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34話、ゴールデン駄犬はそのままでイイですかね?


「はぁ……仮のお姿ですか?」


「わたくしの魔力で元の姿へと戻す事も出来るそうですわ。やはり護衛をするならば元の姿の方が有利かと存じますので」


「ではこの方々は犬様では無い、と?」


「えぇ、此方にはそう書いてございます。三人とも人の姿を持つ者達だ、と」


使うのは神託の手紙。

俺以外には読めないので有効活用させて貰う。

犬のままでも……と考えてたら凄ぇ文句喰らった。

魔力での念話ついでにキャンキャンと吠える姿は愛らしいからいっそそのままでもイイのにねぇ。


ただ説明はキチンとしとなかアカン。

とゆー訳で案内役の神官に事情説明中な俺。

尚、キッチリと関係者以外には報告しない旨の誓約も戴いている。この神官自身が“絶対無効化”能力秘匿の際の関係者だから上書き追加で済ませた。

後日、改めて残りの者達も行う事も許諾済みだ。


「魔力で、ですか?しかしお嬢様の……」


「わたくしの魔力の量は先日ご覧になられたでしょう?それに、彼らの魔力も多いのでわたくしが行うのは馴染ませる為の補助と言った方が正しいかも知れませんわね。一度固定されれば後は彼らの魔力で購えるそうですから。問題は着替えかと」


目の前で首を捻る神官に説明する意味で俺はシュリへと視線を向ける。その着替えの手配をさせる為だったが、悶え妖怪と化していたシュリも腐っても公爵家侍女。視線を受けた途端に俺の言葉の意を悟って了承の肯定を行う。さすがでアル。


不本意ながら今の俺は幼くとも『女の子』。

しかもこの国きっての高位貴族のお嬢様だ。

いくら神様の使者でも元の姿に戻った際の成人男性の裸を見せられるのは通報犯罪案件になりかねないモノでね。俺は気にしないけど『公爵令嬢』って自分の立場ってぇのはホント面倒臭ぇ!!


「取り敢えずサイズが解りかねますので騎士団から複数見積もって参ります。直ぐに手配出来るかと」


「そうね。お父様のでは合わないでしょうから」


「何故そう思われます?」


「護衛として送られた者がお父様の様な体格とは思われないと愚考したまでですわ」


「聡明でいらっしゃられますねお嬢様」


元の姿をご存知なので騎士服を手配しただけなのだがちょっとそれらしい理由ツケをしたら神官にやたらと感動された。複雑な気分である。

シュリも誇らしげな首振り人形になるのヤメテ。


後さ、ダックスはともかくゴールデンは重いから膝に乗るのはヤメテくんないかな?領主サマ。

8歳少女の姿だとろくに前も見えんしなッ!?


*****


『汗と涙の結晶が実を結んでるな、アル』


『涙の養分の方がかなり多そうだが』


『有り難くもナンとも無いがなっ!?』


『アル君、酷いよ酷いよ!!』


念話なのは互いの気安さを隠す意味が大きい。

前述通り、彼らは全員俺の身内。

しかもチョイ特殊事情アリな身の上なので某所では『チーム人外』との名称すら有る。不本意だが。


で、その特殊事情は遠いお空へポイと置いとき。

ついでに文字通りキャンキャン吠えてるゴールデン駄犬も一緒にポイしたい。可愛いいが煩いから。


ちなみに彼らが言う涙(大半)の結晶とは俺の言葉遣いだろう。本来男な俺だが、身内の暴走暴挙でよくさせられた『女装』経験から来る淑女教育が実を結んだ結果なだけに俺としてはマジで笑えんが。


『領主サマ、あんまりキャンキャン吠えてると当分そのままで居させるからね』


『酷いよぉ~アルくぅん……』


くぅ~んと涙目で蹲るゴールデン駄犬。

可愛らしいのでホントにその姿を持続させたい誘惑に駆られますなぁ。いやしないけど。


人間化した領主サマに俺との血の繋がりの関係から容姿にやたらと共通点が有り、お父様の腹違い兄弟が?!と公爵家内部が沸騰するまで後数刻……。


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