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華の降る丘で  作者: 行見 八雲
第2章
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4.自己紹介をしました。



 食堂に着いて、とりあえず、お互いに自己紹介をすることになった。



 大人数を収容するような食堂らしく、長い机に丸椅子がいくつも並べられている、その一角に私達は向かい合って座っていた。


 片側には、ボインの女性を真ん中にして、その両サイドに大山さんと小山さんが座っている。

 二人とも大きいから、一人が椅子二つ分のスペースをとってる。


 その向かいには、私とフードの人が並んで座っていた。


 これ、傍から見たら、ものすごく変な組み合わせに見えると思う。

 この三人を前にしてると、自然と体がちまっと丸まっちゃうんだよね。何とも言えない圧迫感を感じる。



 まずはこちらから自己紹介しよう、と、ボインの女性が名乗った。名前をリシャトリエ・トレノさんというらしい。


 そして、他の二人も紹介してくれる。


 大きなほうのお山さんが、ダンクス・トレノさん。

 名前で分かるように、ダンクスさん―――申し訳ないが、私の心の中では大山さんと呼ばせてもらおう―――と、リシャ姐さんは夫婦なのだそうだ。

 似たもの………というか壮観夫婦だ。


 この人に口説き落されてねぇ、と色っぽく頬を染めながらリシャ姐さんは、ばしばしと大山さんの腕を叩いていた。

 しかし、大山さんは表情を変えることも、びくともしなかった。

 この人がどうやってリシャ姐さんを口説き落としたんだろう。機会があれば、是非とも二人の馴れ初めを聞いてみたい。


 それから、小山さん、お名前は、トニゼッティ・ボランというらしいけど、もう小山さんで良いだろうか。

 実は、大山さんと小山さん、こんなに見た目も体型もそっくりなのに、赤の他人らしい。てっきり、兄弟か何かだと思っていたのに、びっくりだ。


 何でも、小山さんが大山さんに憧れ、大山さんを目標に日々努力をしているらしい。

 人間、目標って大事なんですね。ここまで近づくことができるなんて!

 大山さんと小山さんの身長差は、遺伝によるものか、小山さんが成長期だからか。

 是非とも頑張って、双璧ならぬ双山になってほしいものだ。夫婦山は無理だからね!


 それから、三人はパーティーを組んで、ギルドで色んな依頼をこなしているらしい。

 ギルドランクは、リシャ姐さんと大山さんがAで、小山さんはB。パーティーランクはAなのだそうだ。

 なんて心強い!



 と一通り紹介してもらったところで、フードの人がフードを脱いだ。自己紹介をするためだろう。


 その様子を横から見ていた私は、思わず目が点になった。

 え? だって、そのフードの下には………


「………仮面…」


 あ、つい口に出しちゃった。


 いや、だって仮面だよ! しかも、顔全体を覆うやつじゃなくて、顔の上半分を覆うような、滑らかな白磁の仮面なんだよ!

 私の頭の中を、某ロボットアニメの金髪の人や、美少女戦士のタキシードの人が通り過ぎて行った。

 ネタが古い? いや、前に、昔懐かしのアニメで見たもので、つい。


「何だ?」


 横からまじまじと見ていた私に気付いたのか、フードの人、改め仮面の人が不機嫌そうに聞いてきた。


「何で仮面?」


 いや、今日初めて会った人ですけど、この疑問を口に出してしまったのは仕方がない。


「顔を隠すためだろうが。」


 何を言ってんだ、と顔を顰められたけど。いやいや、だからって、………え? この世界では、これが普通なの??


「何だ、こっちの方が良いのか?」


 相変わらず、ぽかんと見上げている私に何を思ったのか、仮面の人は懐から今度は口元だけの仮面を出して、顔の上半分の方を取り外し、下半分の方を付けた。

 今のであなたの素顔分かっちゃいましたけど。


 う~ん、下か、下半分かぁ。

 これだと、単にマスクをしてる人に見えるような……もしくは、どこかの忍者かしら。白くて忍んでないけど。

 しかし、こういう仮面で顔隠してるの見ると、どうやって食事するのか、いっつもつい気になるのよね。


 まあ、とりあえず、私は上半分を進めときましたよ。

 あのまま日焼けしたらどうなるのかが、気になったからってわけでは決してない! 下半分の場合も見てみたかったけどね! 食事してるところも見てみたかったけどね!


 仮面を外した時に見えた彼の姿は、ふわふわ猫っ毛っぽいグレー混じりの白銀の髪に、濃いめのグレーの瞳。目元もちょっとネコ目っぽい。

 年齢は、私と同じくらいかちょっと下かも。幼い顔つきだったし。

 将来有望そうな、生意気そうな美少年でしたよ。

 仮面付けてると、目元が隠れてちょっと大人ぽくなるから………うん、身の安全のためにも仮面しときなさい。


 彼は名を、フェルと名乗った。

 まあ、仮面を被って正体を隠しているくらいだから、本名ではないと思うけど。



 彼に続いて私も簡単に自己紹介をした。

 旅をしてるってことと、フェルくんとは今日会ったばかり、って感じのことをね。



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