4話、協力者増やしてもイイですかねぇ?
「と言う訳でフォロー宜しくね、シュナ」
「分っかりました!お嬢様が学園生活を満喫出来る様に精一杯サポートさせて頂きますねッ!!」
「いや……出来れば止めて欲しい……」
「暴走車が2台併走でノンストップ……」
相変わらず俺の両脇で項垂れ嘆く兄貴ズ。
さながらそこが定位置と化してる現状に、俺としては狛犬か阿吽像扱いしようかと最近迷ってる。
でも俺を挟んだまま嘆くのはさすがに止めて欲しいんだよねぇ、ビミョーに邪魔だから。
可愛らしく首を傾げてそんな二人を不思議そうに見るシュナちゃんの疑問を悪いが俺は受け流した。
「お嬢様?彼らは何と言ってるんですか?」
「あぁ、気にしなくても良いわ。それよりこの姿の時はアンリエッタかアンリでお願いね」
「畏まりました、アンリ様」
「様は別に要らないのよね~、アンリは伯爵令嬢なんだからシュナと同格なんだし」
「えーでも元はお嬢様ですから……」
もう一人の必要な協力者がシュナちゃん。
我が家に侍女見習いとして勤め始めて2年経つ。
ただ今年から学園に通うので兄貴ズと同様に我が家から向かう事となる。協力者として欠かせない。
呼び方に関しては少々渋られたが、それ以外の協力に関してはノリノリで従ってくれている。ちなみに弟のジークハルト君はマウントを取られて悔しがっていた。どうやら姉弟で一悶着有ったらしい。
かの伯爵家一家は俺に服従状態。
元から居るシュリは通常運行だが、兄のジークフリートさんと妹のシュナちゃん、そして弟のジークハルト君はあの後宣言通り我が家に押し掛けた。
正に一家を救った俺を主人として仕える為にだ。
ジークフリートさんはそのまま騎士団に所属。
2年でそれなりに才能を発揮して屋敷の警備を担当する小隊の副隊長まで昇進中。シュナちゃんは前述通りに俺付きの侍女見習いとして現在従事中。
ジークハルト君も半ば押し掛けで執事長に付き纏い、今では根負けした彼に倣っていずれは俺付きになる!と只今奮闘中との事だ。まだ10歳の伯爵家令息なのに色々とスゴいよねぇ。まぁ執事長曰く、才能はそれなりなのでいずれは……との事だが。
余談だが、この一家の能力はシュナちゃん中心。
何せ『血筋限定増幅能力』だからね、彼女のは。
ただ、最初は触れるか側に居るかでしか発揮出来なかったがシュナちゃんが大奮起。足を引っ張らない様にと能力を伸ばした結果、精神的な繋がりを通せば距離に関係無く各々が増幅出来るようになった。
その為に、ジークフリートさんは“身体強化”能力を更に向上させて騎士としての働きに遺憾なく発揮し、シュリは“色見”能力による人物観察をより詳細に分析出来る様に努め、ジークハルト君に至っては“弱毒解毒”能力がいつの間にか“強毒解毒”能力へと進化していた。スゴい結果だよねコレ。
そんな俺に心酔しているシュナちゃんを利用する様で悪いとは思うが協力者としては不可欠だし必要。
まぁそれを罪悪感に駈られた俺が吐露したら、逆に恩返しする機会を貰えてむしろ嬉しいから幾らでも利用して下さい!と力説されて引いたけど。
ただ彼女には計画そのモノは伝えてはいない。
言っても秘密にした上で協力もしてくれるだろうが、現時点では秘密を知る者は少ない方が此方としても気楽で済む。失敗しても笑い話だしね。
……俺は失敗する気は全く無いんだけれど!!
前にも言ったが俺の未来と貞操がかかってるのだ。
後者に関しては命がかかってた方がマシだなぁなどと思いはしたがそれはそれ、これはこれ。
目的達成の為にもまずは頑張りましょうかね。
*****
学園が始まって既に一週間は過ぎていたが、その初日に俺が訪れたのはあくまでも顔合わせと説明を受けるためだ。本格的な登園はまだ少し先。
何せ隣国から来た事になってますから、伯爵令嬢。
まだ疲労も有るだろうとの学園側の配慮です。
翌日に学園の内情を聞いてみたらば、関係者である兄貴ズとシュナちゃんは周囲から質問の嵐に見舞われたそうで全員グッタリとしていた。
「…………大丈夫?」
「全員の目の色が変わってて怖かった!!」
「名前や身分だけならまだしも、こぞって俺達との関係とか婚約者の有無とか趣味とかもう色々と次々に立て続けに聞いてきたからなぁ……」
アルフ兄が震えながら叫び、その詳細をアド兄が疲れた声ながらもキチンと説明してくれる。どうやら『アンリエッタ』はかなりの注目株みたい。
しかし何故にそんなに注目されるのかね?
「お前、本気で言ってるならさすがに殴るぞ!?」
「アンリは美少女で隣国とはいえ伯爵令嬢だ。狙うにはもってこいな存在だと認識されたんだよ」
「ありゃあ完全に狩人の目ぇしてたからなぁ。どんだけだよ!ってむしろ引いたわ俺……」
「なるべく一緒には居るがお前も気を付けろよ」
兄貴ズに交互にクドく説明された。
…………あれ、ちょっと早まったか?!




