百戦のwinning percentage
一条先輩は素直に頷き、大人しく俺について来てくれた。廊下を歩く間、お互いに無言。目的地にはすぐに到着した。途中、一つ手前の教室の中をチラリと覗いたが、もう誰もいないようだった。
ガラリと教室のドアを開ける。見慣れた2-2の教室は整然と席が並べられているだけで、残っているクラスメートは隣の教室同様一人もいなかった。いつもこの時間には、二郎の暇潰しに付き合う俺達しかいないのだから、いつも通りっちゃいつも通りだ。
それぞれの机の横にぶら下がっている物や机の中から食み出している物に見て取れる個性から、仮初の気配を感じられる放課後の教室。
俺は電気を点けると、すぐ腰元の自分の机を回り込みつつ、直人の椅子を俺の机の前まで引き摺った。
「どうぞ」
「ええ」
一条先輩が直人の椅子に座るのを横目に俺も自分の席に着く。
四月の第二週から大抵毎日、昼休みの間はほぼずっと、俺はこの構図で一条先輩を見てきた。
違うのは、周りに二郎や直人すらいない事と、休み時間の喧騒が無い事。
グラウンドから運動部の掛け声が遠く聞こえてくる、静まり返った放課後の教室で二人きり、俺と一条先輩は対面で向き合う。
「それで? どう決着をつけようって言う訳?」
偉そうに腕を組んで俺を睥睨する一条先輩。俺は淡々と返事を返した。
「勝負しましょう」
一旦息継ぎをして、はっきりと告げる。
「俺が勝ったら、もう、俺の所に来ないで下さい」
「…………、」
声を出すのを失敗しているように、一条先輩は何度も表情を変化させた。十秒掛かって、ようやく答えを絞り出すように返す。
「土日にじっくり考えようと思ってたから、まだ次の勝負何にするか決めてないわ」
「いえ……今回は俺が決めてもいいすか? 俺が仕掛けた勝負すし、いつも一条先輩に決められてばかりだから、たまにはこっちが決めないと不公平すよね」
今度の沈黙はさらに長かった。一条先輩は、目付きは尖っているが瞳は迷子に暮れて泣きそうな、不思議な視線を俺に注ぎ続けた。
俺は一条先輩が答えるまで、一秒足りとも目を逸らさなかった。やがて一条先輩がゆっくりと遅い動作で口を開いた。
「言ってみなさい」
俺も同じように間を持たせて答えた。
「ジャンケン。ただの、ジャンケンで勝負しましょう」
とても優秀な耳をお持ちの一条先輩なら、これだけで必要以上に理解できるだろう。
何せ、俺と宝さんの勝負を壁に隠れて一部始終聞いてたんだから。
それに、これまで先攻後攻決めジャンケンやジャンケンを応用した勝負なら幾度となくやってきたが、純粋なジャンケン一本での勝負はしていない。
「ジャンケン……」
一条先輩は口ずさむように繰り返した。目を閉じて、すーっと深く息を吸い、吐く。
ここで俺の立場がいつもの一条先輩なら、何か口答えされる前にすかさずあらゆる拒否権を剥奪するところだ。
だが俺は一条先輩の返事を静かに待つ。
初めて俺から仕掛けた勝負を、一条先輩が受けるか、受けないか。
そんなの、何も言わなくても決まっているからだ。
一条先輩が机に肘を突き、組んだ両手を額に当てる。机上で悩む格好で、一条先輩は口を開いた。
「気付いてなかったと思うけど、今日の昼休み、私は嘘を吐いたわ」
答えになっていない。
だが俺は咎めなかった。相槌も、先へ促しもしない。ただ、一条先輩を見詰めた。
俺が返事をしない気配を察したのか、一条先輩はぐっとさらに額に手を押し付けながら、
「本当は、勝負のネタ切れなんて、してなかった。二秒考えただけで、十個くらい思い付いたわ。いつも通りね。だから、いつもならそこからどれをやるか選ぶだけで良かった。――でも、次の勝負だけは、そんな即席で考えた勝負にしたくなかったのよ。……何でか分かる? 上園恭介」
問い掛けられても、俺は何も答えない。あまりにも波一つ立たない自分の心を感じながら、口を閉ざす。
俺の反応を窺うような十数秒が流れ、一条先輩は小さく嘆息した。それから語って聞かせるような区切り方で、
「次で、私とアンタが勝負し始めてから、丁度百戦目だからよ。こういう節目って、何か特別な事をしたいと思うのが、人情ってモンよね」
「…………」
「十戦目の時は、初めてこの教室から出て勝負をしたわ。バスケのフリースロー。アンタが覚えてるかは知らないけど……、それ以来たまに外で勝負するようにもなった。だから百戦目は、十戦目以上に初めてで、ちゃんと後に繋がる要素を取り入れたかった訳」
「…………」
「候補の中に、アンタに種目を決めさせるってのも、考えてたわ。でもアンタなんかに決めさせたら、どうせ考えるのに手を抜いて、私が以前仕掛けた勝負を持ち出すに決まってると思ったし、折角の節目をつまらない再戦で使い潰したく無かったから微妙だと思ってたんだけど、まさか、アンタから勝負をふっ掛けてくるとはね」
「…………」
