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華の降る丘で  作者: 行見 八雲
第1章
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24.鬼の一声って怖い。


 エル殿下の執務室に戻ると、仕事をしていたらしいハティ様が顔を上げた。


 何か、まじめに仕事をしてるのがハティ様だけなんて………やっぱりこの国大丈夫ですか?いつかハティ様の国になっちゃいますよ!?と、殿下の胸元を掴んで揺さぶりたくなった。



 そして、やっぱり侍女さんの淹れて下さったお茶を飲みながら、私達はハティ様に事の次第を説明しました。


 うーん、ボスと現場―――別名下っ端―――のような状況な気がするんだけど。



 ちなみに、ヒューゴさんの様子のところでは、誰もが手にしたカップをソーサーに置き、目を逸らして口を噤んだ。


 いや、もうちらっとでも思い出したくないんですよ!


 一人でお風呂入れなくなりますから!目を瞑って頭洗えなくなりますから!



 そう言えば、やけにカクさんが静かだなと思ってたら、何故か苦行を乗り越えた修行僧のような顔でお茶を飲んでた。


 つまり、無我の境地ってやつね。全くの無表情無反応無記憶。


 わあ、ついに行くとこまで行っちゃったのね。でも、いっそそっちの方が幸せかも。




 さて、話はやがて、武器庫のある建物での、アイゼル妃とヒューゴさんの様子についての考察になりました。


「2人ともが、全くの無反応でしたよ。まるで、目の前に何もないみたいな。」


 私が首を傾げながら、その様子を口にすると、それまでじっと考え込んでいたエル殿下が口を開いた。


「もしかしたら、何か条件があるのかもしれないな。」


「条件、ですか?」


 つい聞き返してしまった私の目を、エル殿下は真っ直ぐに見返し、



「そう、例えば、2人が待ち合わせをした時間、とかな。」



 ―――低い心地の良い声が、ゆっくりと糸口を紡いだ……。




 と、まあエル殿下がカッコよく提案をしてくれたわけなのですが。


 そりゃあ当然に、「え?で、それっていつ?」ってことになりますよね。


 アイゼル妃に聞くわけにもいかないし、ヒューゴさんに聞くのも………いやいや無理でしょう!試してもいませんが。


 てなわけで、あーでもないこーでもない、え?これは?いや~ないない。ちょっとそれ取って。はいどうぞ。みたいな話を長々と繰り返した結果。



「昼間に駆け落ちを企む馬鹿がどこにいますか。恐らくは夜中でしょう。いっそ一晩中挑んでごらんなさい。」


 と、鶴の―――いや、鬼の一言で、私達は、バルールくんを連れて一晩中あの建物付近に待機することになりました。



 ふふふ、何かハティ様のキャラが出会った時と随分違っている気がするんですが……。鬼畜さ急上昇、鰻上りですが!


 え?なになにスケさん、そんな優しく肩を叩かないで。


 あ、あれが素なんですか?まああ、親しい人にしか本性を表さないと。それだけ仲良くなれたってことですか。わーい、うれしいなぁ……(棒読み)。



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