青虫。
僕は、青虫。
キラキラ輝く、太陽の下。
少し葉をかじって、頂上まで登る。
そこで、のたーっとひなたぼっこをするのが、僕のお気に入り。
今日は、なんだかうるさいなぁー…。
いつもやさしい農家のおじさんが、白いタオルで汗を拭きながら、一生懸命レタスの収穫をしていた。 いつもより、朝早いなぁー…。 「よぉ!!青んぼッ!!」
このおじさん、いっつも僕のこと、青んぼって言う。
名前は無いんだけどなぁー…。
僕の背中、ツンツンって触って、やさしい顔してレタスごと土から採った。
僕とレタスは、茶色の段ボールの中に入れられた。
たくさんのレタス。
おじさんは、段ボールごと、トラックの中に入れたんだ。
ガタゴト揺れる。
しばらくしたら、どっかに着いた。
真っ白い服を着た人間達が、ものを切ったり、お皿にのせていた。
いい匂い…。
気がついたら、僕とレタスはザルの中。
水が冷たい。
人間達は、レタスをゴシゴシ洗う。
僕は、レタスを一生懸命かじった。
はなれるもんかッ!! 僕は、真っ白いお皿の上。
レタスも一緒。
そのまま、お皿は運ばれる。
お皿がテーブルの上に置かれた。
たちまちつまみあげられ、暑いコンクリートの上に投げられた。排気ガスにむせながら、隅っこを歩く。 小さい女の子。興味津々に、僕をつまんで箱の中に。ツルツルしてる。外が見える。 呼吸がしにくいなぁー…人間が、何かを吹き付ける。
体が痛い。苦しい。息ができない。人間が…畑の持ち主が…殺虫剤をまいてるんだ。 どこを行っても、邪魔者扱い。緑が少ない。空気が悪い。住みづらい。 この地球は、人間だけの星じゃあないッ!!なのに、人間は、地球をこんなに汚して、住みにくくした。緑を減らした。僕たち虫だって、毎日毎日、排気ガスにむせながら、人間達におびえて、一生懸命生きてるんだッ!! この星に住んでるのは、人間だけじゃない!!動物だって、魚だって、僕たち虫だって…。毎日毎日、この住みにくい地球で、一生懸命生きてるんだッ!! 重たい体を引きずって、異常に暑くなった土の上をはう。 どこにあるか分からない、安全な居場所を求めて…。