「それもジャンケンだなんて……そうね。考えてみたけど、これ程次の勝負に相応しい勝負種目はないかもしれないわ。記念すべき百戦目でジャンケンって、なんか原点回帰って感じがするもの。それにジャンケン単体での勝負は、私とアンタの勝負じゃまだやってないわ。おまけに昼休み以外で勝負するのも初めて。まあジャンケンの方はたまたま、さっきの短髪のお蔭かもしんないけど。ふふん、アンタも中々分かってきたじゃない」
「…………」
「それで……、だから……」
喋りながら次第に俯き加減が深くなっていき、ついには頭を抱えているような体で、一条先輩は苦し紛れに呟く。
「ねえ、なんでこうなるのよ」
一条先輩が面を上げた。薄い唇を真一文字に引き結び、困惑に揺れる大きな瞳は一瞬だけ俺と目を合わせると、すぐに逸らされてしまった。
俺は答えない。黙り込んでただ見詰め返す。
一条先輩は視線を俺の机の上で無作為にさ迷わせながら言い募った。
「分かってるでしょ? 私、聞いてたのよ。聞こえてた。全部、聞こえちゃってたわよ。 アンタがあの短髪に憧れてたってことも、それなのに短髪の告白を断ったことも、……断った理由も……。っ、嬉しかったじゃない……嬉しくてっ、泣きそうになったのよ。私はアンタに疎まれてるって……本気で、そう思ってたから……。なのに、決着をつけるって言って……何で、こんな風になるの?」
初めて見る一条先輩の引っ込み思案な視線が窺う瞳で持ち上がる。
ジャンケンを申し込んで来た時の宝さんと、同じ目をしていた。
「教えなさい……いいえ、教えて。アンタ、本当は私とどうなりたいの? ……っ、“恭介”」
俺の名を呼ぶ瞬間の一条先輩は、俺が告白を断る理由の人が一条先輩かと尋ねてきた時の宝さんと、同じ表情だった。
フルネームではなく名前を呼び捨ててきた一条先輩の心境を、俺は理解できなかった。
ただ、この質問に対して酷く機械的に、答えが自分の口から滑り出たのは理解できた。
「聞いてたんじゃないんすか。それは、“勝負の行方次第”す」
声はとても冷たいものだったかもしれない。
これまで全戦圧倒的惨敗の一条先輩から、僅かに残されていた強気がみるみる消えていった。
「そう。そうよね……やっぱり」
消え入りそうな声でそう呟くと、一条先輩は一度鼻を啜って頷いた。
「いいわ。この百戦目のジャンケン、受けて立つわ。勝負よ上園恭介。私が負けたら、もう、二度とアンタの所には来ないわ」
俺はそれまで指一つ動かさなかった体をようやく動かした。
「じゃあ」
机の上で拳を作る。
一条先輩も、このジャンケンに本気を懸ける、という意味で普段との差別化を図っているつもりか、隠すように出す手を腰裏に引いてもう片手で包み込んだ。
しかし、両者そこから石化したように動かなくなった。
一目見れば分かる。
一条先輩は、受けるしか選択肢が無かった。そうやって今必死に自分を納得させようとしている。
つまり全然覚悟が決まっていない。
だが実際にその通りなのだ。
常日頃仕掛けられた勝負を受けないのならそれは負けと同義。そして敗者は勝者に逆らえない。そう声を張り上げてきた一条先輩だ。
そんな一条先輩本人が、もし勝負を受けなかったとして、さらに俺の言い分を却下できるのであれば、そもそも俺はここまで一条先輩の相手をしてはいなかった。
初めて宣戦に負けた場合を想定した言葉を使った一条先輩は、額に玉のような汗を滲ませて苦悩に表情を歪める。
それでも構えは解かない。勝負はもう受けてしまっている。俺が拳を引かない限り、一条先輩が構えを解くことはできない。
構えを解くとは、そのまま不戦敗を意味するから。
俺に隠している手を抱き締めるような恰好で、いつもの自信をどこかへ落としてきたかのような表情で、ふっと、一条先輩は弱々しく嘲った。
「この一月。粘ってみたけど……約束を約束で打ち消されたら、もう、私にも理由が無くなっちゃうわね……」
「珍しいすね。始める前から弱気なんて。ジャンケンなんて、どんなに弱くても一生勝たないでいる方が難しいっすよ」
「……っ、」
俺は思ったままを平坦な声で切り返した。
状況に信条を崩し掛けている一条先輩がぐっ、と眉間に力を籠める。
そこへ俺は抑揚もなく畳み掛ける。
「自信がないなら、棄権しますか。その場合、俺の不戦勝になりますけど」
「……、アンタは……それでいい訳?」
「それが、この勝負の結果なら」
一条先輩の表情が変わった。今度こそ、何か、決定的な答を突き付けられたような。
今日一日、俺の脳裏にずっと張り付いていた表情だった。
現実にそれを前にして、波一つ立たなかった俺の心に、ポチャンと波紋が広がる。
だが、仕方がない。
宝さんに誓って、俺が仕掛けたこの勝負を今更無かった事にはできないから。
本当は俺だって一条先輩のこんな顔、見たくなかった。
一条先輩にはいつだって、無意味に自信満々な笑顔で力強く胸張って、誇らしげに腰に手を当てて偉そうに大口叩いている方がお似合いだ。そしてたまに、悔しそうに目尻に涙を溜めながら嗚咽を堪えて、強がりに口を尖らせて不機嫌になっているのが――かわいいんだ。
