6話、面倒な事にならなきゃイイですがね?
明けましておめでとうございますm(_ _)m
神殿ってドコぞも似たような造りである。
荘厳さを出そうとして過剰装飾になり易い。
此処もその例に見事に沿っている。
意外でも無いが共通点の方が有り過ぎる。
まぁこの世界は正に○国精神的パクり盗作疑惑満載な思考回路の存在によって成り立っているのだからそれこそ今更か。
そう思って思考を切り替えると、案内役の神官と両親の後をなるべく気配を消して歩き着いて行く。
無駄に終わりそうだけどそこら辺はもう自分の気分の問題だと思わな敗けだ。
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迎えた神殿お出かけ予定日当日。
朝からドッスンばたんの大騒ぎ。
やたらと着飾らせたいお父様にお付き侍女VSシンプル好みお母様に過激な女装は避けたい俺の、意味不明なバトルが屋敷内では展開していた。
「せっかく可愛いんだよ?!ならばやはり見合った格好すべきだよね!?」
「そうですよ!負けないで下さい旦那様!!」
そう声高に主張しながらも、やっぱりへっぴり腰でそれでも着て貰いであろう服を懸命に掲げていらっしゃる。けどふりふりリボンレースまみれなピンクの時点で即却下!ですよ、お父様。
その後ろから侍女もそうだー!と叫んでますが、確か彼女って昨日『走り去った』子?
「だからって可愛いけりゃ良いというものでは有りません。一体貴方はこの子を幾つだとお思いなんですか?全く情けない」
「3歳でもお断り致したいです、お母様」
そう、俺は既に8歳。
娘の年齢を憶えていない(可能性大かもな)父親をやっつけてやって下さいお母様!である。
ホント3歳でも着たくないドレス選ぶな!!
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馬車に揺られる事暫し。
石畳の道って結構揺れるの……。
もう上下左右に転がりそう……。
だから乗ってすぐに発動しました、“身体強化”。
じゃなきゃ今頃ゲロってる。もう確実に。
身体は8歳少女、されどそれ以外は異世界仕様。
それが今の俺なので自分を護る為にも発動させて頂きました。大事よ護身は。
何せ寝不足。
後頭部を盛大に打ち付けたらどうなるか?
当たり前だがたんこぶになる。そして寝姿は基本的には仰向け。さて結論は?である。
そりゃ俯せでも寝れなくはない、実際寝たし。
人間いざとなれば出来るモノなのだ。
けど慣れないせいか寝付くのには時間掛かって、その分やっぱりいつもより起きた時が辛かった。子供って寝る時間大事なんだよー。
グズる俺を掛布団引っぺがして起こしたのが、さっきお父様の背後で『大声』で応援してた、昨日は『走り去った』侍女。今は居ない。
国内最高峰に君臨する筆頭公爵家な我が家。
そのお子様の侍女にしては質が悪い気がする。
けど親からの嫌がらせの類、な訳では無さそうだ。
ナニか有るのか調べてみたい、取り敢えず。
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「では此方へ……」
誰だろうね?
神殿は白くて石で造るべしって決めたヤツ。
寒々しい!との文句しか出て来ないぞコラ!!
しかもやたらと広いしね!!
たっぷり歩かされて足が痛いの……。
8歳の貴族の少女舐めんな!!と言いたい。
馬車で転がされそうになりゲロりそうになり、挙げ句今度は競歩紛いのスピード案内。
外出って罰ゲームの別名なのかいっ?!
そしてようやく目的地へ到着した模様。
辿り着くまでに此処まで疲れ過ぎた。
もうこのままお布団ダイブしたいのに出来ない。
「ではその水晶に手を翳して下さい」
「こう、ですかね?」
目的地まで来て目的を達さずに帰るのは只の馬鹿。
そうはなりたくないのでちゃんと目的はこなす。
ちなみに前科者は自宅に居らっしゃったりする。
それはまた後で。
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そうしてやっぱり輝いた水晶。
ただ同席してた見届け役の神官が慌てふためいている辺り、どうなら今までとは何かが違うらしい。
また面倒な事にならなきゃ良いけど……。