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エーテル・グレイス  作者: クロビー
序章 アルストラ王国編
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再び森へ

 窓から入ってくる日差しで目が覚める。周りはいつもとは違う景色で、一瞬自分が何処に居るのか分からなくなる。


 ……確か昨日宿を借りたんだったな。最近いろんな場所に変わるから頭が混乱しそうだ。

 さて、午前中は何をしようか? 金が無いから買い物はできないしな。

 エナとの訓練は昼からだし……。昼からってだけで来るなとは一切言ってないな。よし森に行こう。


 服は……ジオルクの店で買ったやつを着ていくか。

 光学迷彩のスーツは使う機会は減るだろう。秘密裏に行動する必要が今は無いしな。


 俺は部屋を出てドアを閉める。

 一階に行き、時計を確認する。時刻は午前八時だ。街で少し朝食を摂ってから行こう。


 昨日と同じようにカウンターに居る女性に鍵を渡す。今日は怠そうにしておらず背筋が伸びていた。


「今日は怠そうにしてないんですね」

「昨日は二日酔いで朝から気分が良くなかったのよ」


 あ、この人駄目な大人だ。

 そう思いつつも、昨日の怠そうな声とは打って変わって、元気がある綺麗な声に少々驚く。


「君とはお互いまだ名前を知らないね。私はカレン=オズリック。この宿屋の店主よ」

「俺はアスカル=トキサカ。冒険者です」


 店主なら尚のこと二日酔いは駄目じゃん。大丈夫かなぁ……この人。


「月猫団の冒険者でしょ? 最近入った若い子っていうのは君のこと?」

「それなら多分俺ですね」


 月猫団のことを知っているのか。まぁ、隣の建物だし知らないほうがおかしいか。


「君がアスカルくんか〜。シェリアちゃんから話は聞いてるわ。確かにかっこいいわね〜。彼女とか居るのかしら?」

「彼女は居ないですけど……」


 何なんだこの人……。いきなりかっこいいとか言ってくるし彼女いるかどうか聞いてくるし……、なんかこう……初対面なのに人と壁が無い人って少し苦手だ。


「って、シェリアさん知ってるんですか?」

「知ってるよ。シェリアちゃんのお姉ちゃんだからね」


 シェリアさんのお姉ちゃんという言葉に少し固まってしまう。


 この人がシェリアさんのお姉さん……?

 それにしては似ていない。身長はともかく顔立ちが違う。そもそもシェリアさんは亜人だし……。

 何より一番違うのが胸! 壁と山が姉妹だと信じられるか? 俺は信じてしまうかもしれない。いや信じるのかよ。


 脳内でつい一人会話をしてしまった。少し前に、玲奈に気持ち悪いと言われ傷ついた記憶がある。

 治そうとしたこともあるが、結局癖というのは治りづらく諦めてしまった。


「そんなまじまじと見られると流石に恥ずかしいんだけど……。別に血は繋がってないから私が人間なのにも納得いくでしょ?」

「あ、すみません……。まぁ、確かに亜人のシェリアさんと血が繋がってるわけないですよね。はい」


 俺そんなに見てた? 自覚が無くなるほど人を魅了させるなんて……カレンさん、なんて恐ろしい人!


「あの子も元気そうにしてるけどいろいろ苦労人だからね〜。あ、そうだ。シェリアちゃんなんてどう?」


「どうって……何がです?」


 一応質問するが、さっきの会話から大方予想はつく。


「何って彼女によ? シェリアちゃんかわいいし君も嫌いってわけじゃないでしょ?」


「良い人だとは思いますが……。その……恋愛感情とかよく分からなくて……。彼女を欲しいとも思いませんし……」


 今まで女性を綺麗だと思ったり、同年代くらいの女の子をかわいいと思ったりしたことはある。しかし、付き合いたいと思ったことは一度も無い。


 別に性欲が無いわけではないから自分でもよく分からない。現状に満足しているということなのだろうか?


「そっかー。君はちょっと変わってるわね」


 カレンさんに変わっていると言われてしまった。良い意味でありますように。


「ちょっとー、お姉ちゃんまたお酒飲んだでしょー?」


 カウンターの奥の扉からシェリアさんの声が聞こえた。

 この時間ならシェリアさんはギルドにいるはずだし……もしかしなくても二つの建物は繋がっているのか。


「おっと……、話が長くなりそうだし君もそろそろ行くといいわよ。無駄話に付き合わせちゃってごめんなさいね」

「いえ、全然大丈夫ですよ」


 俺はカレンさんと話を終え、朝食を食べるために、昨日ジオルクと行った店に向かう。

 あそこは軽いメニューもあるし安いので世話になりそうだ。


 店に入り、メニューを決めて金を払う。五十バルグだった。この世界は食事には困らなさそうだ。


 現在の使用した金額は宿代を除けば食事代を朝昼晩で二百五十バルグ、浴場代が百万バルグとかなり安上がりだ。

 だが財布がスカスカだ。貧乏すぎる……。


 運ばれて来た料理を食べて朝食を軽く済まして森に行くべく、街の外へと出た。


 いきなり森に入っては確実に迷うので、エナに運ばれた場所まで行く。

 そこから真っ直ぐ森の中心へと行くように行けばエナの家に辿り着くはずだ。


 俺は森の中へと少し入ったところで木に魔法陣が刻まれているのが目に入る。


 何故こんなところに魔法陣が……?


 俺は気になって、その魔法陣に触れようとする。


 バチッ――


 触れる直前に電気のようなものが流れて手が弾かれた。

 再度触れようとするとまたしても手が弾かれた。どうやら厳重にされているようで今の俺では触れられそうにない。


 魔法陣が気にはなるが、どうすることもできないので放置して今はエナのところへ向かう。


 俺は森に入り真っ直ぐ突き進んで行く。

 森にはきのこの魔物や木の魔物がおり、少しでも金になるだろうということで前に居る魔物を倒しながらエナの家へと向かった。


 ……辿り着かねぇ。確かに真っ直ぐ歩いていたはずだよな? もしかして途中で変な方向に進んでしまったか?

 同じ様な景色ばかりが続くから真っ直ぐ進んでるなんて分からないしな……。

 とにかく進んでみよう。


 魔物を倒しながら歩き進んでいるとようやくエナの家に辿り着くことができた。

 途中で見えない壁みたいなものに阻まれたが俺の超能力で突破した。その拍子にガラスが崩れるような音が聞こえたが気にしないでおこう。


 森の木々で太陽が見えないので、どのくらい時間が経ったのかは分からない。だが一時間近くは経っているのではないだろうか?

 階段を登り、家のドアの前に立つ。


「おーい、エナ居るかー?」


 家の外から呼んでみるが返事は無い。何処かに出掛けているのだろうか?

 勝手に家に入るのは気が引けるし外で待っておくか。

 この辺には魔物が現れないし身構える必要も無いだろう。


 その辺の木に寄りかかり、適当に座ると少し眠たくなってきた。

 木漏れ日に照らされながら、俺は眠ってしまった。

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