――そう想ってしまったから。
俺は一条先輩と決着をつけなければならない。
ちゃんと、お互いに覚悟を決めた決着を。
「決着の前に、言っておきたい事があるわ」
一条先輩が今にも掠れて消えそうな声で言った。
俺は拳を示したまま微動だにしなかった。
一条先輩は抱き込むように隠している手を見ながら続ける。
「……散々迷惑掛けたし、説明責任よ。それに、あの短髪は手紙に色々書いて、アンタに送ったんでしょ? 聞いてた感じじゃ、そうだったけど。だから、私もアンタに色々話さないと、フェアじゃないわ。……アンタが、そんなのただの引き延ばしって言うなら、止めるけど……」
口先でもごもごするように言いつつ、上目で俺を窺う。
いつになく弱気だ。きっと、もしかしたら多分本当にこれで最後になってしまったら、宝さんと違って一条先輩は俺と二度と話をする事はない。
俺は頭の中で一条先輩の言葉を繰り返した。
決着をつける前に俺に伝えたいこと。
一条先輩にとっては、俺に送られた宝さんの手紙と同列の話。
一条先輩が決着をつける覚悟を決める為に必要なら、俺はそれを真剣に受け止めなければならない。そう思った。
だから俺は拳を机に降ろした。飽く迄硬く握って、戦意を示し続けたまま。
一条先輩は恐る恐るといった風に、それを肯定と受け取った。
「私の曽祖父はね、軍人の将校だったの」
切り出されたのは、一条先輩の唐突な個人情報だった。俺と顔を合わせずに、一条先輩は独白する。
「戦時中の日本じゃ、軍の将校がどれくらい偉かったのかなんて、私には想像もつかないし、陸軍だか海軍だかも忘れたけど、とにかく私の曽祖父は、日本軍の偉い人だったわ。戦争に反対してたらしいから、一番偉い人にはなれなかったみたいだけど、それでも偉くなるくらい、優秀だった。それで、本当は戦い続けるべきじゃないって、思ってたのに、自分が戦争しに行かないと、国の皆が外国の兵隊に殺されてしまうから、世界中でたくさん人を殺して、何度も戦いに勝ったわ。外国の有名な将軍なんかも追っ払ったって」
話し進めていく内に、段々と一条先輩の声が落ち着いてきた。片手を隠したまま、顔を上げて俺と真っ直ぐ目を見合わせた一条先輩は、とても透き通った感じの苦笑を零す。
「でも、最後に日本は負けた。そしたらもう曽祖父はただの戦犯。曽祖父に負けた恨みを持つ将軍がいた勝戦国側のどっかの国に出頭させられて、適当な非人道的罪をでっち上げられて銃殺刑にされたらしいわ。曽祖父と同じように人をたくさん殺した敵の将軍が、なんのお咎めも無く英雄扱いされてる国でね」
俺は思い出す。一条先輩との勝負に乗り気じゃなかった頃、一条先輩は俺に勝負を受けさせる為に、世界スケールの戦争や紛争をよく例えに出していた。
口答えしても結局強引に勝負を始めてしまうから俺は聞き流していたが、結果的にはあの言葉があったから俺は一条先輩との勝負を受け入れたようなものだ。
「当然曽祖父が処刑されたのは私が生まれるずっと前の事だから、私は実際に会った事がないし、こんな話を聞かされても、知らないどこか遠い場所の他人の話みたいな感じだったけど、その話を聞いて思ったのよ。結局、物事をきっぱり解決するには、勝負で白黒つけるのが一番確実なんだって。だって、負けたらいくら自分にとって理不尽な要求されても、文句なんか言えないもの。負けたんだから。そんな理由で納得するしかないの」
それが、一条先輩が勝負事に対して抱いている拘りのルーツ。
意見が対立した時に、最も分かり易くて手っ取り早く、後腐れても受け入れるしか無い、もしかしたら唯一絶対の解決法。
まるで、本物の戦争のプロセスその物だ。
「世の中ってそういう風にできてるんだなって。凄い小っちゃい時だったけどね。今ではそんな単純に出来てないって分かってる。けど――」
だが、俺は一条先輩がこの解決法を取る理由が、そんな物々しいモノには思えない。
何故なら、一条先輩は弱いからだ。
あらゆる勝負に於いて、一条先輩はとんでもなく圧倒的に最弱だからだ。
一条先輩の言い方は、この解決法が、自分の意見を引っ込める為の、絶対的な言い訳を与えてくれる一番確かな方法だと、言っているように俺には聞こえた。
それに、
「小っちゃい頃からずっとそうやってきたから、私はアンタを彼氏にしないといけなかったのよ」
そう告げた時の一条先輩は、淡く微笑を浮かべていた。
負けたから仕方なくそうしてた、と言い訳しているようで、負けたお蔭でそうする言い訳ができた、と喜んでいるような。
相槌も返さない代わりに口も挟まない俺へ、一条先輩は話を次に持っていく。
「でもあの短髪には悪いことしちゃったわね。私さえいなければ、泣かずに済んだのに」
瞬間俺の頭を屋上での出来事が高速で駆け巡った。最後まで俺に涙が流れる所は見せなかった宝さんは、もしかしたら階段の所で一条先輩に御辞宜をした時、泣いていたのかもしれない。なんとなくそう考えた。
