驚いたことだろう。ちゃんと岩城さんだって高校生活をエンジョイしている……はずだ。そんな岩城さん、携帯の使用料金が基本料金をぬかして12円しか使っていなかったことには、驚いた。はて、この12円何に使ったのだろうか。と、考え込んでしまう岩城さんであった。
さて、岩城さん。この人、実は勉強が嫌いではないのだ。今まで書いてきて、かなり間抜けな一面を見せてしまったが、案外しっかりものなのだ。という設定。一番好きな教科は、化学と数学と情報。思いっきり理系な岩城さんは、漢検だって持っています。定期テストでクラス五位以下になったことはないし、学年二位にまでなったこともあるのです (うわ、凄い自慢だね。岩城さん) でも、岩城さん。英語は大の苦手。アルファベットの大文字小文字は書けます。ローマ字は分かります。という程度の学力しかないのだ。中学一年とき、「one」を「おね」と、ローマ字読みしてしまった過去を持つ岩城さんの一度行ってみたい国は、イギリスです。こんな学力をどうにかしようと、岩城さん。中学三年のとき、親に頼んで塾に行きました。でも、何の成果も挙げられぬまま、それなりの高校に進学して、得意な教科で点数を稼いでいるのです。あああ、やっぱり岩城さんの良い所が探しても見つからない……。
そんな、岩城さんにも、ちゃんと夢があるのです。それは、小説家になること。まあ、本好きが一度は夢見ることだが、岩城さん、彼女は本気です。小説だって、何遍も書いているのだ (途中で終わっているのがほとんどだけど)。出版社に応募だってしたのだ (見事に落ちたけど)。彼女の夢はきっと叶うことでしょう。なぜなら、これは小説だから。作者の思い通りになる話なのだ。ははは。最初の一文をよく思い出してほしいと書いて、この話は終わる。
ああ、ちゃんとまとまって良かった……。
お久しぶりです。葉崎です。
この話には、説明を加えなくてはいけません。
実はこの話。私、葉崎は一回も登場しておりません。この話には、2人の登場人物がいて、一人は、「岩城りく」として執筆をしている「作者」。もう一人は、「作者」が作った登場人物の「岩城さん」です。
もちろん、この話は私が書いたものですが、「作者」と葉崎は別人です。という設定なのです。
書いてみたら、思ったより複雑になってしまって、読みにくかったと思います。
こんな話に、感想、評価などがありましたら、一筆書いていただけると嬉しいです。
作者と岩城さんの話のストックはまだあります。ですが、もうこんなの書くなと評価が来たら次回作は書かない方針です。
それでは。