スポーツドリンクは甘いの?酸っぱいの?
僕の名前はタクマ。高校2年生。今は放課後の野球部の練習に奮闘していた。
ひとしきり練習で汗をかいていると、後ろから耳馴染みのある声がした。
『おつかれさま、タクマ。』
『あぁ、おつかれ。』
この子はユイ。小さいころからずっと一緒にいる幼なじみ。一緒にいるからか兄妹みたいな感じだ。ちなみにユイは野球部のマネージャーをやっている。
『あー今日もあっついね~。はいタクマ、タオルとスポーツドリンク。』
『おっ、サンキュー。ゴクゴク…』
俺はユイからもらったスポーツドリンクを思いっきり飲むと、プファーと心地いい声を出した。
あまりに美味しそうに飲む俺がを見てユイが言う
『ゔー、私も喉乾いたー。あ、そうだ…』
ユイはニヤリとした後、俺の持っていたスポーツドリンクを横から奪いとる
『タクマのスポーツドリンクもーらい!』
『あ!おい、やめろよ!俺のだっつーの。』
『いいじゃんいいじゃん。いっただきまーす。』
そういってユイは俺のスポーツドリンクを飲み始めた。俺が一度口をつけたのも気にせずに。
『プファー。甘くておいしかった。タクマ、ありがとねー。』
『ま、まぁいいけど…ほらユイ、お前マネージャーの仕事まだあんだろ。早くいけよ。』
『あ、いっけなーい。じゃあ、また後でねー。』
そう言って俺はユイからスポーツドリンクを取り返した。その後、自分もなにも考えずにユイが口づけた後のスポーツドリンクを飲み始めていた。
『あ、間接キス…』
突然女子クラスメートの佐久間が俺に向かってしずかに突っ込んだ。俺はその一言に思わずスポーツドリンクを吹き出してしまった。
『ブファ!ゲホゲホ・・・。もう、佐久間じゃん。なんだよ急に。』
『だって…今君が飲んでるスポーツドリンク、さっきユイちゃんが飲んでたやつじゃん。私、見ちゃったし。』
『あ、そういえば・・・』
ふと、我に帰る自分。続けて彼女が言う。
『ほんとに二人って仲がいいんだね。
…付き合っちゃえばいいのに。』
俺は彼女からの突然の一言に
『いやいや俺たち幼馴染だし、それはないって。』
と即座に否定した。しかしどこか納得のいかない彼女。
『ほんとに?それじゃあ、私がタクマくんと付き合っても問題ないってことよね。』
『えっ、それって・・・』
動揺する俺に彼女は続けてこう言った。
『私・・・タクマ君のこと、好きだよ。』
彼女は、まっすぐな目で俺を見つめる。彼女の急な告白になんとか自分を落ち着かせるため、俺はスポーツドリンクを一口飲んだ。
『あ、あれ?…なんか、酸っぱい。』
それは疲れのせいなのだろうか、それとも俺の心の混乱なのだろうか。
今飲んだスポーツドリンクは、さっきよりもどこか酸っぱく感じた。
(おわり)