去り際の表情の見えない横顔を思い出すと、気持ち目が伏せってしまう。
宝さんの話題に入ると、一条先輩の声は普段の調子とは真逆な涼やかさを帯びていた。
「彼女がいれば奪い取ってでも、なんて話ではあったけど、それらしいのが全然出てこなかったし、その辺は安心してたというか油断してたというか……なのに今更あんなことになるとは思ってなかったわ」
と言ってから、一条先輩は思い返したように首を振ると、「違うわね、だって……」と直前の言葉を否定した。
「私にとっては今更出てきたアンタの身の回りの女でも、アンタと短髪から見れば急に出てきたのは、私の方……」
決定的なディスアドバンテージを確認するように言い直した一条先輩は、寂しげに肩を落とした。
そして、
「火曜にあの短髪を見た時、すぐに分かったわ。あの子がアンタを意識してるって。だって、始業式の日にご老人を助けてたアンタの隣で、ずっとアンタを見てた子だったもの」
続け様に呟かれた言葉に、手紙と同列なら一方的に聞き届けようと意識していた俺も、思わず眉を顰めて口を挟んでしまった。
「いたんすか? あの時、一条先輩も」
「真正面にね。反対のホームで、アンタが走り寄ってくのを突っ立って見てたわ」
一条先輩ふっと微笑を浮かべて、淀みなく答えた。嬉しさともどかしさのどっちとも取れる微笑みで、その頬にさっと朱が差す。
「……ちょっと、カッコ良かったって思っちゃったわよ。あの老人の近くには他に結構人がいたのに、遠くからわざわざ走ってくるもんだから……それが全ての元凶だった訳だけど」
最後の一言は、いつものような憮然とした発音だった。一周回ってようやく一条先輩に戻ってきたかのようだ。
そんな一条先輩を見続けながら、俺もいつもの自分が戻りつつあるのを心の動きから感じていた。根本的な何かが氷解していく気分だった。
何故俺の所に来たのか。いつかに一条先輩に訊いた時、一条先輩は俺が表彰されたあの日の朝礼はただのきっかけに過ぎないと言い、実際は勝負に負けたバツゲームで英雄扱いされてた俺に交際を受け入れさせなきゃならなくなったからだと答えた。当時うんざりしていた俺は一層憤慨した覚えがある。
が。今思えば、何故彼女がいるなら奪ってでもなんてシャレで流せない話になったのか、という一番最初の部分が謎のままだったのだ。
「私の友達でね、バイト先に気まぐれに来る客が気になってるって子がいるの。で私が、アンタが朝礼で表彰された日に、実は現場で見ててちょっと、その、カッコ良かったって話をしたら、私が男子をそういう風に言うなんて珍しい、試しにアタックしてみるべきだ。とかいう話になっちゃって、それで、私とその子で、私が負けたらアンタを、その子が負けたらその客を、彼氏にしてみるっていう賭けで、勝負したのよ。…………負けたけど」
それ、その友達が一条先輩を踏み台に、自分が一歩踏み出す勇気を得る為に持ち掛けた勝負じゃないすかねえ。
なんて思っても内心に留めておく。そうする事で俺も普段の自分が戻ってきたのを自覚する。
単に騒がれてるってだけで特に理由もなく接点もない奴を面白半分に勝手に賭けに巻き込むような、ハタ迷惑以外の何物でも無い勝負のとばっちりを受けていた訳ではなかった。
最初の最初に、ちゃんと一条先輩なりの気持ちがあって、あまりにも不器用過ぎて正直しばらくは災難の類にしか感じなかったけど、一条先輩なりに俺に近付こうとしてくれていた。
「確かに、ここに来た最初のきっかけは、単なる私の、個人的なバツゲーム」
という言い訳を得て、一条先輩は俺の下に現れた。思い返せば、初日から一条先輩は初対面の俺にぐいぐい自分を印象付けようとしていた。敬称だけじゃなく、ちゃんと名前を呼ばせたり。
「アンタはただ、朝礼で台の上に立たされて表彰されたが為に、身元が割れて、私の負けに巻き込まれただけ。私はバツゲームだから、アンタには悪かったけど、アンタを彼氏にする為に、ちょっと昼休みにちょっかい出しに来てただけ」
ちょっと昼休み丸々時間一杯まで居座ってきましたけどね。週に四日は。
「それだけの筈だったのに……やってて段々、楽しくなってきちゃった。全然勝てなかったけど、毎日毎日行けばアンタは迷惑そうな顔しながら、なんだかんだと勝負に付き合ってくれて……初めの半月くらい、特にフリースローの後からしばらくは会話もしたくなさそうだったし、名前も呼んでくれなくなったから、そろそろ潮時かとも思ってたのに……」
と、一条先輩は思い出を懐かしむ笑顔で意地の悪い目を俺に差し向けて、
「偶然だったけど、アンタ、パンツ見られたらまた積極的に話し掛けてくれるようになって」
俺は努めて無表情を貫かせて貰った。
確かに一条先輩に対してそれ程憤らなくなったのはそんな事があった辺りだった気がするが、決してパンツを見せられたのがきっかけではない!
