28話、敵の敵を味方にしてイイですかね?
こーゆートコを見ると、この世界観がパクりなのだと改めて思い知らされる。大した事の無いただの正座と土下座では有るんですけどね。
俺の部屋では阿鼻叫喚の祭りが開催されていた。
婿候補横流し兼小飼貴族家立ち上げ並びに囲い込み計画の話から侍女さんズがヒャッハーした為。
廊下を通り越して別な建物に居た執事長の耳にまで届いたってんだからどんだけぇ?だわな。
俺は宥めようとしましたよ勿論。
だって耳塞ぐ位には五月蝿かったし。
騒ぐなら他で遣れ!と部屋から叩き出そうとした時には手遅れ。気付けばマグロ冷凍庫もかくや並冷気を纏った執事長がイイ笑顔で立って居りまして。
そのイイ笑顔のまま侍女さんズ三人の襟首纏めて掴んで廊下に引き擦り出し放り投げ、片足の爪先をトントンした途端に侍女さんズはほぼ反射横並びで正座&土下座体勢へと移行致しました。凄ぇ……。
その様は動物の躾に鞭を振るう調教師。
実際には爪先のみだけど、その音だけで全員無言で従うんだから十分凄ぇわこの執事長。
女性だが軽く三人引き擦り出す腕力も含めて。
このヒト就職先間違ってませんかね……?
扉の向こうの地獄絵図をミアと手を取り合って震えて見ながらついそんな考えを浮かべた俺でした。
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最初に正座土下座を紹介したが、パクり世界観なだけにココには見覚え・聞き覚え有るモノが満載。
だから食事事情も豊かだし、生活も電化ならぬ魔道具製品のお陰でそれなりに楽も出来る。拉致誘拐された身で唯一感謝出来る事だよね、コレは。
まぁ一般人としてでは無いから全体としては関わり薄い分、せいぜい旨い飯食えるだけでも有難いって思う程度なんだけどさ、結局は。
「……さて、元凶にお伺いしますねお嬢様」
「ちょっと待て!何故そうなる?!」
やや逃避気味だった俺を引き戻しやがった執事長。
元凶だと断言までしやがりましたよこのヒト。
つい素で返しちまったじゃ無いか。
まぁ今は侍女さんズもミアも退室させられて執事長以外は俺しか居ないから大丈夫だけどさぁ。
「あぁ、モドキでしたかお嬢様モドキ。念のためにと奥様から軽く事情はお伺いしてますので私相手でしたら擬態は不要ですよ、モドキ様」
「………………」
まさかお母様がそんな行動を取っていたとはね。
おそらくはこの執事長を敵に回したく無いが故に先手を打ったのだろう、俺に事後承諾の形で。
隠すつもりも無かったのだろうとまぁ信じたい。
にしても俺への呼び方酷く無ぇか?!
何だよ、“モドキ”って!?
『様』付けてるだけマシだって?
慇懃無礼って言葉通りの代物だからねコレ!!
ホントにイイ性格なご様子で。
一周回って冷静になった俺は執事長を正面から見つめてやった。蔑む視線と口調が本心からか演技からかは別として、コイツ自身を見極める為に。
ほぉう?と目を眇た瞬間に殺気を放つ。
威圧に近いこの波動には放つ人間の魔力が載せられているので、それぞれの相手の力量を測る際の重要な判断材料となり得る。ただし相手も限られるが。
大事なのは放つ際には相手に隙を与える事。
構えてる相手に攻撃をしても防御されて反撃まで受けたら意味無いのでコレ凄く大事。
そしてその思惑は大当たり、良い仕事してくれた。
「確かにモドキだけど今は俺がお嬢様だし奥様もちゃんと認めてくれてる。ついでに言えば中身は三十路妻子持ちの男だからその対応でヨロシク」
「……………はぃ?!?!」
油断してマトモに俺の殺気浴びてよろめいた所に真実ブッ込んでトドメも刺しといた。俺の言葉の意味を理解するのはまだ少し先だろうが、先制して自分の味方に引き込む為にはこの際は有効手段だし。
「……というワケで今後も宜しく、執事長サン♪」




