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私の初恋

作者: 醤油ハンバーグ

 

 今までの人生で恋愛を経験したことが無かった私は、高校2年生になって始めて人を好きになった。



 学校に遅刻しそうになって慌てて家からパンを咥えて走っていたところを曲がり角から飛び出してきた王子様にぶつかって恋に落ちたなんてことはなく、私と同じ図書館委員会に所属していていた同級生に恋をした。



 私が恋をした同級生の名前は橋本くんといい、同学年の女子から人気があるアイドルみたいに顔が整っている男子生徒だ。



 正直一目惚れだ。一緒にいてますます好きになったというのはあるけど、図書館委員の仕事を通して昼休みに中を深めたから好きになったというよりは、やっぱり一目惚れだと思う。我ながら単純だ。



 まぁ第一印象で好意を抱いて、一緒の時間を過ごすことで恋に落ちたのかもしれない。



 とか何とか理由をつけたものの、1番の理由は彼の整った容姿だと思う。この年になって初めて自分が面食いだということに気づいたしまった。



 別に面食いだろうと何だろうと好きな理由なんてどうでもいい。だって私は橋本くんが好きなのだから。



 そして一番の問題は橋本くんを狙うライバルが多いことだろう。隣のクラスで可愛いと言われてる佐々木さん、橋本くんと同じ部活に所属している美人な真田先輩、幼馴染のゆるふわ女子の田中さんに一年生のぶりっ子でハーフの美少女コーデリアさん。



いや!待って!!ライバルのレベル高くないですか!?



 もしかして、橋本くんはギャルゲーの主人公か何かなの!実は私もお母さんが元モデルでお父さんがイギリス人の美形なんだよね。



 何が言いたいかと言うと、私もこれまで容姿をたくさん褒められてきたかなりの美少女ということだ。ということは、橋本くんを狙っている女の子は中々の美少女ばかりなのだ。



 

いや、本当にハーレム主人公か何かなのかな?



というかコーデリアさんに関してはハーフってところで若干キャラ被りしてるし!




 とにかく私は何とか文化祭までに彼をゲットしようと考えた。何で文化祭かだって?そんなの周りの女の子たちも文化祭までにカップルになりたいと思っているはずだからだ。というか、そもそもそういう風潮が学生にはある気がする。



 それからはとにかく色々な作戦を実行した。私は橋本くんとはクラスが違うし、彼の周りには美少女が多いからアクションを起こさないと他の女の子たちに負けてしまうのだ。



 手始めにインターネットで調べた『ザイオンスの法則』という心理学的なアプローチをすることにした。どういう作戦かというと、シンプルに接触回数を増やすことで橋本くんの好感度を上げちゃおう作戦だ!



 これは直接会って話さなくとも彼の視界に私が入れば良い。橋本くんが私を見たり聞いたりするだけで好意を持っちゃうのだ。


 というわけでまずは彼の行動を把握しながら視界に移るために橋本くんと同じクラスの友達と昼休みは過ごすことにした。



 そうすることで運が良いと橋本くんと喋ることが出来たし、何より彼が男友達とご飯を食べていることもあり、趣味や好きな食べ物なんていう情報を手に入れることが出来た。


 


 そこからは図書館委員の仕事で会う時に橋本くんの好きなスマホゲームの話しを向こうから切り出させながら、私もやってるよ!と自然な形で彼の趣味の話しが出来た。


 

 ちなみに、共通の話題を作る為に始めた橋本くんがやっているゲームは結構面白くてハマってしまった。



 当然そのゲームを始めたばかりの私より彼の方が上手なので、アドバイスを貰ったり一緒にマルチプレイ何かをしているうちに仲良くなることが出来た。



 何よりゲームをダシにして連絡先を交換することが出来たし、3日に一度ぐらいのペースで通話することも出来た。



 そうして徐々に仲良くなった私たちはカラオケに行ったりショッピングをしたりと2人の距離を縮めることに成功した。


 そして文化祭の2週間前。私はある場所で橋本くんを待っている。ある場所というのはうちの高校の屋上だ。


 皆さんもうお分かりかもしれないが私は今から彼に告白するのだ。文化祭で告白する人と文化祭デートを楽しむ為にその少し前に告白する人。


 色々な人がいるだろう。しかし!私は先手必勝で橋本くんを落とすのだ!2週間前ならこのタイミングで仕掛けてくる同業者も少ないだろう。



 それに最近は移動教室ですれ違う時や体育の授業で良く目が合うのだ!もはやいつ何時でも意思疎通が可能なのだ。

 


 ここまでテンションを上げできたけれど、普通に振られたら泣く。とにかく自分を信じて後は頑張るだけだ!







・・・





 結論から言うと私たちは付き合うことになった。あの後、屋上に来た橋本くんに勇気を振り絞って告白をした。



 告白する瞬間は周囲の音が消えて心臓がバクバクとなっている音だけが聴こえた。



 ましてや、彼の返事を待つ間は成功するのかという期待と失敗するんじゃないかという不安を交互に感じて、とてもドキドキした。



 告白への返事を聴く間はとても時間がスローになっている気さえする。僅かに緊張するような素振りをした彼は『僕も好きだよ』と言って告白をOKしてくれた。




 こうして人生初の告白に成功した私は、とりあえず彼との文化祭デートに想いを馳せるのだった。


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