と、断固抗議したい激情は、本音を明かしてくれている一条先輩に免じて、この場は我が紳士的精神を総動員して全力で収めさせて頂く。
葛藤する俺の内面に一切気付かず、一条先輩は擽ったそうに肩を竦めてはにかみ、
「……それがなんか変に嬉しくなっちゃったりして……何故か私何をやっても凄い弱いから、負けるのは凄い悔しくなるんだけど、一方で明日の勝負は何にしようとか考えるのは楽しくなってきて……火曜とか、あの、短髪が、アンタと楽しそうに話してるのを見てると、無性に嫉妬しちゃったりして……ホント、何やってんのかしらね、私。今年は受験生だってのに……」
最後に一条先輩はいつもの尊大な笑みを浮かべながら、自分に対して呆れたと言わんばかりに鼻を鳴らすという器用な真似をしてみせた。
「まあ、私が言っときたかったのは、そんなトコ」
そう締めて、一条先輩は一つ長い吐息を漏らした。
長話の余韻が広がろうとする雰囲気の中、それを堰き止めるように俺は告げる。
「俺も、楽しいすよ。一条先輩と勝負するの」
これは初めてだったか。俺が一条先輩との勝負を、前向きに肯定する発言をしたのは。
驚きに目をパチクリさせる一条先輩に俺は薄い微笑を作って、
「初めは、本気でさっさと帰って欲しかったすけど。今では……うん。そうすね、一条先輩が遊びに来る毎日が、終わって欲しくないと、思います」
「だったら――」
「だからこそ、決着をつけたいんです」
一条先輩の言葉を遮って明確に意志を表明する。
屋上で振り返った時の宝さんが、勝負に負けて拳を突いてきた時の宝さんが、去り際に横顔を見せた時の宝さんが、次々と俺の脳裏を過っていく。
もう、中途半端な関係は続けられない。
「もうこんな、お互いの意思が擦れ違ったまま中途半端に繋がった関係は、終わりにしたいんです」
バツゲームだから仕方なく、勝負に勝って四の五の言わせず交際を認めさせる為に。
無視すれば彼女を気取られそうだから、さっさとネタ切れにさせて諦めさせる為に。
今の上園恭介と一条咲は、そんな擦れ違った関係だ。
想いは移ろい、もしかしたら互いの本心は重なっているのかもしれない。
白か黒しか無い、勝負というこれまでの方法ではなく、もっと素直に擦れ違いを埋められる別の方法が、実は探せばとても簡単に見付かるのかもしれない。
でも、そんなので解決してしまったら、出会ってからこれまで、毎日ぶつけ合わせてきたそれぞれの気持ちに、お互い何の落とし前もつけないままになってしまう。
屋上で宝さんの映画のチケットを受け取らなかった俺に、そんな中途半端な道を選ぶ権利は、無い。
だから、
「決着をつけましょう」
机に置いていた拳を再び持ち上げて、俺は確かな自分にもう一度覚悟を決める。
一条先輩はしばらくじっと俺を正面から見詰め、やがてこくりと頷いた。
「分かった」
普段無意味に自信に満ちている大きな瞳は、今度こそ力強く俺を睨み返してきた。
一対一の睨み合い。相撲の立ち合いのような、機を合わせる緊張感が俺と一条先輩の間に張り詰める。
そして、
「ジャン」
俺の合図が空の教室に響いた。
「ケン」
一条先輩の合の手が応えた。
「「ポン!」」
揃った声に乗せて、俺は腕を振り降ろし、一条先輩が手を突き出す。
勝敗は一瞬でついた。
机の上で対峙した二つの手を見下ろす。一目瞭然だ。
俺――パー。
一条先輩――
「……え?」
茫然と声を漏らし、一条先輩が死んだ曽祖父にでも会ったかのような目をしている。
視線は、全部の指が開かれた俺の手と、それより一回り小さい、自分の手の間で固定されていた。
俺のパーに向き合う――ピースサイン。
つまり、一条先輩の、勝ち。
俺はなんとなく、胸から重い鉛が抜けていき、代わりに清々しい風が入ってきたような思いがした。
本当に単純だ、この人は。
俺は宝さんとの勝負でも、パーを出した。だからだろうか。
手を出す直前で、ここでも同じ手を出さなきゃいけない気がしたのは。
別に負けようと思って出した訳じゃない。どうせジャンケンなんて、何を出そうが勝ちの確率は三分の一だ。
ただ、結果を見るとそんな事を思ってしまう。
先輩は目がいいのが自慢らしいから、さっきのジャンケンも見えていたんだろうし。
さっき俺はパーを出していたから、チョキ。なんて。
「負けちゃいました」
「う、うん。私の勝ちね」
