12話、鼻から魂脱け出させてもイイですかね?
その内容は推して知るべし。
婚約者との顔合わせも兼ねて遊びにいらっしゃい。
(意訳・さっさと能力報告兼ねてご機嫌伺いに来いやコラ!←あくまでも主観のみ)。
なんつぅかね……、上から目線が滲み過ぎ。
いや。滲みも過ぎればただのれっきとした主張。
傲慢な質じゃ無いってお母様評価だったけど、この内容から推し測るとそれも少し可笑しい。
まぁどうせ会うのだ、それで判断しようかね。
登城日付は3日後となっている。
ちなみにこれでもかなり無理やり予定を抉じ開けて捩じ込んだそうな。うん、有り難迷惑。
本来なら陛下への謁見は、先方の(勝手な)都合上最低でも申し込んで半月は軽く懸かる。私的や緊急に会うならまた話は別みたいだが。
今回は正式な公務に該当するので無理やりだった。
うんもうひたすら有り難迷惑ぅ。
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先ずそこで急遽こっちの予定までもが狂った。
朝一番に決めた身の回り一切断捨離。
『気分一新、どうせなら隅から隅まで』をモットーとした為に、部屋着すらお母様から拝借して縫い直して着ているのが今の俺。
なので真っ先に召喚したのは服飾商人。
けど注文するモノの面倒臭さが倍増したカンジ。
ちゃんと公爵家御用達の、デザイナーとプランターとお裁縫自慢お針子達からなる精鋭部隊を従えた王都でも指折りの有名店。
ちなみに部隊はお父様、お母様、そして俺のそれぞれ個人で別れているそうです。
今回はお母様隊とお嬢様隊を合同で呼んだ。
理由は二つ。
一つ目は、1着のみだが納期が鬼より厳しい悪魔レベルで最上級ドレスを造らねばならぬ事。
二つ目は、言わずと知れたお嬢様隊への大幅な趣味の方向転換を指示しなければならない事。
なので今回のメイン隊はお母様隊となる。
お嬢様隊には、サイズなどの情報提供と嗜好に対する意識の切り替え、そして作製現場でのお母様隊の補助役を頼む。量は扱い方次第で力になるからね。
趣味趣向がほぼ180度、つまりは正反対と化したお嬢様に、隊の全員が呆れ返るかと思いきや、何故だか感謝感激雨アラレされた。
何でも我等がお嬢様の好みは世のお子様憧れのお姫様仕様だが、プロの彼女らからすれば勿体無いを地で行くトンデモ鬼畜所業だったそうな。
何度草葉の陰で涙に暮れたか……だとさ。
「清涼感が漂う閑な水辺に極彩色の宮殿建ててる気分でしたからね、今までは」
「上品な薄味料理の皿の中に一品だけ激辛料理が紛れ込んでいると言うか、今までは」
「厳かな神殿に捧げられる供物が生きたまま大量に運び込まれて放置されてた様な、今までは」
口々に目の前でそう言われた。
皆様の表現力に突っ込みたかったが黙っとこう。
ただもうチョイ考えて喋れや、最後のヤツ。
うん何かイロイロとスマンね……。
厳密には人違いなので納得いかんが仕方ない。
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これからは思う存分実力が発揮出来るー!!と感激な服飾商人精鋭部隊の皆々様が去った後。
その跡地には俺の生ける屍が遺された。
ただ立って、指示通りに腕上げたり下げたりするだけな筈なのに何故こんなに疲れるのか?
ちなみに脱ぐのも着るのも全て人任せ。
そして始まったドレスの脱いだり着たりの連続。
聞いて驚け!ざっと2時間ぶっ通しが通常だ。
俺はお子様なので合間に休憩挟んで2時間だったけど、大人のお洒落な女性ならごく当たり前フルコースの平均所要時間だとさ。お母様もそうですと。
鼻から魂が脱け出しかけてる気がする。
行儀悪くてもソファーに寝転んで休憩する。
ちなみにまだ家具も届かない(一朝一夕で届くお値段な代物ではナイ)ので、倉庫から引き出した代用品ただけど高級品だから充分休める。
実感しました。女性って凄いわぁと改めて思うの。
お母様も改めて尊敬したわ、見習わないけど。




