36話、ゴールデン駄犬そのまま2でイイですかね?
「先ずですね、此方の守護者の方々はわたくしの身内の移し身だとお思い下さいませ」
「身内の移し身……?」
「はい、わたくしが別世界の人間で在る事はお母様も既にご承知の上の筈。その世界で生きていた際の身内がこの二人と、その……あの方です」
この場に居合わせない、未だにお父様と合わせ鏡芸を延々と続けているであろう領主サマを思い浮かべつい濁す。あ、お母様の眉間の皺が1本増えた。
実はこの事実を告げるかは少々迷った。
けれどもどうせバレるならば早い方がマシ。
あれだけ似ているのだ、誰かしら気付くだろう。
「守護者として送る為にとわたくしの安全を最優先にして戴いたからでしょう。三人共に彼方の世界では五指に入る実力者です。身内で在る事は……偶然かとは思われますが結果としては……まぁ?」
再び言葉が濁る。
“良かった”と断言する事がこれ程辛いとは!?
けどあの阿保さ加減見てると、ねぇ?
どちらもが『父親』だって現実もしょっぱい。
「この二人は兄、右がアドルフで左がアルフリードと申します。金髪は……その父、でして」
「あらまぁ、似てて当然、なのね?」
「ソウデスネ……」
遠い目してしまうのは勘弁して。
俺の家は元々彼方の世界の神様の加護が受け継がれた為にか、代々直系男子には薄い黄色の髪と瞳の色が出易い。パッと見には金髪金瞳だが。
そしてその色はお父様も一緒で。
俺がお嬢様の代役に選ばれた理由の一つが容姿の激似もある。不本意ながら女顔も家系遺伝子に組み込まれていたのだろうか?それとも4代前の婿入りした男性の女顔が発現したのか?未だ謎。
その為にか俺の父親の領主サマも良く似ている。
そんな二人が出会えば……まぁ結果は明白。
片方は理由を知りもう片方は知り得ない話だが。
『いっそ領主サマは犬のままで良くね?』
『普段の行動自体が違和感ゼロだしなぁ』
二人からの念話が届くが下手に笑えない。
だって全くその通りだから。
付き合い長いだけあって二人共よくご存知だ。
さて、どうしたモンかねぇ……?
*****
「アルくぅん~会いたかったぁ~~!!」
「待て!ステイ!落ち着いてユーリ?!」
登場と同時にいきなり抱きつかれた。
先ほどまで犬で居たせいか、それとも普段から犬扱いしていたせいか、つい止め方までもが犬扱いになってしまった。領主サマの本来の名前を呼んだのは咄嗟の判断だったが間違いでは無かった模様。
にしてもホント犬のままが良かった気がする。
だって顔面が涙と鼻水でグシャグシャだし……。
しかも今の俺は8歳の少女。
大人の男性で騎士体格な領主サマに抱き締められると苦しいだけだし絵面もそれなり、だし。
唯一の救いはこの良く似た容姿だろう。
並べば親娘にちゃんと見えるからね。
ただ……後ろでお父様がハンカチ噛み締めてジェラシーポーズしているのが見えてナンとも……。
かつてまだ俺が子供時分に構わなかった時にするユーリのそっくりな格好を思い出すので一層切ない。
お父様に最初に会った際にも思ってはいたがまさか内面までもがココまで激似とわ……。
だがいつまでもこのままでは宜しくない。
仕方ないので強引に引き剥がしてお母様へと向き直らせると頭に手を当てて下げさせた。
「父のユリニウスです。ユーリで構いませんわ」
「……どうも」
「ユ、ゥ、リ?」
「……失礼致しました、アルの“父”のユーリと申します。この度はむす……「ハイ良く出来ました」」
今息子って言いかけましたよねこの人?!
思わず遮ってしまった。それと父の部分を強調してマウント取ろうとしてたよね絶対!?
俺のボリュームに耳抑えてるけど謝らんから。
もうこの際だからそのまま大人しくしてて!!