肩を竦めて敗北宣言すると、一条先輩は未だ信じられないといった目付きでこくこく頷いた。そしてじっと自分のピースサインを見詰めながら、
「えーと、私が勝ったら……この勝負、どうするんだっけ?」
俺は一条先輩のあまりの放心振りに思わず少し吹き出してしまう。そんなにこの結果を予想できていなかったのだろうか。
頬が緩むのを止められないまま、俺はとっておきの答えを返してやることにした。
ワザとらしく。俺達の勝負の致命的な欠陥を、暴露。
「さあ。決めてませんしたからね。俺が勝ったら、もう来ないで下さいって言ってただけなんで」
それを聞いた瞬間、千倍速の開花VTRみたいに一条先輩の表情が変化していった。
「そう……ね。言われてみれば、今までだってそうだったわね。私が勝ったらって勝負ばかりで、私が負けた場合の賭けがなかったから、私は何度もアンタんトコに来れてたんだったわ」
ニコやかに、俺は首肯した。
俺自身、自分が勝負を仕掛ける決意をした時にようやく発見した事だ。まったく何で今まで気付かなかったのかと我ながら呆れたが。
「どうします? 今なら俺、敗者なんで、付き合えって言われても断れませんけど」
訊くと、一条先輩はいつものような、力強く胸張って偉そうに腰に手を当てた不敵な笑顔を俺に見せてくれた。
「アンタ、私にここまで負け越したまま、アンタとの勝負を終えろって言うの?」
「過程がどうあれ最後に勝った方が勝者なんじゃありませんしたっけ?」
「ええ。そうよ。よく分かってるじゃない。今この時点で、全てを決める権利は私に移動したわ」
直人の椅子に踏ん反り返り、誇らしげに自分の胸に手を添える一条先輩。
「ふふん、覚悟はできてるんでしょうね恭介。私の決定に、アンタがどれだけ異を唱えようと、私が聞き届けてやる義務はないんだからね」
「分かってますよ。できるだけ、お手柔らかにお願いします」
ひらひらと手を上げて無抵抗の意を示す俺に、一条先輩は益々いつもの調子を加速させていく。
「それはアンタの態度次第よ。でも、私だって自由じゃないわ。私はアンタには勝者だけど、私の友達には敗者だもの。だから、何れにしろアンタには彼氏になって貰わなきゃならないわ」
「じゃあ、やっぱり付き合いますか」
「早まるんじゃないわよ。あのね、私と友達の間には期限が無いの。アンタを彼氏にするって方針さえ守ってれば、後は私の気持ちの問題なのよ。今アンタと付き合うですって? 冗談じゃないわ。たかが敗者に負け越したままで、気持ち良く彼女になれる訳ないじゃない。勝者たる私が妥協する決定を何で私自ら下さなきゃならない訳?」
「じゃあ、今日は一条先輩の勝ちって事で、いつも通り終わりますか? まあ決着をつけられなかったのは俺が負けたのが悪いんで、仕方ないすが。それはまた月曜に勝てばいいって話すから」
「だから、早まんじゃないって言ってんでしょ」
ちょっとした悪戯心と、ごく微量の親切心で勝負の欠陥に触れてみた俺を、一条先輩は鼻で嗤って下さった。
「私はそんなアンタみたいに詰めが甘くないわ。私の決定はこうよ恭介。アンタはこれから、私が勝ち越すまでずっと、私の勝負に付き合い続けなさい。そして私が勝ち越したその時、アンタは私の彼氏になるのよ!」
どーんと決定される一条法典。その第一弾で、俺は下剋上の権利を剥奪された。
俺と一条先輩の立場が敗者と勝者である以上、俺は勝負に勝たないと一条先輩の支配から抜け出せない。しかしその勝負自体に「一条先輩が勝ち越すまで付き合い続けなければならない」という制約が掛かっている以上、あらゆる勝負で俺が一条先輩の勝者に返り咲く事ができなくなるのだ。
……という、屁理屈なのだが、俺は苦笑しながら受け入れた。
そもそも、敗者は勝者に逆らえないなどという屁理屈で、勝者が勝負に勝った後に要求を決めている現状を了解している有様だ。
それでも、いかに屁理屈で塗り固められていようと、これまでのような擦れ違った意思が介在する余地はちゃんと消えている。
さっさと諦めさせる為に、なんて抵抗心を燃やしても最早手段がなく、逆に諦めさせる事を諦めるしかない。
交際を認めさせなきゃならない、なんて使命はすでに約束されたも同然だから、気にする必要がない。
毎日ぶつけ合ってきた互いの気持ちは、今。
一条先輩の勝利によって全てに決着がついた。
同時に、俺と一条先輩の新しい、けれど変わらない関係が始まる。
