うつむくだけで。
俯くだけでいさせて。
見果てぬ道の境界線、あの先に未練はない。
見飽きぬ海の境界線、あの向こうに未練はない。
だから、このまま俯くだけでいさせて。
潤むことのない視線。
はにかむことのない口元は彫刻。
俯く顔は覗き込まないで。
見限る空の限界点、あの下に失望はない。
見謝る空の臨界点、あの上に失望はない。
だから、あのまま通り過ぎて。
思い出にも残らない同情に酔いしれる暇はない。
なんの因果も絡まない、一瞬の目配せで終わりにして。
だから、このまま置き去りで。
なんの関係も築けない、日常の調和を乱さないで。
俯いて、いつものことと呟いた。