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7話、そーゆー認識でイイですよね?


「…………綺麗」


誰が囁いたのか、ポツリとした呟き。

逆に俺には見慣れた色は『金に似た薄い黄色』。

自分の髪と瞳と同じ色。

生まれた時から持つ、それこそ見慣れた色。


神は祈れば加護を与える。

けれどもそれに関係無く、愛すべき存在に最強の加護を施す事が稀に有る。連綿と続く時の中でも稀なその存在は『愛し子』と呼ばれる。

そして薄ければ薄い程に増す“加護”色。

それが俺の生きてた世界での認識。


此方では通用しない法則だが共通点も有る。

色素が薄ければその分高い魔力を授かるという点。

異“質”家系もその例外では無く、この家では金髪金瞳が必ず一人は授かる。だからこそ俺がヤツな存在に拉致誘拐される事となった要因の一つなのだろうがそれはさて置き。


「…………これはまた」


「さすがと言うか、いや…………」


見定める筈の神官達まで困惑な模様。

そりゃ無いだろうねぇ、“絶対無効化”だなんて。


この神殿は長い事、その幾つかの特殊な家系の見極めを担当している。そんな彼等でも聞いた事も無い異“質”らしい。

護りに特化した加護がこの世界ではそう出たか。


その光はキラキラしているせいか色のせいか、銀色に近い位に薄いのに煌めきが一層強くなっている。透明な水晶の中で金箔が多く含まれた銀色の光が舞い躍っている、と形容すべきか。


うん、確かに綺麗だねぇ。

周りの騒めきを無視すべくそう俺は現実逃避に勤しむ事にしました。ホント綺麗だわぁ~……。


*****


「……隠した方が宜しいかと」


「それはつまりこの子を“無能”にせよ、と?」


俺を気遣うのは分かりますが、返された神官が恐怖のあまりに固まってますからお怒りは程々に抑えた方が宜しいかと、お母様。

それとその前でオロオロするなら檻に入れて迷いクマの名札貼りますよ、お父様。


まぁお母様が懸念するのも無理は無い。

特異能力の家系の子供には必ず何かしらの異“質”能力が授かる。この国の長い歴史の中でも無い事が無いと『されている』。

もし居たとしてもおそらくは抹消されているのだろう。それこそその存在ごと。


血筋に、そしてその能力に最上の意義を見出だす貴族が横行しているこの国。そして一番顕著な例が王族。数10年に一度の、年頃となった継承権を持つ王子の婚姻相手を捜す際には、そりゃもう裏で血で血を洗う足の引っ張り合いが平気で行われる。

それは異“質”家系でもまた同じで。


ウチの両親はそんな中では珍しい……を通り越し、あり得ない!と当時の貴族社会の全員が絶叫したとの伝説すら残る恋愛結婚。その実態は、見た目から程遠い姉御肌気質なお母様に尻に敷かれてもそれを悦びとするお父様が惚れた、ただの割れ鍋に綴じ蓋な夫婦だと子供としては思っておりますけど。


「……隠し方によると思いますから怒るのは後になさいませ、お母様」


「でもこのままでは貴女がっ!?」


愛されてるのが良く分かる。

感激したいけど、硬直している神官の息の根が下手すれば止まりそうなのでその前に話を進めるべく俺は絶叫するお母様を宥める事にした。


*****


「つまりですね。能力は有るけれどその申告を別の形にして報告すれば良いだけなんですよ。そうですよね?神官様」


「…………………?!!?」


硬直から解けた後、俺のその言葉に全力で乗るべく頭を高速に縦に振るのは最初に隠す発言をした神官。息を止めてた直後だから直ぐにフラフラして横の別の神官に支えられてたけど大丈夫かね?


そう、『隠し方次第』なのだ。

完全に嘘を言えば下手すれば王族への虚偽罪で罰せられるが、一部を誤魔化すだけの形ならば後は相手の解釈次第でいくらでも誘導は可能。


それに報告の義務が有るとはいえ、自分の能力の総てをその家が明かしているとはどうしても思えない。だって両親は『貴族』なのだから。


そうですよね?お母様。


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