「そうと決まったら、月曜まで待ってる必要もないわね。アンタ、明日ヒマ?」
「まあ、部活とか特にやってないんで」
「じゃあ、映画観に行くの付き合いなさい。チケット持ってるんだけど、一枚余分に手に入っちゃって勿体ないのよ」
そう言って一条先輩がブレザーのポケットから出したのは、くたびれた映画のチケットだった。
最近話題の。ごくごく最近とても見覚えのある。
屋上で見た物の方が綺麗だったけど。
「デートすか? 一条先輩が勝ち越すまで、付き合わないんじゃなかったしたっけ」
「バッ、デートじゃないわよ! これからは放課後だろうが休日だろうが授業中だろうが挑んでやるんだから! 明日はゲーセンで勝負よ! 映画はそのついでに決まってんでしょ!」
「えーと、取り敢えず授業中は勘弁して貰えませんかね」
顔を真っ赤にして、それでもぐいっと差し出されるチケットを俺はしっかり受け取った。
横目に俺がチケットを握るのを確認した一条先輩は口を尖らせて強く鼻を鳴らすと、勢いよく席を立って腰に手を当て尊大に、
「下校中だって早速勝負よ。途中の駄菓子屋で十円ガム早く当たりを出した方の勝ち!」
早くも次の宣戦布告。
はいはい、と俺も腰を上げながら頷こうとして、ふと、百戦目に新たに導入された新要素を試してみようと思い立った。
即ち、勝負種目への口出し。
「えー、それ何円かかるか分からないじゃないすか。実害ある勝負止めましょうよ」
「なによ。アンタ、私に不戦勝の勝ち星を数えさせる気?」
「うわ、ちゃっかり自分の勝ちに数えようとしてるし。だって十円ガムそんなに何個も食ったら気持ち悪くなるすよ、一条先輩」
「ふん。早くも勝利気取りで私の心配とは余裕ね恭介。なら代案でも言ってみなさい」
おお、やはりこの要素は生きてるらしい。と俺は感心しつつ、他にいい種目を考える。
そこでなんだか違和感に気付いた。
「あれ。そういえばいつの間にか名前呼び捨てが固定になってる」
「そこはどうでもいいでしょ。気になるんならアンタも私を名前で呼べばいいわ」
「ええ? あ~、じゃまあ。気が向いたら」
「何よ。意気地無し」
「そのセリフ、絶対使う場面間違ってると思います」
それはもっと健全な男の子にとって心臓が飛び出るくらいのシチュエーションに使うべき言葉です、と思念を飛ばしながらツッコミを入れる俺。
一条先輩は腐ったスライムを見るような目で俺のツッコミを流した。
「うっさいわね。ま、その辺は私が勝ち越すまで保留にしといてやるわ。で? 代案はあるの? ないの? ないんだったら今日は十円ガムよ」
「え~。じゃあそうすね――あ、例の所の例のアレ早食いとかどうすか。今直人と二郎もそこいるんすけど、今年の五月の例のアレ、超特大らしいんすよ」
これは名案だと俺が弾んだ声で提案すると、一条先輩はむ、と不機嫌度を覗かせて、
「直人と二郎……ね。まあ、まだ付き合ってる訳じゃないんだし、今のトコは我慢してやるか」
呟かれた言葉に、俺はおや? と首を傾げる。
「もしかして、二人きりで帰りたかったんすか? そうならそうと言ってくれればやっぱ十円ガムでもいいすけど。例の所で待ち合わせてる訳でもないんで」
思ったまま尋ねると、一条先輩は一瞬で顔を沸騰させる勢いで耳の先まで真っ赤にし、
「バッ! アンタ何言っちゃってる訳!? 訳分かんない、そんな訳ないでしょ! あーもー決定! アンタの提案通り例の所のその例のアレ早食い勝負にしてやるわ! 寛大な私の心に感謝しなさい!」
「な、何不機嫌になってんすか。決定権は一条先輩にあるんすから、一条先輩の好きなようにやればいいじゃないすか」
「うっさい! もう決めたの! 分かったらさっさと行くわよ! あ、それから言っとくけどね、もう二度と永久にアンタに決定権は渡らないとは言え、勝負で手を抜いたら承知しないからね! 挑戦者のクセに手加減なんかするような相手に勝ち越しても、ムカツクだけだから! アンタは私に生かされてる身なんだから、精々本気で私を楽しませなさい!」
「ああ、はいはい分かりました。分かりましたよもう」
「何よその返事は! 言いたい事があるならハッキリと言いなさい!」
ズビシ! と言い放ってくる一条先輩を尻目に、俺は荷物を肩に引っ掛けつつ直人の椅子を元の場所に戻しながら考える。
