19話、慇懃無礼を地でイッてもイイですかね?
頭は下げつつ心の中では舌を出す。
でもどうせ見えないのだからと思いっきり舌を出しておきましたよ、俺。一瞬ずつだけどね。
相手は陛下と婚約者と寵妃に一回ずつ各平等に。
8歳の小娘を、結果としてはお父様同席出来たけど一人で呼びつけ、尚且つ広大な謁見室で上段から親子揃い踏みで威嚇するヤツに払う敬意はナイ!!
とまあ態度で示してやったワケでして。
淑女としてはアウトだろうが見えなきゃイイのよ。
そしてその目論見通り、小娘に舐められたと気付きもせずに偉そうにふんぞり返ってますからね。
ちなみに寵妃、その席は正妃用だからね念のため。
当たり前に腰掛けてんじゃ無ぇぞコラ!だわ。
それにしても異様さMAXですね、この会場。
檀上には座ったままふんぞり返る王族二匹+一匹。
(だって寵妃は厳密には王族じゃナイし)。
その眼下には普段ならばひしめく臣下一同は居らずに俺とお父様の二人のみ。うん異様だわ。
頭を上げよとの言葉で姿勢を正す。
ただし視線はまだ伏せたまま。ココが実はミソ。
そのまま視線も上げるのは不敬なんだと意味不明。
けども知らずにしてしまって咎められる未成年が続出する夜会が有るのがこの国行事恒例だそう。
もう最低極まりない王族だよね、コイツら。
しかもわざと教えずに咎めては陰で笑って喜ぶのが定番だっていうんだからさぁ、ホント最低。
なので実際俺が視線を上げずにいたら舌打ちが三つはっきりと聞こえたからね。いやホント最低。
こっちも負けずに舌打ちしたろか?おぉん!?
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下劣極まりない、けれども自分よりは身分の高い王族相手に喧嘩売るには?
そんなのは物凄ぉく簡単だ。
一匹だけ紛れ込んだモドキに絡んで落とせば良い。
つまりは格下“だけ”下げ捲って慇懃無礼を貫く。
普段から息子に金魚の糞なこの寵妃。
自分には預かり知らぬ政治要素で決まった婚約に腹を立て、常々お嬢様を標的に攻撃を仕掛けて来た過去がある。いくら第一王子の母親だからって弱小男爵家出身な令嬢に政治的立場など零だってのに。
そもそも『寵妃』とはあくまでも公式名称なだけ。
実際には愛人に過ぎないから、相手にされなくなったら子供の有無次第では立場などすぐ崩壊する。
そういう意味でならばコイツは勝ち組に入るか。
第一王子産んでるし、一応まだ陛下の寵愛得てる。
でも逆言えば正に『それだけ』だからね。
じゃあ何故今まで優位に立てたかと言えばだ。
偏に愚かだったかつてのお嬢様のお陰なのだ。
5歳で婚約者に一目惚れして盲信し撒くったお嬢様はそれ故に逆らう行動を一切取らなかった。
第一王子だけでなくその母親たる寵妃にもね。
それを別の勘違いから増長させたのがこの女。
自分が偉いから逆らわないのだと思ったらしい。
いや実際にはあり得無ぇからそれこそ、さぁ。
結婚すらしてない愛人だから未だに公式身分は子爵令嬢のままなんだもん、コイツ。
翻ってお嬢様は公爵令嬢。
(年齢的に寵妃令嬢じゃ無ぇだろ?はさておき)。
男爵と公爵の間の壁の高さはエベレスト並み。
(解りやすさを増すべくな公式?比較値)。
身分差絶対なこの国としてはあり得ない歪み。
正した所で誰も表面上は咎められない事なのだ。
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何で誰も気付かなかったのかね?この事実。
いや、気付いてはいても気遣う相手じゃなかったから放置したのが正解かも。だって公式の場には出れても付属品に陛下か第一王子が伴わなければ誰も積極的には絡まないそうだからね、毎度の如く。
後ろ楯になれる強力な親族は居らず。
家格から側妃にすらなれなかった形だけの寵妃。
だというのに勘違いも極まれりな虎の威を借る狐を貫き上から目線で偉そうな態度を崩さない。
そりゃ誰も絡みゃせんわなそんなヤツ。
潰せばむしろ感謝されそうしですねぇ。




