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マリアと王太子アルフォンスとの挙式から一か月後、今日はいよいよアランと私の結婚式の日だ。


前世の私はいたって普通の女性で仲の良い両親と賢いが時々うっかり屋のかわいい妹が一人いた。


私は22歳で結婚後子供にも恵まれ。優しく穏やかな夫に愛されて幸せな人生を送っていたのだが子供が2歳になったある日不慮の事故でその生涯を終えてしまった。

もっと子供の成長が見たかった事、優しかった夫と寄り添いながら生涯を共にしたかった事、その他たくさんやり残した事があった。


未練はあったが前世の私は幸せだった。


これからアランとの関係がどうなるのか不安で仕方ないが今の人生を精一杯歩んでいこうと思う。


侯爵家の結婚式は位が高い分規模も大きく王家ほどではないが、かなりの人数の招待客が訪れる。


挨拶や賛辞などで主役の私達も忙しく晩餐会が済んだ頃にはすでにくたくたになってしまっていたが部屋へ帰るなりメイドに服を脱がされ風呂に入れられた。

「さあ、ソフィア様 磨きあげますよ」

そういって微笑むメイドは幼い頃より世話をしてくれていて家族のような存在のベルカだった。


今でもヒロインのマリアに心酔しているアランの様子から私の侯爵家での扱いを心配して無理やりついてきたのだった。


夜着を着せられて夫婦の寝室のベッドに座わりアランを待つ。


全ての準備を終えベルカは部屋を出ていった。


初めて着たこの破廉恥すぎる夜着の格好が落ち着かず妙にソワソワしてしまう。

前世でもこんな格好はしたことがない。


落ち着かない様子でいると一つの疑問が沸いてきた。

いや、その前にアランは本当にここへ来るのだろうかと。よく愛されていない結婚での設定は白い結婚のままだったりする。

そうだ、マリアに操をたててきっとここには来ないわ。頑固で堅物なあの性格なら自身で納得しない事はしないだろう。

そんな事を考えていると唐突にドアが開いた。


ドアの向こうから夜着のアランが姿を現した。


私はアランが来たことに心底驚く。

「何故そんな驚いた顔をする」

内心、えっ来たんだ……。 えっ何で来たの!?とつい思ってしまった。

「いえ……」

私は忘れていた事が二つあった。一つはアランは律儀な性格であり約束は必ず守る人だった事。もう一つは婚姻条件に子作りがしっかり入っていた事。

それにしても彼と会話をしたのはいつ以来だろうか、記憶をたどるのも難しいくらい前だ。


いつ振りか分からないほど久しぶりのアランとの会話は開口一番私に衝撃を与えた。

「なぜ俺がお前なとど結婚しなければならなかったのだ。マリアをいじめていた浅ましく性格の悪い女などと」

吐き捨てるような言葉に私は絶句する。

まさに青天の霹靂とはこのことだろう、私にはマリアをいじめた記憶がない。何故そのような事になっているのか…。

「アラン、私はマリア様をいじめた記憶はないわ!誰がそのような事を言ったの?」

「マリアから聞いている。おまえはあろう事かマリアを階段から突き落とそうとしたり水を掛けたりしたそうだな。マリアが大切にしているものを壊したり隠したりしてあざ笑っていたとも聞いた」

そういうと憎しみと軽蔑の目で私を睨みつける。


まるで悪役令嬢が婚約者に断罪され婚約破棄される時のテンプレのセリフだ。実際にしかも初夜に言われるなんて想像もしていなかった。

「アラン、わたしはそのような事はしてないわ!証拠はあるの?目撃者はいるの?」


「そんなものはない。お前がどうとでもしたのだろう。もういい、俺はお前をもう愛してはいないし、これから先愛する事はない。子を産んだら愛人をつくるなり家を出るなり好きにしろ」


こうして結婚初夜、早くも前途多難な結婚生活が始まった。


 アランは私の隣に座ると乱暴に酒をあおりだした。かなり強い酒だ。

 持っていた杯を空にすると全てが乱暴に行われる。


 悲しくて痛くて涙が頬を伝う。

「マリア……愛している」アランが放った言葉に私は茫然とした。

 あぁ……最悪だわ……。他の女性を想像するなんて……。 

 

前世で25年間生きた人生は短いが幸せだった。その分辛い事も悲しい事も沢山あった。でもこんなに悲しくて辛い経験をした事はあっただろうか。初めてあったあの日からアランの事がずっと大好きだったのに。何故、今自分はこんな状況なのだろう。



私はその場でただボロボロと泣いていたのだった。


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