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アルフォンスの話


私の腕に絡みつき無邪気に笑う可愛らしい顔の女性はやっとの思いで射止める事が出来た妻のマリアだった。

 ロレインが側妃として輿入れすると入れ替わりに王宮を出てマリアと婚姻旅行へ行く為国外に出た。

 今まで国外に出たことがなかった私はこれから見るであろう様々な景色や街並みを想像して年甲斐もなくワクワクしていた。

 隣には愛してやまない可愛いマリアがいる。私は今幸せの絶頂である。


 ふと昔、子供の頃ロレインとした約束が頭をよぎる。

『いつか僕たち大きくなって結婚したらいろんな場所に行ってみよう。そして世界中を一緒に見て回ろう』


 そう言った私の言葉に嬉しそうに笑うロレインの顔を思い出す。

 しかし私はその記憶を頭の奥底にしまいこみ蓋をした。


 マリアが学園に来て彼女と接する回数が増えるごとに少しずつ彼女に興味を抱いていった。

 しかし私はロレインを心から愛していたのでそれ以上の気持ちを彼女に持つことはなかった。しかし時が経つごとにどうしてだろう、不思議と彼女の事が頭から離れなくなった。

 それから私は気が付くと何かにとりつかれたようにマリアに愛をささやくようになっていった。

 私は彼女を愛してしまったのだ。

 魅力的な彼女にはライバルが沢山いて私はさらに躍起になって彼女の気持ちを手に入れる事に必死になっていった。

 そうしてある日ある出来事をきっかけに私はマリアと結婚できる権利を手に入れたのだった。

 マリアの元々持っていたとても珍しい能力が覚醒して聖女となったのだ。


 聖女になったマリアには王妃になれる権利が与えられマリアはそれを承諾したのだ。

 これまで私の婚約者だったロレインは即、婚約取り消しになった。

 マリアが私の婚約者になってからマリアは相当の努力で王妃教育を受けていたがさすがに初歩の段階で一向に進まないその状態から私の父である現国王はロレインを側妃にする事を決定してしまった。

 私は後ろめたい気持ちのままその決定に応じ、マリアにも必死に説明して分かってもらったが彼女は嫌だと泣いていた。

 愛しているのはマリアだけでロレインが嫁いできてもそれは決して変わらない事。ロレインとは何もない事を粘り強く説明した。



 婚姻旅行で乗っている豪華な馬車は夕方、今日の目的地にようやく到着した。

 夕食をとりながら景色がきれいなテラスで愛をささやきあった。

 夜になりマリアと寝室のベットで抱き合っていると突然彼女は思いつめた顔をして私に話を始めた。


「アル、私、実は子供はほしくないの…ごめんなさい…勝手よね…。でもどうしても産みたくないのよ」


 なんてことだろう、彼女の言葉に茫然とした。

 私は将来王になるため当然跡取りが必要なのだ。一体どうしたらいいのだろう…。


 脳裏に一瞬ロレインの顔がうかんだ。


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