21話、馬鹿で少し遊んでもイイですかね?
「あら……、けれども不勉強で申し訳ないのですけど、殿下はもう神殿へと向かっても宜しい日程ではございませんでしたかしら?」
「そ、それは……」
頬に手を当てて首を少し傾げながら聞いてやる。
そもそもこの件について自分の事を『俺』が聞いたのは前日では有ったので混乱したが、それはたまたまのタイミングだっただけで、後で思い起こせばきちんと前から聞かされていた。
その時にちょっとだけ聞いた限りだが、一番良いのは誕生した日になるべく近い日かその当日なのだが、都合のつき難い者も居るので余裕を持たせた前後1ヶ月から受け付けているとも確かに聞いた。
殿下と俺の誕生日はあまり離れてはいない。
なのでそれからいけば殿下にももう祝福を受ける資格が生じている事になるのだ。さっさと行って能力をハッキリさせた方がお得だと思うのだけど。
なのに何故慌てるのだろうか、ねぇ?
「ただ行って水晶に手を触れて、それでおしまいな簡単な作業ですわよ。怖いなんて仰いませんわよねぇ?わたくしでも一瞬で終わりましたもの」
「……その件なのだが良いかな?」
言葉も出ずに震えてる殿下、お子ちゃまね~。
羞恥で顔を真っ赤に染めた殿下をそうからかっていると横から陛下が入って来る。どうやらようやく本題を聞く気になったようだ。遅ぇよ!!
*****
祝福を受けた子供が居れば神殿から特“異”能力についての報告は必ず城へと向かう。公式な記録を残すための大事な作業の一環なのだコレは。
ただしその希少性を保つ為に公表は控えられるが。
そして王族には真っ先に報告が行く。
特に今回は第一王子の婚約者が対象なのだ。
光の速さで報告書が作成されて早馬で出されているのを目の前で見てましたからね、俺は。
神殿は基本的には祀られた神への民の信仰心から成り立つ。けれども特“異”能力に関わる神殿はその特殊性から貴族のみ、それも王家と能力持ちの高位貴族の関わりによって成り立っている。
そして何より神殿側の信頼は王家よりもむしろ貴族達に重きをおかれている。最大の理由は寄付金の違い。ここ数代の王家は神殿への寄付金をケチっているのが決め手。人はパンだけじゃ生きられないの。
そして最大の寄付金出すのが我が公爵家。
だからこそ今回の報告書に公爵家の思惑が反映出来たし神殿との連携も為されたんだけど。
そんなこんなで王家へと報告書は送られた。
そうして公爵令嬢の能力は“無効化”であると王家は知って、確認と婚約者への顔合わせも兼ねて城へと呼び出した、って言うのが今回の顛末ね。
*****
「どのような能力なのかを本人がきちんと把握しているのかを確認したくてな」
「神殿の神官にも教えを請いましたから大丈夫だとは思いますが。“無効化”とは過去にもその能力の持ち主が居らっしゃったと伺ってますし」
確か……。
1、自分と契約した相手の毒を“無効化”出来る。
2、相手の魔力量に比例して“無効化”がされる。
大まかにはこの辺りだろうか。
まぁその前に『絶対』が付く俺は、望んだ相手なら契約せんでも勝手に価値が付属されるようだし、魔力量が∞だから常に能力は発動されるようだが。
あくまでも推論だし秘密だけどな!!
俺の能力の発現に立ち会った神官とは全員と秘密を漏らさない旨を宣誓させ、その上で神前契約で縛って神殿からは一切関知しないと徹底させた。
金の力が半分位は働いたのは凄ぇよなぁ。
普段からの積み重ねって大事なんですね~。
あ、ついでに神官達にも“絶対無効化”の恩恵は授けてある。毒も効かずに悪意や害意すらはね除ける祝福能力なんて生きてく上では最高の恩恵だし。
神官も立場が上がると色々あるみたいだしね。
寄付金の増額より喜ばれましたよ実際。
使えるモノは何でも使わないと、ねぇ?




