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第四話

「だから、不特定多数の人間に情報を発信するときは、ミスがないかちゃんと、注意しないとダメってことだね。エミィちゃんも気をつけようね」

「うん」

「エミィちゃんはいい子だー」

 パパはエミィの頭を撫でる。エミィは喜ぶ。

「やったー。宿題終わった」

「いや。まだ終わりじゃないよ」

「でも、大勢の人にお話をするときは、間違いないように注意するってことが今回のまとめじゃないの?」

「これはこれで重要だけど、今回のテーマの回答としてはまだまだ不十分だよ」

 エミィは拗ねる。

「じゃあ、まだ何が足りないの?」

「先生はきっと、国家や国民がお金を借りているのではなく、政府がお金を借りていることが分かったけど、その政府がお金を返せなくなったらどうしたらいいの? て、聞くと思うよ」

「え! 政府がお金を返せなくなることがあるの?」

「近年では、ギリシャ、他にはアルゼンチンとかがお金を返せなくなったんだよ。国がお金を返せなくなることをデフォルトっていうんだけどね」

「それじゃあ、日本もデフォルトしちゃうの?」

「今回のテーマで知らないといけないのは、それだよ」

「それじゃあ、デフォルトしない方法を考えないといけないんだ」

 エミィは、ゴールが見えたと思い喜ぶ。

「うーん。残念だけど、そういう風に考えるとゴールから遠のくかなぁ」

「えー」

「とりあえず、また原点に帰るよ。『国の借金とは、誰が誰に借りていると思う?』って聞いたけど、覚えているかい? お金借りているのは政府だとわかったけど、誰から借りているのかな?」

「外国じゃないの? あ、ちがう!外国から借りていたら対外負債が1087兆円ないといけないけど。さっき確か600兆ぐらい……」

「そうだね」

 パパはそう言うとさっき見た財務省のページをもう一度開くと、対外負債648兆6580億円と確認できる。

「全然足りない!」

「そうだね。つまり外国じゃないと言うことは今までの話からすぐ分かるね。では、答え合わせしよう」

 そう言うとパパは財務省の別のページを開くと『保有者に関するもの』という項目の『国債等の保有者別内訳 (平成30年9月末(速報))(PDF:140KB) 』をクリックするとPDFファイルが開く。すると国債保有の内訳がわかる。

①日本銀行43.3%469兆4050億円

②銀行等17.3%189兆3817億円

③生損保18.7%204兆1969億円

④公的年金4.2%45兆3032億円

⑤年金基金2.8%30兆6002億円

⑥海外11.6%126兆4862億円

⑧家計1.2%12兆8580億円

⑨その他0.9%10兆275億円

⑩一般政府(除く公的年金)0.3%3兆3342億円


「日銀が圧倒的だ~」

 エミィが驚く。

「ちなみに海外は11.6%で、全体の10パーセント程度だね。この資料だけだとわからないけど、これはほとんど日本と取引のある外国の中央銀行が持っているんだよ」

「へえ。でもなんで?」

「基軸通貨って前にも教えたと思うけど、覚えているかい?」

「えー。えーと」

「まあ、すぐには思い出せないね。国際為替市場で中心に扱われる通貨のことで、今ではドル。昔はポンドって教えたよね」

「うん」

 エミィは大きく頷く。

「では新しく別の通貨について教えるよ」

「覚えられるかなぁ」

「あとで、まとめるからその時にちゃんとメモを取ろうね。覚えるのはその後でいいよ」

 エミィは頷く。

「国際決済通貨について教えるね。

 管理通貨制度下で十分な信用があり、額面価額通りの価値が広く認められており、国際市場で他国の通貨と容易に交換が可能な通貨のことを国際決済通貨と言うんだ。そして国際決済通貨には、

①米ドル

②ユーロ

③英ポンド

④スイスフラン

⑤日本円

が含まれているんだ」

「ふーん」

 エミィはきょとんとして、聞いている。

「国際取引で、日本円で行われることもあるから、いざっていうときに、円が調達できないと困るから、備えとして保有している国があるってわけだ」

 エミィはまだ悩んでいる。

「つまり、日本の企業との取引で、日本企業が円で支払うように要求したとき、日本円が準備できないと困るよね」

「なるほど~」

「備えとして、持っているものだから、日本との取引がなくならない限り、まず売り払ったりしないものなんだよ」

「なるほど~」

「で、残りのほとんどが金融機関が持っているわけだけど、生損保、公的年金、年金基金を合わせると、25.7パーセントになるわけだけど、これもほとんど売られない」

「どうして?」

「絶対元本割れをしない安定資産で長期に運用する必要があるからなんだ。残念ながら利子はほとんどないんだけど、自分のところの金庫に現金で保管するよりかはましだからね」

「そうなんだ~」

「他には、銀行等と家計とその他、一般政府、そして一番大きいのは日銀だね」

「政府が発行しているのに一般政府があるのは変じゃない?」

「一般政府のうちのどこかの組織が持っているんだよ。高額の取引をする際、お金の代わりに代金としての支払いに国債が便利な場合があるからだと思うよ」

「高額の支払いって、お金の代わりに国債で買い物するってこと?」

「そういうことだね」

「ふーん」

「家計は個人向け国債だね。少額だし、個人の貯金みたいなもんだね。で、次は、銀行等と日銀なんだけど……」

「なんで日銀と銀行等と別れているのかなぁ。日銀も銀行等に含めてしまえばいいのに」

「いい質問だね。それは日銀とそれ以外の銀行等は大きな違いがあるからなんだよ」

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