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エーテル・グレイス  作者: クロビー
序章 アルストラ王国編
15/72

依頼達成

「これで三つ目だ」


 俺はダイハ鉱石を拾い上げると倉庫へと入れる。倒したオアトスの合計は五十体あたりから数えていない。

 一つ目のダイハ鉱石が八体目で落ちたことで珍しいと言えど、普通に落ちるかと思っていた俺はやる気満々で次々と魔物を倒していたが一個目以降中々落とさなかった。

 三十体倒したあたりからずっと同じことを繰り返す作業をしている気分だ。自分は機械だと言わんばかりに、魔物を倒しては素材を拾うという、魔物専用の殺戮マシンと化していた。


 日はまだ沈んでいない。少しだけ空がオレンジ色に染まっている。

 依頼の条件は達成出来たし、昼食を抜いていしまって腹が減っているので、足早に街へと戻ることにした。

 相当な数の素材を集めたので依頼の報酬を含めてそこそこの額にはなりそうだ。


 そう期待に胸を膨らませギルドへ戻ったのだが――。


「依頼の報酬で三千バルグと換金した分の千三百二十バルグ。合計で四千三百二十バルグね」


 予想以上に換金した額が少なかった。かなりの魔物を仕留めたし、量も決して少なくはなかったはずなんだが…。


「あのー…かなりの量あったと思うんだけど何でこんなに少ないんだ?」


「少ない原因はこの鱗よ」


 俺がシェリアさんに思わず疑問をぶつけるとシェリアさんはひょいっと俺が持ってきた魔物の鱗を手に取る。


「そこそこ硬いくせに少しでも手を加えようとするとすぐに壊れるの。だから加工に向かないし使いにくいしで需要が無いのよねぇ」


 まじか。つまり俺はゴミをせっせと集めてたってことなのか……。ギルドで換金してくれるだけ有り難いと思わないとな……。

 というかそんなゴミですら換金してるけどその財産は一体何処から手に入れてるのだろうか?

