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エーテル・グレイス  作者: クロビー
序章 アルストラ王国編
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王都グリニア

 俺とジオルクはギルドを出て、街中を歩く。


「俺達のようなギルドはこの王都グリニアには沢山あるんだ。俺も正確な数は分からねぇが、ここ最近はかなり増えてきてるな」

「そうなのか。でもギルドっていくつも作る必要があるのか?」

「ま、所詮個々のギルドは個人で経営してるに過ぎないからな。ギルマスを気に入らない奴がギルドを抜けて新しくギルドを作るって話はそう珍しくないしな」


 ギルドは個人経営か……。一般人からの依頼とかもあるみたいだし信頼出来るかどうかは重要っぽいな。


「ほとんどのギルドはギルド管理協会の近くに拠点を置いてるとこが多くて、そこはギルド街って呼ばれてるぜ」

「月猫団は何でそこに拠点を建てなかったんだ?」

「単純にギルマスの資金不足だな」


 月猫団が小規模だと言われるのもそれが原因だろうか?

 ギルド管理協会ってことはギルドの規則を決めてるのもそこだろうし、近いに越したことはないのだろう。


 ジオルクと話ながら街を歩いて行く。飲食店や服屋、宿屋などいろいろ説明してくれた。

 どうやらこの世界は肉は安くて、野菜や穀物など農業によって作るものの方が高いみたいだ。理由としては魔物から肉が手に入るからだとか。


「ジオルク、あの子らは何だ?」


 俺は五人の子供の集団を指差す。気になったのは全員が同じ服を着ているという点だ。


「あの子達は学院の生徒だな」

「学院? 教育機関があるのか?」

「アルストラ国立魔術学院。世界でも数少ない魔術を学ぶ学校だな。お前と同じくらいの奴も通ってるぞ」


 教育機関で魔術を学べるということは一般人にも魔術は浸透しているということなのか。あの城の建築技術やら生活水準の高さやらには納得がいく。

 しかし、魔術の便利さ故か科学はあまり発展してないように感じるな。城の浴場は魔道具というもので水を張って温度も調整していたし。


「ま、俺は学院に行かなかったんだがな」

「何で行かなかったんだ? 魔術って便利なんじゃないのか?」

「魔術ってのは確かに便利なんだがそれ以前に魔力が低いとそれだけ扱いにくくなるんだよ。一時は練習してたんだが、覚えるのも一苦労だから諦めたんだ」


 なるほど……。魔力は魔術の扱いやすさに繋がるのか。だから、魔力の高い俺達はこの世界に召喚されてってことか。そして魔力の低い俺は王様に残念がられたのか。


 ただ魔力が低いからって差別されることは少ないのだろうか? ジオルクは魔力が低いと自分で言っているがギルドにも入れてるしな。


「さて、あらかた見て回ったし最後は俺の店に行くぞ」


 ジオルクはそういうと少し足早に歩いて行く。


「ここが俺の店だ」


 そう言って連れてこられたのは街の広場から少し外れた通りだ。

 店の前で話をするのもあれだからと中に入れさせてくれた。


「これは……、鍛冶屋?」

「そうだ。武器や防具を売ってるところがあるが俺はそれに加えて受注生産なんかもしてるぜ」


 受注生産ってことはジオルクは自分で武器や防具を作れるのか。


「じゃあ、ジオルクが背負ってるその大剣も自分で作ったものなのか?」

「あぁ、俺お手製の自慢の一品だぜ」


 なるほど……、鍛冶の腕は確かなものみたいだ。


「もし武器とか買うならぜひうちで買ってくれ」

「あぁ、武器が必要になったときはここに来るよ」


 俺の武器はナイフと刀があるからあまり買いに来ることはないと思うが。


 武器と言えば拳銃もあったな。

 弾の補充が出来ないから使わないことにしてるがジオルクは鍛冶屋だからこの世界にあるなら銃弾も作ってもらえるか?


「ちょっと見て欲しい物があるんだが……」


 俺はそう言い倉庫から拳銃の弾薬を一つ取り出し、ジオルクに見せる。


「なんだこれ? 一体何に使うもんなんだ?」


 知らないか……、だったら同じ物を作れるか聞いてみよう。


「何に使うかは聞かないでくれると助かる。これと同じ物を作れるか?」

「いや、無理だろうな。まずここまで小さく作る技術は無いな」


 まぁ無理もないか。この世界には銃が無いみたいだし銃が無ければ弾を作る技術が無いのも仕方がない。


「さて、これで街の案内は一通り終わったが何か他にすることがあるのか?」


 この世界を生きていく上で必要なものは……魔物と戦う技術かな。

 この世界で何の知識も無い俺が店で働くのは難しいだろうし、何より素性があやふやだから雇ってくれるところも無いだろう。となると……。


「魔物と戦う技術を教えてくれないか?魔物と戦ったことないからちょいとレクチャーして欲しいんだ」

「それぐらいなら構わねぇが……」


 ジオルクは少し悩みながら答える。


「そろそろ日が落ちる時間だし明日でいいか?」

「明日でも別に大丈夫だ。悪いな、いろいろ付き合わせちゃって」

「いいってことよ。お前はもう帰るのか?」


 これ以上やることも無いし魔物と戦うのは明日だ。

 帰って西園寺先生に今日のことを報告しとくか。


「あぁ、そろそろ帰るよ。明日は昼からで頼めるか?」

「おう、準備が出来たらここに来てくれ」


 明日の約束をすると俺は店を出て、城へと戻ることにした。

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