22話、この犯人クビにしてもイイですかね?
「変に隠し事をしてはいまいな?」
「わたくしが隠してどうなりますの?そもそも隠したくて隠せるような事柄でしょうか?神殿にとっても国にとっても重大事でしょうに」
陛下の問いにコテリと首を傾げてトボけてやる。
俺は見た目8歳の少女、か弱い乙女なのだ。
寵妃と王子が指摘した外見と雰囲気の変化も、祝福を切っ掛けに大人の自覚を持った風を装った。で、バッチリ騙されてくれているみたいだね皆様。
陛下も疑問視したからでは無く念のために聞いただけみたい。俺のすっトボけた答えに明らかにホッとした顔したからね。騙されやすさがチョロ過ぎですぐ表情出る事に不安を抱かせる国王って……。
そもそも子供がこんなしっかりした答えを返す事に違和感覚えろ、隠し事なんて手段次第で幾らでも出来るのだと少しは危機感持って普段から生きろと。
国を背負ってる自覚を持ちやがれ!と言いたい。
うん、もう声を大にして言いたい俺としてはだ。
ホント大丈夫なのかこの国?!
『国を治める者を騙す不届き者など居ない』。
何で無条件にそう思えるのかね?コイツらは。
いや普段はもう少し違うのかもだから、そうなると思うその要因は『俺が子供だから』だろうか。
後でお母様に確かめてみたら、どうやら最大の要因は今までのお嬢様のお陰じゃないかとの事。
あー……婚約者に盲信してたからねぇお嬢様。
今じゃんなモン欠片も残っとらんけどなっ!!
*****
「ホントに変わったわよね、貴女」
「弱さを棄てただけですわ、お母様」
嘘はついて無ぇよ、俺は。
『弱さ』でお嬢様は自らこの世界から退場し、その余波で『弱くない』俺がお嬢様になったんだし。
どーいうコト?とばかりにお父様が首を傾げているけどそれは放置。城から戻った俺を待っていたお母様と向かい合えば、結果よりも先にこの質問。どうやら母親はお嬢様の変化に疑問を抱いたらしい。
まぁ母親だもんね当然かぁ。
自分も親だから良く分かる。
どんな子供でも受け止めるつもりだけど、でもそれならば納得のいく為にも理由は知りたいと。
別世界でウチの長男も似た状況になった。
でも俺の場合は元々それを知っていたから心構えも出来てたし変化にも自然に対処出来た。
けれどもお母様は知らないから対処出来てない。
子供を信じたいけれど無理だとのジレンマだ。
この問題は遠からず浮かぶ関門だろうと常々俺も思っていた。ただ思っていた時期より早かった。
やっぱり母親は強いね。特にお母様は。
……お父様?未だに首を傾げてる時点で察して。
*****
隠し続けるつもりは元々無かった。
ただどう説明したモノか……と迷ってた。
後は『何処まで明かすか』という辺り。
そりゃ別人なのを明かすのはこの際だけどさぁ。
お嬢様は『男』なんですよ!って言えるか?!
身体は変化済みだから証明の仕様は無いけど。
それでも俺は『男』だからね、現実に実際は。
奥さん居て、息子二人に娘一人の計三人の子持ちな三十路の親父だからね!これホント!!
そうだとすると変わり過ぎだろ俺……。
改めてガックリ来てしまうこのイヤな現実。
思わず座ってる椅子に懐きたくなったわぁ~。
何を言われようと、覚悟を持って現実を受け止めるべくな決意が垣間見得る、そんな固い表情で俺を見つめて手を握りしめたままのお母様。
未だにお察し能力ゼロの助だが、珍しく空気を読んだか真面目な顔して一緒しているお父様。
俺は意を決してある程度の事実を伝えるべく、それでも先に喉を潤す為にと先ずは置かれた紅茶に口を付けた。かなり冷めてますが仕方ないでしょう。
……ってオイ?!
誰ですかね?こんな罰ゲームばりな激渋紅茶を入れたヤツ!?危うく噴き出すトコだったわっ!!
犯人、出て来いやあぁぁーーッ!!?




