拒絶
「死んでも嫌です」私はきっぱりと断った。いくら顔が良かろうと、私は騙されはしない。父の仇であるロシア、兄の死神のロシア。
「残念じゃの。だが、お嬢様、一人では生き残れないぞ。まあ、また来る」
*
私は部屋の中の大切な物だけ肩掛けに詰め込んだ。エレンナの寝顔に最後の別れを告げて私は夜の暗闇の中を歩いた。戦争はもう早くも半年も過ぎた。私は歩いた。操り人形のように歩いた。でも私は何故か身体から力がすうっと逃げた。めまいがした。筋肉質な腕が私を持ち上げた。
*
「しかし、マイケル、よく無事に帰ってこれたな。東はどうだった」
「貧しかったねえ。西の方が全然いいや」
「よくこんな短時間でライプツィヒからベルリンの西までこれたもんだよ。しかも女の子かついで。尊敬するよ」
「西?」私は呟いた。
「起きたのか」
「英語は話してくれないとナあ」
「Am I in the western side of Berlin!!Across the wall!!Who are you and what in God's name do you want!!」