14話、馬鹿撲滅計画立ててもイイですかねぇ?
「あっはっはー、芋蔓式だねぇ~」
「ははははは……確かに、ね」
「笑い事じゃないが笑うしか無いの……か?」
「程度は在れど馬鹿は満ち満ち……」
あの騒動から僅か二日後。
学園側が本格的な調査を約束し、国(主に公爵家と宰相からの圧力)による早急な対処を迫られて必死になった結果、呆気なくイロイロ起きていた問題が次々と浮上した。正に芋ヅル式。
あまりの多さに乾いた笑いしか出て来ません。
一緒に報告書を眺める兄貴ズもご同様のようで力なく呟いている。愉しそうなのは領主サマのみ。
2年前の悪夢、婿候補の釣書の山を思わせる大量の報告書が届いた時にはさすがに目眩がしました。
何とか気を取り直して見始めはしたけれど、別の意味で目眩が止まらなくなってしまった……。
愉しそうな領主サマはこーゆーのお好きだから。
俺らの反応が正常なだけでアレは特殊だから。
さすがに彼だけだからね、楽しんでるのは。
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「いやぁ~、ホントに面白いわぁ~~」
「ココまで人のアレコレを楽しむのって悪趣味だとしか思えないんだけど……」
「裏も表も酸いも甘いも~って普通なら表現するトコなんだけどねー……」
「領主サマだからねー、地だとしか……」
「「「楽しけりゃもう充分だろうから戻って来るまでは放置しよう」」」
報告書以上の乾いた笑いになってしまった。
半ばウットリした顔で報告書を読み漁る領主サマを尻目にそう結論付けた俺ら。何せこうなったら止まらないのは長い付き合いで知ってますのでね。
俺らに出来るのはそれ位なんですよ、ホントに。
「いやいや……、おや?これは……」
俺らが流し読みなら領主サマはジックリ読み。
そうして其々に読んでいたら、持っていたある一枚をやけに熱心に読み込み始めた領主サマ。
今までと少しだけ違う様子に顔を上げると、口元には笑みが浮かんでいるのに目には剣呑な光を放つという少々物騒な領主サマの姿が。怖っ?!
嫌だったけど、互いに身体を突っつき合ってその役どころを押し付け合った結果、俺が泣く泣く声を掛けるのを引き受ける羽目になってしまった。
こんな状態の領主サマに話し掛けるなんてさながら魔獣の口に直接手を突っ込む気分なんだが!?
「……え~と、どうしたのかな?領主サマ」
「あー……、どうやらアル君、ちょっとヤバい連中に売っ払われる計画も有ったみたいだよー」
「へぃい?!?」
返って来た答えが予想外過ぎて変な声が出た。
アレか?
嫌がらせの一端に、伯爵家令嬢の拉致誘拐計画まで含まれてたってゆーの?!ウソだろぉ……。
「オイオイ、どんだけ短絡な奴が居るの?」
「他国の爵位持ちな家の令嬢だよ?それだけでも国際問題に発展する要素充分なのに?!」
「嫌がらせとか虐めの枠超えてんじゃん!?」
「バレた時どうするか……なんて考えてたらそもそも思い付かんか、こんな事……」
兄貴ズの愚痴りに参加する気にもなれない。
あまりのこの国の貴族の馬鹿さ加減にさっきまでとは違う目眩に襲われる。そりゃヤられる程ヤワじゃないがそれとこれとは話が別だろうし。
ホンマにナニ考えて生きとんじゃいオノれら!!
陰口・仲間外れ・私物壊しは虐めの定番トリプルコンボだし報告書の中の8割はコレであった。
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虐めってさぁ、される奴にも問題有るとか言う阿保も居るけどあれほぼ嘘だからね、実際には。
する方の勝手な思い込み。いや、ただの言い訳。
理由が『気に喰わない』というのがその証拠だ。
される方が心当たりを探したって見つかりゃしないのは無理も無い。だからこそされた方は余計に混乱に拍車が掛かって良心の呵責に耐えきれなくなる。
まるで自分の全てが周囲から否定されたかの様に思って最悪だと自ら命を絶ったりする訳だ。
ただ『自分達とは少し違うから』と、それだけの曖昧な思いが『気に喰わない』というこれまた曖昧な理由となって、段々と『違うのだから排除するべき』だと意味不明な偽善で動き出す。気に喰わないなら単に放っときゃあイイのにねー。
以上、俺独自の虐めに関する考察でした。
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「『襲撃させて傷モノにして国に戻す“だけ”だから大した事じゃ無いだろう』……ってさ。その“だけ”のせいで自国がどれだけ国際的に追い詰められるのか全く理解してないよね~、コイツ。いや、馬鹿はもう何匹表現で構わないかぁ。この際だから現存数だけでも殲滅しとこうかな~」
にこにこニコニコな笑顔が逆に怖い領主サマ。
自分に良く似た金髪金瞳の、やや甘女顔な穏やか青年姿なのが一層怖さを引き立てております。
しかも馬鹿を匹とは……。
どうやら人間扱いカウントにすら含まれないのか。
同感なのでそれに関してはむしろ推奨したいが。
撲滅したいけど一匹見ると三十匹居るって例の黒いアレと同じ生態系な気がすんだよね、馬鹿って。
だからこそ全滅じゃなくて『現存数だけでも殲滅』って表現したんだろうね、領主サマも。
可能なら全力で全滅させたいよね、ホント!!




