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閑話3
今が昼なのか夜なのかも分からない。辺りは薄暗い。
此処はどこだろう。そんな当たり前の疑問ですらしばらく思い浮かばないほど朦朧としていた。
ぼんやりとした意識の中冷たい床の感触とひんやりとした空気で徐々に意識が戻って来る。
戻りつつある意識の中、ふと近くで人の気配を感じる。
その人物に目をやる。男性のようだ。横たわってうずくまっている。息も荒い。その様子から容態が良くないように見える。
私はおそるおそるその男性に近づいた。端正な顔を苦しそうに歪めながら腕から血を流している。このままではいけないと思い咄嗟に手当が出来る布を探してみる。広くはないこの空間には何もないし私自身何も持っていなかった。
ふと自分が履いている長いスカートが目に入る
「布…。あるじゃない…」
そう呟くとすぐにそれを破いて男性の腕に巻き止血をする。
男性は荒い呼吸をしながらぼんやりと私を見ている。
これで少しは大丈夫だろうか…。この男性は誰だろう…。どうしてそんなにひどいケガをしているんだろう
どうして私達はここにいるのだろう。