表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/5

其ノ五

 腕を折られた激痛に清三が身をよじる。

 騒ぎを横目に、寒月水が手拭いを何食わぬ顔で拾って袂に入れる。


「清三、てめえ恥をかかせやがって!」

 騒ぎを聞きつけて来た常造が清三を殴りつけ、下っ端に命じて奥へ引っ張っていく。


「先生、とんだ所をお見せしまして」

「お前は知らなかったと言うのか、常造」

「ここだけの話でどうか、親分にはご勘弁を」

 常造が紙に袖の下を包んで握らせる。


 事もなげにそれを受け取りながら、寒月水が三十六に向き直る。

「それにしても、お主には私もすっかり騙された。まさか別の賽を使うための方便だったとはな」

「あっしもすっかり騙されやしたぜ。瓢箪から駒とはこの事で」


「しかし負けたらどうするつもりだった。必ず勝つとは言えぬからな」

「まあ、それはもう良いだろう。本題は別にある」

「何だ?」


「先日ここに飾り職人が来て、負けた金のカタに、細工物の簪を置いて行ったはずだ。その簪をこれで買い取りたい。文句はなかろう」

「その事に文句はないが、少し面倒がある」

「何? 売ってしまったのか」

「いや、私がここに持っている。流すには惜しい品だったのでな。ただ、私も金を払って買ったのだ。気に入っているから、おいそれと手放す気はない」


「そいつは困ったな。そいつは誂えの品で納め先が決まっている。返して貰う訳にはいかんか? 何なら同じものを後で拵えても良い」

「まあ待て。金や物で済ますのは面白くない」

「だったらどうする?」

「事の起こりは博奕なのだから、もうひと勝負、私と勝負してもらおう」

「何だって?」

「お前は一本松に居る算術屋だな。見たことがある。だったら今度はそちらの土俵に私が出向こう」

 そう言って女用心棒は座を離れた。それを合図にして盆はお開きとなった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