第七話
宿題提出の日。
エミィは発表者の一人に選ばれ、発表順は最後であった。
クラスメートのみんなはエミィの発表を静かに聞いていた。他の生徒たちは、『政府の借金が多くなったから、増税しなければいけない』とか、『増税に備えて節約をしなければならない』とか、そのような後ろ向きな内容ばかりであった。しかも、データや資料による裏付けのない話ばかりであった。
それに引き換え、エミィの説明は、財務省や日銀などの公表されているデータを元に分析されているので、客観性があったので説得力があった。
何より、エミィが言った、各家庭でできることは、児童たちには衝撃的だった。
「現在の政府の財政や国の経済の状況をしっかり理解したいと思いました。そして、エミィたち小学生のお小遣いが増やせるように、景気をよくするため、政府がデフレ脱却するように地域の政治家に財政出動をするように働きかけたいと思いました。そして、エミィたちが大人になったとき、困らないように経済成長させていきたいと思いました」
エミィの発表が終わると他の生徒たちが一斉に拍手をする。
「先生、僕の発表は間違っていたと思います。エミィちゃんの発表が正しいと思います」
他の生徒たちもエミィの発表に共感しており、先生も鎮めるのに苦労する。
いろいろ物議を醸したが、国の借金問題をこうして小学生たちが学んだのだった。