表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/6

1話 プロローグ

 

 ■■■

 

 月の光も差し込まない館内、深い暗闇が廊下を覆っていた。

 

「……ハァ……ハァ……ハッ……」

 

 逃げ続けてどのくらいが経つだろう。

 呼吸を繰り返して喉奥が張り付きそう。途中で何度も咳き込みながらも、できる限り足音を立てずに廊下を走った。


「……ハァ……ハァ……アッ! ……ハァ、ハァ、ハァ!」


 足が重い。息が切れる。肺が潰れそうに痛い。

 

 視界の悪い状態ではまともに走ることすら難しい。

 方向転換する度に手や膝を壁にぶつける。

 

 先ほども勢い余って(したた)かに鼻を打ち付けた。

 鼻血が垂れる感覚を覚えたが、壁にぶつかった痛みより、今は大きな音を立ててしまったことに恐怖する。

 

 ————ペタ、ペタ、ペタ。


「ヒッ!」

 

 情けない声が漏れる。

 惨めな気分になって瞼が熱くなったが、今は走るしかない。


 今夜は茹だるような熱帯夜。

 いつもだったら自室でクーラーを利かせながらアイスでも頬張っているはずなのに、今の私ときたら()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「なんで……こんな目に……!」

 

 走りながら悪態をつく。

 こんなことを言ってもまるで意味がない。だというのに腹の内から沸きだす言葉を止められなかった。


 ————ペタ、ペタ、ペタ。

 

 背後から迫る、人のモノとも動物のモノとも違う足音。

 それが執拗に追いかけてくる。


 足がもつれる。息が喉でつかえて苦しい。もう限界が近い。

 鼻血が止まらず呼吸もままならない。

 もはや足を引きずるようにしか動かせなかった。


 それでも壁に手を当てながら廊下を曲がったのだが――。


 ――そこは行き止まりだった。

 

「……うそ」


 ——頭が真っ白になる。膝が笑って、その場に崩れ落ちそうだった。


 ――ペタ! ペタペタペタッ!

 

 足音が迫る。

 相手もこちらの弱り具合を感じ取ったのか、音の間隔が明らかに速くなった――。


 ——そして、私はその正体を双眸に収めた。

 ここまで読んでくれて、ありがとうね☆

 私たちの活躍を応援してくれる人は、☆やブックマークをしてくれると嬉しいわ!

 応援よろしくね!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