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華の降る丘で  作者: 行見 八雲
第1章
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2.旅の始まりです。



 タトリさんには、言葉では表せないほどの恩があったけれど、精いっぱいの感謝を伝えて、私はタトリさんの家を後にした。


 手にした荷物は、小さなリュックが一つ。護身用の武器は腰から掛けた。

 路銀は、タトリさんに学んで採った薬草を売ったお金が少しと、自分で作った魔石が数個――街でこれを売れば、けっこうなお金になる――だ。


 タトリさんの家の近くの町には何度か行ったけど、それよりも遠くへは行ったことがなかった。

 とりあえずは、国中の物や知識、技術が集まっている、この国の首都――帝都レーンコートに向かうつもりだ。


 目の前に広がる景色と、帝都へと繋がる道を前に、私は、僅かな期待と大きな不安と、そして少しのわくわくを抱きながら、大きく息を吸い込んだ。




 タトリさんや近くの町の人に聞いた話だと、この世界には三つの国と、その他の地域には国ではなく、色んな種族や民族が集落を作って暮らしているらしい。

 そして、世界の四分の一を占める大国が、私が現れたここ、シューミナルケア帝国だ。

 その他に、シューミナルケア国よりも小さな国、ツァラトゥス王国とテミズ教国があるらしい。シューミナルケア国内で帰る方法が見つからなければ、これらの国にも行くことがあるかもしれない。

 


 そんなことを考えながら、最初に立ち寄った大きな街でギルドに登録した。

 この国で、特に身分や学歴、資格が無い者がお金を稼ぐには、ギルドに登録するのが一番手っ取り早いらしい。

 それから、ギルドには色々決まり事があって、それを破った者には厳しい罰則があるから、ギルドに登録していると一種の身分証明にもなるようだ。


 私は、名前――カーヤ・ナツキ、職業――魔術師で登録した。

 ちなみに、格好は日本人の一般的装備の黒目黒髪。顔はまあ……普通だと思う。大学に入って直ぐの夏休みにこっちに来たから、まだ十九歳ね。

 今の格好は、髪は後ろで一つにくくり、チュニックみたいなシャツに膝下丈のパンツ、それに編上げのブーツを履いている。そして、上から薄い水色のポンチョみたいなのを被ってるの。

 こちらの世界では、女性はスカートが一般的なんだけど、農作業する人や冒険者なんかはズボンを穿いている人も多い。動き易さや安全性重視ってことね。


 ギルドに登録するにあたっては、一応、審査みたいなものはあったんだけど、私の武器を使ってみせたら無事合格をもらえた。

 ギルドには、登録者の実力によってランク分けがしてあって、それは上からS・A・B・C・D・E・Fとなっている。

 そして、ランクによって受けられる依頼も異なってくるみたい。

 さらに、依頼をこなしたり、魔物を討伐したりしながら、一定の条件を満たすと上のランクに上がれるとのこと。


 私は登録したての時はFランクだったけど、こつこつと依頼をこなし、Eランクに上がった頃にはある程度のお金も貯まったので、街を出て再び帝都へと向かった。


 この世界には移動手段として馬もあるし馬車もあるけど、それには何かとお金がかかるから、私は歩きながら移動していた。

 この世界に来てから身体能力も上がったみたいで、丸一日歩いてもあまり疲れないし、魔術があるので野宿も平気だ。

 だから、道沿いの村や畑、森や泉など様々な景色を見ながらマイペースに歩いていた。


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