42話、暇作って暇潰ししてもイイですかね?
「……という訳でわざわざお越し頂きました伯爵令嬢のシュナちゃん13歳ですぅ~」
「「ぱちぱちパチパチ」」
「くぅぉぉ~ん」
「…………一体ナニが?!」
「私ごときにお嬢様の考えなど読めません……」
ノリノリで検証者を紹介する俺に一緒になって盛り上がる兄貴ズと領主サマ。ちなみに未だに犬のままで器用に前足で拍手までしてる、ちょいシュール。
逆に紹介されたシュナちゃんは戸惑い一色で姉に抱き付き、シュリは遠い目で失礼な言葉を呟いた。
翌日、早速シュリの妹を召喚させた。
主家のお嬢様の呼び出しには逆らえず家族が大慌てしたと後で愚痴られました。スマンです……。
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この日実は俺には既に予定が有った。
いや大したモンじゃ無くてただの教育過程だ。
そもそも15歳から3年間学園に通う義務は有るが、その前に基礎学習は一通り学び終えるのが貴族の在り方らしい。では学園では何を?となるが高位貴族は特に社交に精を出すのだそうだ。
しっかしお母様も珍しく下手を打ったモノだ。
お嬢様の教育係として起用されたのは教育の世界では高名だと名高い何処ぞかの男爵夫人との事。何人もの高位貴族令嬢を有名な淑女に仕立て上げたって評判の持ち主だそうだが実情は酷いに尽きる。
そりゃあ一つ失敗すれば二回は鞭で叩かれるなら子供でも必死にもなるでしょうね。ちなみに姉が礼儀作法など一般教養を、一緒に連れて来る弟が歴史や算術といった学問専攻でこれまた意地の悪さはさすが姉弟だと言いたくなるそっくりな教育方針。
お嬢様は耐えていたけど俺はそんな趣味皆無。
なので顔を見せた段階でもう必要ないのでと笑顔で速攻お帰り願った。今まで反抗しなかったお嬢様の変わり様に驚きつつも、テメェの立場を勘違いしていた夫人は付け上がって鞭を取り出した。むろん弟も同様で自分の死刑執行書にサインした様なモノ。
イイ歳した大人の身分を弁えない鬼畜所業、朝の内にお母様に言いつけたに決まってるじゃんねぇ?
別室待機で本当かどうかは確かめる辺りさすがお母様だと感心しました、俺。お父様だとそのまま鵜呑みにして後に禍根を残すよ絶対。
俺の言葉通りだと、お母様はきっちりと目撃の上現場を押さえて二人に首を言い渡した。無論、社会的制裁をも償わせるとの宣言までもうきっちりとだ。
公爵家からそんな宣言をされれば抹殺されたも同然で二度とコイツらにお目に掛かる事は無い。
めでてぇな!と○の丸扇出したい気分でした。
ちなみにその後、教養・学力テストを一通りこなして教師が当分要らないとのお墨付きも戴きました。
そもそも三十路に一桁歳教育は不要ですって。
お陰で昼間にかなりの暇が出来たので検証開始だ。
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「で、“変換”の事なんだけどね」
「……姉が何を言ったかは想像はつきますが、それに関してはもう諦めております。家族にこれ以上の迷惑を掛ける訳には参りませんから」
シュナちゃんのきっぱりした言葉は偽りなさそう。
13歳なのに物凄くしっかりしている。
もう既に人生そのものを諦めているその瞳が痛ましい。どれだけの絶望を味わったのか。ただ俺はだからとお節介をしたくなった訳では無い。
「これは別に同情では無くて単なるわたくしの興味本位から出たただの実験なの。だから貴女にはわたくしの我が儘に付き合って貰うわ」
「……興味本位な実験……?」
「そう。貴女の家は我が公爵家の寄り家、姉はわたくし付きの侍女よ。断る事は許されないわ」
「…………畏まりました」
高慢な令嬢風な台詞を敢えて顔を反らしながら言えば不承不承頷くシュナちゃん。固い表情を崩さないまま返事を返す彼女には悪いがこの際は身分を楯にとらせて貰う。事実今の俺って偉いし。
上からの命令という圧力に逆らえない形ならば気負いも多少はマシになるだろうし、俺の仮説が正しければ彼女は二度と絶望を味わわずに済む筈。
それに特“異”能力の概念が覆る可能性すら在る。
この仮説が正しく検証が上手く行った暁には神殿に報告して今後に活かして貰うつもりでいる。
もちろん俺がそれを発見した事は徹底的に伏せる。
この辺りはお母様とお父様に頑張って頂こう。
丸投げ?
単に目立ちたくないだけですよ、ハイ。
「まぁ難しく考えないで。ただわたくしの考えが正しければ今後の特“異”家系の活かし方が広がるってだけの話なだけだし、万が一駄目でも方向性を変えて当分は続けるから付き合って貰うし」
「当分とはいつまで……?」
「わたくしが満足するまでよ勿論。……あらそうするといつ神殿に行けるのかしらねぇ?」
「「お嬢様……?!」」
俺の言葉にシュリシュナ姉妹が同時に叫んだ。
ちょっと耳が痛かったが気にせずに艶然と微笑んでやる。あれ?今のちょっと悪役令嬢っぽい?
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ちなみに後日、同席していた身内の二人+一匹に正にその通りだったと太鼓判を押された俺。
嬉しい様な複雑な心境だったのはヒミツです。




