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37話、称号だらけな駄犬でもイイですかね?


ユーリに陰で“ゴールデン駄犬”と愛称が付いた。

その報告を聞いた時、愛称という言葉の意味を数瞬真面目に考えてしまった俺。同時に無邪気に喜んだとの続報にはつい項垂れてしまった。


長らくペット扱いしたのは確かに自分だ。

けれども俺がアルマリックとして再び覚醒した際からの感覚は、彼ユリニウスは父親というより完全に別次元の思考回路を持ち合わせていたので、一番近い関係性を当て嵌めたらペットだったのだ。


しかも本人は素直に受け止めむしろ喜ぶ有り様。

元々の気質かただの惰性か?

少し迷いもしたが、母親の対応も似たモノだったので放置した過去のツケが今廻って来た感じ……。


ユーリが領主サマとしての記憶を戻して別人になるかと思いきや、見事な融合を遂げた最大の要因の答えに今更ながら辿り着いた。どうやら『俺に依存する=主人と仰ぐ』方程式がユーリと領主サマを大きく結び付けたのだろう。まぁ主人という部分には語弊は有るだろうが間違いでも無かろう。


「だとしてもコレは無かろう……」


「でも領主サマだし」


「そう領主サマだし」


項垂れた俺に注ぐ兄貴ズ満場一致の回答。

長い付き合いなのはこの二人も一緒。

いや、俺の生まれた時分を考えればそれ以上。

答えとは思えないのだがこれが正解なのだろう。

でも解決には至ってナイので意味もナイ。


「ユリニウスが本名でユーリが略称。領主サマが通称でゴールデン駄犬が愛称、なのか?」


「でも領主サマの本名も有るよね確か?」


「有るけど呼んだ事ある?」


「耳にした事すら稀だった」


指折り数えながらそれぞれを呼ぶアルフ兄。

幾つも称号お持ちですよね、彼の人は。


新たな発見に俺としてはついクスクスと笑いが零れるが兄貴ズにはそれ処では無い心配案件がある様でその顔色は暗い。一体どったの?だろうか。


その懸念を兄貴ズから口に出されて俺は久しぶりにそれを忘れていた事実に気が付いた。結構ゴタゴタが相次いで起きるモンだからすっかり頭からそれが見事にスッポ抜けてましたねぇ……。


「どうするよ?」


「どないすべぇ?」


「どーにか出来る?」


「「「無理だろなあ……」」」


三人合唱でガックリ項垂れる所まで同時だった。

茶色の髪と同色の瞳。外見で俺とは似てはいなくてもさすがは兄、所作はほぼソックリ。

ガックリ項垂れても問題解決にはならない。

懸命に気持ちを立て直して方法を模索する。


領主サマもユーリも自分が執着した相手に依存する本質は同一、だからこそ別人同士なのに深く結び付いたのだろう。そしてその相手が俺、と。


「俺を守る為なら……ってトコを利用するか」


「それってどういう?」


「要は護衛で在る事そのものは受け入れるだろうからその部分で拘束を掛ける、しかない」


頭の上にクエスチョンマークを乱舞させる二人。

俺の言葉を理解出来ずにいる様だが構わない。

現場に居合わせさせれば解る事だから。

そう決断して俺は領主サマの呼び出しを頼んだ。


ちなみに現時点で合わせ鏡芸を飽きずに繰り返していたお父様と領主サマは纏めてお母様に面倒見をお願いした。つまり双方並べてのお説教である。

顔だけでなく内面も似た二人の奥様もご同様。

素直に従ってしまうのは本能からだろうかね?


別室での処置となったので、俺と兄貴ズは先に移動して自室での待機となった。そのついでに人払いをしての事情説明兼口止めの最中だったのだ。

侍女さんズは不満だった様だがアド兄のニッコリ笑顔に顔を赤らめて素直に退散した、チョロ過ぎ。


「領主サマは行動制限、させる」


俺の決断に兄貴ズは同意してくれる。

ちなみに領主サマに拒否権は無い。

けど拒否すらしないだろう、とのアルフ兄の呟きはもう確定した未来そのままだった。


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