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48話、熨斗とリボン用意してもイイですかね?


「……サクスン公爵家、でしたわよね?貴女」


「そ、そうよ!アタクシは……」


「名前は結構ですわ。どうせ聞いても貴女とはもうお目に掛かる事も無くなるでしょうから」


「なッ!何を言って……」


喚き声が煩い。

しかも不快なので音遮断の魔術を行使する。

俺の属性は風。

実は他の属性も使えはするがこれが一番得意。

手を軽く振るだけでもうその場は静かになった。


まだ叫んでいる様だがもう相手の声は聞こえない。

ただ此方の声は聞こえるようにしてある。じゃなきゃ意味ないもんねぇ、イロイロとさ。


「招かれた先の『上位の貴族』の家での狼藉。まだ未成年だからと見逃す程に我が筆頭公爵家は甘くはございませんのよ。貴女がこの家から去った後に貴女の公爵家が存在していれば宜しいですわねぇ」


「…………?!………………!?!」


喚き声は聞こえないが、俺の煽り台詞はきっちり聞かせているのでパッ金孔雀の顔は真っ赤だ。それを横目に見ながら微笑みは浮かべたまま更に煽る。


何だか青ざめて少し後ずさったのは気のせい?

俺の台詞の内容を理解したせいだと思う、うん。

お父様にこの件を包み隠さず報告したら明日にはパッ金孔雀の家は没落させる筈。下手すりゃ今日中かも知れないけどまぁその辺りは誤差って事で。


「貴女の仰ってたアシュタル様、でしたか?目上への態度を弁えない女性がお好きな悪趣味な方なのを祈るべきかも知れませんけど、仮にも筆頭公爵家の婿候補になるだけのお方ですからあまり期待はされない方が宜しいかも。あぁけれどもう貴女の身分ではお目に掛かる機会もきっと無くなるでしょうね」


「…………その通りですよ、レディ」


静かな声がその場に響いた。

青い顔しながらも何かを叫んでいたらしいパッ金孔雀が驚いて俺の背後を見ている。ちなみに俺は気づいては居ました、他者の魔力は感じてたしね。


此処は会場からそう離れた場所では無い。

一応隅とはいえ廊下に出てから話している。

とゆーか最初に無視して俺が移動したら勝手に着いて来たんだよねー。釣ったとも言うかなー?


そりゃ当たり前でしょう。

自分家だからと一人行動した点は反省すっけど、だからって遣られたままにするワケ無いじゃぁん。

然り気なく人目に付く様には誘導しますよ。

まさか噂のご本人が登場!とは思わなんだが。


アシュタル=クゥインヴァル侯爵子息。

銀髪銀瞳、その容姿と普段からの周囲への冷たい言動から付いた二つ名が『冷徹王子』だそう。

俺としてはその廚二病的な響きを笑ってしまう。


薄い色がより尊ばれるこの世界で、今の所だが俺と彼の色の組み合わせが一番人目を惹く、らしい。

光に反射する綺羅綺羅しさが神秘的との事だ。

俺としてはもっと澄んで煌めく銀色を知っているのでこの彼の色は灰色に近い鈍色にしか見えんが。


*****


「結局何だった?と言う感想しか無い……」


「まさか王子より王子らしいと評判の彼に本気になられるとは厄介を惹き付けるよね相変わらず」


「『銀の君』とも呼ばれてるってさ、彼」


「これまた憑かれてるねぇ、アル君」


んな情報要らんわ。

むしろ廚二病呼びの倍増に乾いた笑いしか出んし。

結局騒動は内輪で収められた。

で、予想通りこの国から公爵家が一つ消えた。


一応特“異”能力持ちの家だったので、一家纏めて神殿に引き取られ押し籠められた。普段は能力を特殊な魔術具で封じ、下働きでこき使ってプライドをへし折りながら必要な時だけ能力を利用するそう。準王族という王族の婚約者の俺に対する不敬罪の犯罪者扱いで神殿に入ったから問題無いらしい。


この辺りは神官のセバスちゃん情報。実験終了後も何故か我が家に相変わらず通っては情報を垂れ流して去って行く。頼んでもナイのに……。


そして此方も相変わらずの俺の部屋に入り浸る兄貴ズと領主サマがまったりしながら俺の頭を撫でる。

他の人間に触られそうになれば途端に転移してでも避ける俺(身の回りの世話役の侍女さんズと両親であるお父様とお母様は別だが)が、この三人だけには普通に触らせる姿を見て入り浸りを注意するのを諦めた経緯が有るがそれはまた別の話。


皆様、一様に『お嬢様の貞操の危機』を心配しての事だったのだが、俺にしてみれば相手は三人とも身内中の身内。しかも俺の本当の性別を知っているのだから心配される問題など起きる筈も無く。

つまり、周囲の心配は杞憂でしか無いのだが。


それより今の俺にはそんな心配よりも重大な懸念の方がよほど問題なのだ。……にしても領主サマ、意味合いは似ててもその表現はどうなのさ?と思うよ。


「俺らに堂々とライバル宣言咬ましたからな~」


「背後にメラメラな火ぃ見えたし~」


「あんなヒョロガリにアル君は渡さないッ!!」


「「「ちなみにコレ何回目?」」」


約一名の可笑しな台詞はともかく、正に最後の三人の言葉こそが俺としての悩みの種と言えるだろう。


『初対面の男性にプロポーズされる』。


…………マジ何回目だったっけ?


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