 依頼は民間から直接受けてるらしいし、買い取った素材は民間に売るらしいからシェリアさんの手腕だろうなぁ。


「まぁ、取り敢えず四千三百二十バルグだな。ありがとう」


 俺はシェリアさんに礼を言い、ギルドを出る。

 広場にある時計の時刻は午後四時を少し過ぎている。

 優先順位としては宿の確保が第一なので近くの宿屋へと入る。近いというかギルドの真横だけど。


「いらっしゃ〜い……」


 宿屋に入ると女性の声が耳に入る。

 声がした方を見ると何故かカウンターで怠そうにしている女性が居た。

 胸が机に押し付けられているせいで、ついチラチラと見てしまう。彼女を視界に捉えようとすると、その柔らかそうな胸が見えてしまうので目のやり場に困る。

 落ち着け俺。要件を話したらさっさと部屋に行こう。

 俺は宿を借りに来たので女性にそのことを伝える。


「部屋を借りたいんだけどいくらですか?」

「一日千バルグね」

「これでいいですか?」


 俺は倉庫から千バルグ取り出し女性に渡す。


「じゃあ…はいこれ、部屋の鍵ね。ここを出るときはこっちで預かるから忘れないようにしてちょうだいね」


 女性から鍵を渡され、部屋へと向かった。

 一階は食事を提供していて二階に部屋がある。なかなか広い宿屋だ。


 部屋の中はベッドと椅子とテーブルがあるくらいで他は特に何も置いていないスペースはそこそこ広く、一人で借りるには十分だ。

 というよりあっさりと部屋を借りられてしまった。もっと面倒くさいと思って先に済ませようと思ったのだが別に後でもよかったな。


 服を買いに行くので、部屋の鍵を先程の女性に渡し、宿屋を出て、服屋に向かう途中でジオルクと会った。


「あれ、ウルト鉱山から帰ってきてたのか」


 ジオルクは俺がウルト鉱山に行ったことを誰かから聞いたらしい。シェリアさんだろう。


「聞いたぜ。名前、アスカル=トキサカだってな。事情は知らねぇが、自分の名前は大事にしろよ?」


 改名した件もちゃんと伝えてくれているらしい頼りになるなぁ。


「分かってる。依頼に関してはかなり時間かかったけどな。一応達成できた」

「お、もうそんな腕前になってんのか。これからどこ行くつもりなんだ?」

「あそこの店に服を買いに行こうと思ってな。周りから直接は言われないんだがこの服目立つだろ?」


 俺はジオルクに自分の服を指差して言う。流石にジオルクも思うところがあったのか何とも言えない表情になっている。


「まぁ……確かにその服は目立つけどよ……。あの服屋って少しお洒落するようなところだからそこそこ高いぞ?」


 まじか。流石に金の余裕が無いのでそう高いところは控えたいな……。


「うちに在庫処分するつもりの安いやつが何着かあるから買っていくか?」


「何故鍛冶屋なのに服を?」


「前に言った≪刻印≫ってあるだろ? あれって服にも出来るんだよ。だから冒険者が服を買っていくことがあるんだよ。在庫処分のやつには刻印は無いけどな」


 服にも刻印出来るとは凄いな。この服は光学迷彩が搭載されているがそれと似たようなことが出来るのだろうか?

 なんだか在庫処分するやつを押し付けられたような気分だが、そこは利害の一致ということで納得しよう。


 街の広場から少し外れた通りへと移動し、ジオルクの店へと入る。


「ちょっとそこで待っててくれ。すぐに持ってくる」


 ジオルクは店の裏へと行ってしまった。相変わらず多種多様な武器や防具を売っている。そろそろ人前に出しても目立たない武器が欲しいし貯まったら買うか。

 店の売り物を眺めていたらジオルクが服を持ってきた。


「お前の身長に合いそうなのはこれくらいだ」


 ジオルクは持ってきた服をカウンターの上に置く。普通の服もあればコートなどもそこには置かれている。

 俺は赤や黄色の服はあまり好まないので申し訳ないが候補としては除外させてもらう。

 結局、着慣れている黒や灰色といった無彩色の服を買うことにした。


 ジオルクに頼んで店の裏で着替えさせてもらったがコートは少し慣れない。仕事の時はスーツで身軽だったため、コートを着ていると少し動きにくい。

 それなのに何故買ったのかというとかっこ良さそうだったからだ。

 男は黒のマントとかコートを見ると、ちょっと厨二心を擽られてしまうものだ。……俺だけじゃないよな?


 金に関してはまた依頼こなせばいいし、多少の出費は気にしない気にしない。


 俺はジオルクに服の代金、二百バルグを支払う。在庫処分ということでかなり安くしてくれたみたいだ。


「ありがとう。おかげで助かった」

「こっちとしても処分するよりは売れるほうがいいからな。何だったら武器を買ってくれてもいいんだぜ?」

「金に余裕ができたらそうするよ」


 流石にこの前の冒険者のように二十万バルグは流石に無理だ。それよりも目の前の生活で手一杯だからなぁ。


「まぁ、そこは無理に買ってくれとは言わねぇからよ。それよりこのあと予定あるか?」

「いや、特に無いが」

「なら飯屋に食いに行こうぜ。俺の奢りでいいからよ」


 飯屋か……俺はこの街に詳しくないし、ジオルクが連れて行ってくれる店なら安全だろう。


「いや、もともと俺も夕食は適当な場所で済ますつもりだったから自分で払う」


 俺とジオルクは店を出て飯屋へと向かった。

 ジオルク曰く冒険者が行くような店は広場よりジオルクの店があるような通りのほうが多いらしい。


 飯屋では百バルグを使った。妥当な金額だろう。

 途中で酒を飲んでいたジオルクが寝てしまってどうやって帰ろうか悩んでいると、たまたま店に月猫団の冒険者が入ってきたので、ジオルクのことは任せて俺は宿へと向かった。


 宿へと戻りカウンターの女性から鍵を受け取り、自分の部屋へと入る。

 女性は相変わらず面倒そうにしていたが一日中あんな感じなのだろうか?


 さて、部屋に戻ってきたわけだがやることが無いな。普通なら荷物整理とかするのだろうが全て"倉庫"で済んでるしな……。

 とにかく明日はエナに魔術を教えてもらうわけだしゆっくり休もう。

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