どうやら、一条先輩との勝負の日々は俺の勝率が半分を割るまで続くらしい。
この、勝負事に関してのセンスが奇跡的なまでに死亡している、一つ年上の闘争少女との毎日は。
言う言葉が決まった。
「では改めて。これからも末長く宜しくお願いします、一条先輩」
「……っ、ふ、ふん! 言われなくてもそのつもりよ! バカ!」
大声で答えた一条先輩はドパーン! とドアを激しく開けてつかつかと先に廊下に出ていってしまった。
俺は教室の電気を消して丁寧にドアを閉め、急ぎ足でセミロングのポニーテールを元気よく跳ねさせて進む後ろ姿を追い掛ける。
気が遠くなるくらい長い付き合いになりそうだな。
心からの呟きを漏らし、俺は咲の隣に並んだ。
現在の勝率:99%
こんにちわ。作者の一休と申します。
7.5巻カラー最終ページの秀吉に超トキメキタ――――!!
こほん、失礼。
winning percentageを最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。
少しでも面白い・楽しいと感じさせることができたのであれば、この上無い幸せです。
一休は今のところ、NOSのモンハン畑でのらりくらりしてるのが主な子です。
それでいてちょくちょくオリジナルを練習してる子でもありまして、一応今作は、オリジナルの作品では初めて書いた中編規模の作品ということになります。(一休は文庫本約一冊分以下までを中編と呼んでます)
しかしまー読み返してみると、正直最後がもう……どんどん沼に嵌っていってる感じですね。特に最終話;
ていうか、この文章メモ帳に書いてるんですが、背景にまだツギハギだらけの未完成最終話が見えております。
所謂逃避行動真っ最中な訳です。
取り敢えず言わしたいセリフだけ並べて、それらをうまく繋げられず、ついに後書きを先に書き始めたというアベコベ状態です。
おかしい。インターバル書いてたくらいの頃は、三月中に投稿できるかも~とか調子乗ってたのに……
最終話に手をつけるまでは、「なろう」に最初に投稿した作品とか思い返して、いや~ちょっとは面白い物語書けるようになってきたかな~て、悦に浸ってたのに……
もう、ね。
現時点ですでに、作品全体のノリを完璧に置いてきちゃってる感じなんですが。
どうなってるんでしょう。この支離滅裂もいい所な最終話。
作品の後書き用にコレ書いてるので読者様がこの文章を目にするのは最終話の後ということになるのですが……少なくともこの後書きを書いている現在一休はカオスしか見えてません。
このカオスが投稿する段になった所を想像すると、期待一割恐怖九割でドキドキしてきます。
ちゃんと、全てが台無しにならないまともな出来になっていればいいなっ。
そうであると信じて、未来の一休に全てを託そうと思います。
よし、丸投げだ。えいっ。きゃっ落ちてきた! ったい!
閑話休題。
実は今回、初の試みをいくつも取り入れてみました。
まず、ボーイ・ミーツ・ガール。
なんとこの、物語が始まる基本形にして王道に挑戦したのは今回が初めてでした。
一休は幼馴染みたいな、気付いた時から一緒にいるとか長い付き合い的な関係が大好きで、一休が創作する物語は大体が始めから周りの人間関係がガッチリ構築されている状態が多いです。
いやまあ出会わせた所でそこまで長くする気が無いので短い中じゃ扱い切れないってだけですが。
それから、今回は敢えて多くを語らない作者を気取ってみました。
今まで一休は、全ての作品で部分毎の前書き後書きにも必ず何かしらコメントしてました。
しかし、今回は最初の前書きとここの後書きだけです。
また、部分に分けつつ最初から最後までを全部書き終わるまで溜めて、一気に投稿するというやり方も初めてやりました。
どっちにしろ短編じゃ投稿できない長さになっちゃいましたけど;
今度はいくらか書き溜めて定期的な更新とかも挑戦してみたいです。
はい。ただ言っておきたかっただけです。
こういう何かしら初めての試みをした作品には、後書きで粗い部分の言い訳に置いとこうという、ただの甘ったれ精神です。
という訳で。今回はあまり多くを語らない子を気取っているので、最終話がまともな出来になっていることを祈りつつ、この辺りで失礼したいと思います。
では、いつかまたどこかでお会いする事を楽しみにしております。m(_ _)m