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華の降る丘で  作者: 行見 八雲
第1章
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8.お城観光ツアーに出発!


 まあ、一通り挨拶が済んだところで、私のお城見学ツアーの話になった。


 とりあえず、迷子防止と案内にカクさんとスケさんが付いて来てくれるらしいんだけど………。



「俺も行こう。」


 と、何故かエル殿下まで同行すると言い出した。

 仕事があるのに、とハティさんが顔を顰めていますが。


 いや、私は「お二人が案内して下されば大丈夫です!」と、にっこり笑顔でお断りした。遠慮を装って。

 うん。殿下いると何か色々と気を使って面倒臭そうだし。


 それに、スケさんとカクさんと3人で歩くのって、何かわくわくする。ゴインキョ気分で。


 二人とも、タイプが違うけど、どちらも美形で非常に眼福だし、たまには少しぐらい逆ハー気分味わってみたっていいぢゃないか!






 な~んて、一人内心でうはうはしてたのに、やっぱりいるんですよ、殿下が。そして、何故かナディア様も。


 というわけで、今、中庭に面した城の廊下を、先頭にエル殿下、その後ろを私とナディア様、そして、その後にスケさんとカクさんという並びで歩いてます。


 

 主にナディア様が城のどこに何がある、みたいな話をしてくれて、それに纏わる話や成り立ちなんかをエル殿下が説明してくれた。


 こうして聞いてみると、エル殿下は非常に博識で、しかも説明も丁寧で分かりやすかった。ついでに声もよかった。


 いや、来なくていいとか考えてて本当にすみませんでした。

 とても優秀なイケメンガイドさんです。観光地にいたら、数百人の観光客に付きまとわれてそう。



 綺麗に整えられた中庭を見ていると、ふとあることに気が付いた。


 あう、これって、教えた方が良いよねぇ…。

 でも、教えて信じてくれるかなぁ。

 かといって、教えずにいて後々何かあったとき、後悔でうじうじしそうだし。



「………あの…、殿下……。」


 私は思い切って、前を行く殿下に声をかけた。

 殿下は足を止めて、私の方を振り返る。


「何だ?」

「あの、あそこに………」


 私はそう言って、中庭の上空の一点を指差した。


「えと、このお城って、全体に結界が張られてますよね?あそこに綻びが出来てます。

 できれば、宮廷魔術師の方に確認して頂いて、修復した方が………。

 そんなに大きな綻びではないですけど、小さな魔物なら入ってくることができそうですし。」


 おずおずと言った私に、殿下は驚いた顔をされ、


「お前、結界が視えるのか。」


 と聞いてこられた。なんか、お顔が不審げになってます。


「……ええ、何か、色々と視えるんです。」


 だって、仕方ないじゃないですか!視えるんだから!




 この世界に来てから、私は不思議なものが色々と見えるようになった。


 それは、今みたいな結界だったり、魔方陣だったり、魔術の構成式だったり。

 あとは、いわゆる精霊というものとか、ゆ……幽霊とか。


 そりゃあ、最初はパニックになりましたよ。目がおかしくなったか、頭がおかしくなってんじゃないかと、本気で不安になった。


 でも、何かと試してみた結果、確かにそれらはそこにあるみたいだから、私はただ“視える”能力があるんだということが分かり、ほっと胸を撫で下ろした。


 あ、でも、普段は感度を落として、あまり視ないようにしてます。

 だって、そこここにあるから、いちいち気にしてたら道も歩けなくなるので。




 じっと殿下を見上げれば、殿下は何やら思案顔になった後、近くを通りかかった侍女に何事かを言づけた。


「今、魔術師を呼びに行かせている。その者に確認させよう。」


 そう殿下は頷いた。


 おお良かった、一応信じてくれたみたいだ。


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