表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
華の降る丘で  作者: 行見 八雲
第1章
8/75

7.異世界のお名前事情。



 翌朝起きると、20代くらいの侍女さんが、部屋に入ってきて、身だしなみを整えるための支度をしてくれたり、朝食の用意をしてくれた。


 昨夜のことに関しては、ナディア様が夕飯に誘ってくださったらしいが、私が寝ていると伝えると、ならばそのまま寝かしてあげておいてほしいと言われたらしい。


 起こさなくて申し訳ありません、と謝られたけど、いや、もう昨日は色々と疲れてたから、寝させておいてくれて助かりました。


 後で機会があれば、ナディア様にもお礼を言っておこう。






 身支度を終え、朝食を食べ終わると、侍女さんがある部屋の前まで案内してくれた。


 侍女さんが扉をノックして用件を伝えると、中から騎士らしい鎧を着た人が開けてくれて、私だけ中へ通された。



 テニスコート1面が入りそうなほどの広い部屋には、壁に本がぎっしり詰まった本棚がいくつも備え付けられており、私が入ったドアの正面には大きな窓が一定間隔で3面ほど並んでいた。


 その窓の前には、重厚な大きな机がどんっと置かれていて、部屋の中央から少し横にずれた辺りには華美だが落ち着いた感じの応接セットが置いてある。


 その一つの、椅子に腰かけていたのは。


「ナディア様。お早うございます。」


 今日のお召し物は柔らかな萌木色なのですね。良くお似合いです。


 笑顔で挨拶をすれば、ナディア様も笑顔で返して下さった。


 おおお、朝から眩しい笑顔です!


 その場で、昨夜のことも謝ると、ナディア様は「疲れておいででしたのね。」と、こちらを気遣って下さる。


 いえ、旅の疲れではないんです!謁見の疲れだったんです!とは言えず、とりあえず曖昧に笑って感謝を述べた。



「良いか?」


 そう呼びかけられて顔を上げると、窓の前の大きな机のところに背の高い男性が立っていた。


 おお~、窓から差し込む光で髪がきらきらしてますよ。見事な金髪。群青色の上着が、すらりとした体躯に非常に似合ってます!


 はい、第一皇子様がいらっしゃいました!


 ………え?何でいるの??


 てっきり、お城観光のために呼ばれたと思っていた私は、思わぬ人の存在に、妙な不安が沸きあがった。



「俺は、シューミナルケア帝国第一皇子、エリュレアール・インフェリオ・デュ・シューミナルケアだ。」


 お……憶えられない!というか、私だったら、絶対フルネーム名乗れない!噛みすぎで口の中血だらけになりそう。


 しかし、エリュ………エル殿下は、まさに王子様然とした人だった。


 美術館で見た彫刻のように精巧に整った容姿に、輝く金色の髪。あ、殿下は、真夏の空のような真っ青な瞳だ。


 贅肉などどこにもないすらっとした長身。佇まいも堂々としていて姿勢もよく、立っているだけで気品が漂ってくる。


 おー!何か、小説とかに出てくる美形の王子様を具現したような人だ。かぼちゃパンツじゃないけど。


 伝説上の生き物に会った気分。ありがたや~(なむなむ)。



 次に、殿下の隣にいた人が紹介された。


 何でも、殿下の補佐をしている人らしく、殿下が皇帝になった暁には、宰相になる予定の人らしい。


 この人もすごい!紫がかった白銀の背中までの長さの髪を紐で一つにくくった、冷たい感じの美人さんです。………男性ですけれども。


 しかも、銀フレームの眼鏡装備!

 背も、殿下と同じくらいの高さで、衣装は白い文官服。


 名前は、ハティッド・ベレアス。


 見た目クールビューティーなのに、何か可愛い名前だな。ハティさん。



 それから、室内にいた二人の騎士さん。


 一人は、背は高いんだけど、童顔っぽい顔立ちの、赤毛の青年。気さくな感じで、にっこり笑顔で自己紹介してくれた。


 名前は、カークラント・オシフ。



 もう一人は、この室内にいる人の中で一番の長身。茶色の短髪で精悍な顔立ち。屈強な感じの細マッチョさん。


 スケイアス・レーサーというお名前らしい。



 この時点で、私は異世界のお名前事情にぶち当たった。


 あれですよ!え、この人の名前って、日本人的に言うと、あれじゃね?あの意味じゃね?みたいな!



 そう、お分かりだろうか!?この騎士お二人………!!


「すっ…スケさんとカクさんって、呼んでいいですかっ!!?」


 興奮気味で前のめりに問いかけた私に、二人は不思議そうな顔をしたが、カクさんは笑顔で「いいよ~」と言い、スケさんは無表情のままこっくりと頷いてくれた。


 おおおおおー!異世界すげー!本当にすげー!!まさか、こんなところであの伝説の名前が呼べるとは!!



「そして、ハチベエさ……………」


 くるっとハティさんの方を振り返りながらそう言えば。


「変な呼び方しないで下さい。」


 ………本が飛んできました。痛い。



 何か色々と空振りしてそうですが、生暖かく見てやってください。m(__;)m

 当小説を読んで下さっている方々、お気に入りに登録して下さった方々、本当にありがとうございます!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