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華の降る丘で  作者: 行見 八雲
第1章
16/75

15.そうして濃かった一日が終わる。


 で、夕食も終え、さあ寝ようかと、私はエル殿下の寝室にお邪魔しました。



 毛足の長いふわふわ絨毯の敷かれた室内には、どんっと大きなベッドと、端の方に簡易ベッドが置かれておりました。


 何でも、わざわざ私用に用意して下さったのだとか。

 いや、お世話をおかけして本当にすみません。でも、ありがとうございます!



 と、感激しつつ簡易ベッドに入ろうとしたんだけど、エル殿下に止められた。


 え、もう眠いんですけど、と半ば閉じかけた目で殿下に顔を向ければ、簡易ベッドには殿下が寝るから、私はナディア様と殿下のベッドで寝ろと言われた。




 そうなのです。最終的に、今夜はエル殿下の寝室に、私、エル殿下、ナディア様、スケさんとカクさんが、泊まり込むことになったようです。


 まあ、ナディア様も一人で寝るのは怖いという理由でしたので、納得でしょう。


 しかし、スケさんとカクさんまでいるのは、きっと殿下の護衛のためだと思われます。私が夜中に殿下を襲わないようにってね。


 ふふふ、せめて危害を加えることを防止するための護衛であってほしいなぁ。―――あ、それだと、私が殿下に対する刺客だと疑われてるってことか。それも嫌だな。


 かと言って、アダルティな意味での襲うことを防止するためにっていうのは、もっと嫌な気がする。結局、私のさっきの精いっぱいの否定を信用してないってことじゃないの!


 男性を襲える度胸があるなら、元の世界でとっくに彼氏を作ってますから、私!



 でも、カクさんの理由は護衛より、確実に殿下の幽霊避け効果狙いですよね。


 しかし、幽霊相手だとあまり頼りになりそうもないカクさんだけど、対私用の殿下の護衛としては十分なのではなかろうか。


 ハティ様は自室でお休みらしいのに、スケさんは付き合いが良いなぁと思ってたんだけど。


 よくよく見たら、スケさんこの状況何だかんだで楽しんでますよね。

 無口無表情で分かりにくいけど、面白そうだ、って思ってるような気がします。




 で、ああ、私がナディア様と殿下のベッドに寝るように言われた件ですが、もちろん私はご遠慮申し上げました。


 皇女様とベッドを共にするなんて恐れ多いですし―――寝相で下敷きにしたり、ベッドから落としたりしたら恐ろしすぎる!―――、殿下を簡易ベッドに寝させるのも心苦しいです。

 もとは、私の我がままですし。


 なので、折角ですからご兄妹で一緒に寝られたらいかがですか、と進めてみたんだけど、二人そろって変な顔をされました。


 何でも、兄妹とはいえ、未婚の男女が一緒のベッドで一夜を過ごすなんて、外聞が悪いのだとか。


 うう~む、20代前半のお兄ちゃんのベッドに、10代半ばの妹が「怖い夢見たの」と枕を抱えて忍び込むのは駄目なのか。

 美形兄妹だし、ビジュアル的には全然有りなんだけどなぁ。むしろ眼福。


 あ、でもあたしも、あっちの世界にいる弟が、枕抱えて「怖い夢見たの」ってやってきたら、叩き出すな。キモすぎる。

 あれ?状況が違う??



 と、いうわけで、紆余曲折ありましたが、結局、私とナディア様が殿下のベッドで寝て、殿下は簡易ベッドへ、スケさんとカクさんは寝室の扉の前辺りで寝袋での就寝となりました。


 うーん、ベッドはフカフカだし、隣のナディア様からは良い匂いがするし。今夜は良い夢が見られそうだ!

 おやすみなさ~い。



 部屋の灯りが消されてから数分後には、私は眠りの世界へと落ちて行ったのでした。


 え?幽霊?あ、忘れてたわ。



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