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長旅  作者: Re:vi
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1-1章 彼女には不誠実

--- 大学4年生 21歳 ---

耳障りなケータイのタイマーを画面をスワイプして止める。巷で話題の"絶対に起きれる"と噂のタイマーアプリは自分の枕元にスマホを置くことで、睡眠者の睡眠周期を自動で測定して自分が設定した時間の前後の睡眠が浅くなったところでアラームが鳴るという大変便利なアプリである。おかげで俺は睡眠中に見ていたはずの夢をすっかりと忘れてしまった。まあ、夢なんてそんなものだと割り切るのは簡単だが、いざどんな夢を見ているか知りたいと思ったとき、いつでも思い出せるのと思い出したくても思い出せないのでは状況が違う。俺は上半身だけ起こした状態で自分の手前側にあるカーテンを手前側に引く。太陽はやっと起きたのか、自堕落大学生、と俺を見下しているかのように空のほぼ真上にさんさんと輝いていた。俺は一つあくびをしてベッドから出ようとしたとき、スマホからピロンという小気味いい音が聞こえる。俺はパスワードのロックを解除していつも使っている連絡アプリを開く。


「今日ハチ公前集合ね!忘れないでね!」


と彼女からの連絡が来ていた。俺の彼女の名前は中村優利。うちの大学では大学3年でゼミに入ることになっており、その時に彼女とは知り合い、付き合い始めてからもうすぐ1年になる。性格と言えば少し強気で攻めっ気が強いところもあるが、同学年でも上位に入るほどの美女だった。大学のミスコンにも彼女は出ており、俺は彼女のことを一方的に知っているという状態だった。そんな時にゼミが一緒になった時には、同じゼミに入った友達は真っ先に彼女と連絡先を交換しようとしていた。しかし、俺はその輪に加わることはなかった。なぜかというと、俺は大学の友達とは一線引いて交友関係を築いていたからだ。この話はまた長くなりそうだから、機会があれば話をすることにする。


そんなこんなで、俺は優利に連絡先を交換しようとしては振られる友達を、適当に慰めながら日々の生活を送っていた。そんなある日のことだった。俺はゼミが終わると荷物をまとめて早々に帰ろうとしていた。仲のいい友達は代返をしてみんな近くのパチンコ屋に遊びに行っていた。それが起因したのかどうかわからないが、優利はタイミングを見計らっていたかのように俺に話しかけてきた。


「このあと、ちょっといい?」


俺は思わず「俺?」と聞き返してしまった。学年でもトップの美少女である彼女から何でもない大学生である俺が声をかけてくれるとは思ってもいなかった。実際、俺の顔はブスではないが、特別かっこいい部類でもないどこにでもいるような顔だと思っている。もちろん、俺の方から断るような理由もなかったので、俺たちはその場で連絡先を交換した。


その後、俺たちは表面上はゼミのグループ同士、という関係性を続けていた。お互いあの後連絡先を交換した後、あんまり周りに仲いいのがばれたくない、ということだったので俺はそれに配慮する形をとった。俺としても散々友達が連絡先の交換を断られていたのに、俺は逆にあっちから声をかけられて連絡先を交換したと知られるのも気まずかったからだ。


それから大学3年生の冬に俺から告白をした。その日はちょうどクリスマスだったと思う。俺と優利は一緒に近くのショッピングモールで映画とショッピングを楽しんだ。映画は恋愛映画、そして服は一緒にお揃いの手袋を購入したのと、いくつか彼女に似合う冬服を選んで俺たちはイルミネーションが彩る街の中を二人で歩いた。告白をしたのは人気(ひとけ)の少ない川の近くにあるベンチがたくさんあるところだったと思う。クリスマスの割には人気が少なかったから、もしかしたらクリスマスじゃなかったのかもしれないが、俺は荷物を適当なベンチにおいて、回りくどいことはせず素直に優利に言った。


「俺と付き合ってください」


その言葉に優利はどんな顔をしていたのか俺にはわからない。なんとなく恥ずかしくて俺は手を前に差し出したまま下を向いていたからだ。しかし、さすがに数秒反応がないと俺も失敗したのか?と不安になって思わず顔をあげてしまった。その時、優利は俺にばっと抱き着いてきた。


「うん、喜んで」


優利が笑顔だったことは覚えている。でも、それ以上に俺はなぜ彼女が俺とあの日連絡先を交換して、今日付き合うことができたの方が俺は気になっていた。他にもイケメンで性格のいい男は俺の大学にたくさんいたはずなのになぜ彼女は俺を選んだのか。でも、そんなこと俺にはどうでもよかった。彼女にだって彼氏の俺にすら言いたくないことの一つや二つあるに違いない。だから、俺も彼女に告白するときに、あえて"好き"とは言わなかったこともまた当然、彼女に伝える義理はないのだ。

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