第二話
プリントには、テーマに沿ってお父さんやお母さんと一緒に話し合うようにと書いてある。
「え、今どきの小学校はこんな宿題がでるの……」
ママは驚く。そして最後まで読む。
宿題 テーマに沿ってお父さんやお母さんと一緒に話し合って来ること
お父さんやお母さんがいない場合、身近な大人一人以上と話し合いましょう。
話し合った内容は発表できる形にまとめましょう。みんなの前で発表してもらうこともあります。
保護者様へ
テーマに沿って、一般家庭でどのようなことができるか、新聞、書籍、インターネット等を使い、事実を確認しながら、日本の未来を考えながら、各家庭でもできることを話し合ってください。両親一緒が難しいようでしたら、片親だけでも構いません。
テーマ 国の借金、1087兆円に増加 3月末、国民1人当たり859万円
財務省は10日、国債や借入金、政府短期証券を合わせた「国の借金」の残高が3月末時点で1087兆8130億円になったと発表した。長期国債の残高増加が影響した。2017年12月末と比べ2兆593億円増え、過去最高を更新した。18年4月1日時点の総務省の人口推計(1億2653万人、概算値)で単純計算すると、国民1人当たり約859万円の借金を抱えていることになる。
内訳は国債が959兆1413億円となり、12月末から2兆8893億円増えた。一時的な資金不足を穴埋めする政府短期証券は74兆6489億円と1兆1401億円減った。
2018/5/10 日経新聞から引用
「この宿題は、ママにも難しいわ。パパに見てもらうように頼みましょう」
「やったー」
「なにー。ママよりパパがいいわけ」
ママは怒った振りをする。エミィは笑う。
エミィとママは書斎を出て、パパのいる居間へ行く。
居間へ行くとパパはパソコンに向かって作業をしていた。
「パパ。エミィちゃんの宿題見てもらえないかしら」
「エミィの宿題も見れないほど忙しいのかい?」
「忙しいのもあるけど、宿題の内容がパパの方が適任じゃないかと思うの」
そう言うとママは、パパに先ほどエミィから受け取ったプリントを渡す。
パパは一読すると溜息を吐く。
「宿題見たくないの? パパの得意分野だと思うんだけど」
パパの様子を見たママが聞いた。
「エミィちゃんの宿題を手伝うのを嫌なわけないじゃないか。僕が不満なのはこのテーマだよ。小学生になんてものを教えようというのだろうね」
「そんな変なテーマかしら」
「小学生に考えさせるには不適切だね。でも、宿題である以上逃げるわけにはいかない。大人としてのけじめを付けつつ、大切なことをエミィちゃんと学んで見るよ」
「ありがとう。パパ。頼もしいわ」
「でも、宿題の前に晩御飯の準備を始めないと。宿題は晩御飯の後で良いかい?」
パパはエミィに聞いた。
エミィは大きく頷く。
「それじゃあ、晩御飯作るからエミィちゃん手伝ってくれる?」
パパが尋ねるとエミィは快く引き受ける。
「ありがとう。エミィちゃん大好きだよ」
エミィはお礼を言われて喜ぶ。
「ママ。晩御飯は一緒に食べられるかい?」
「うーん。今抱えてる仕事はどうにかなりそうなんだけど。あと、会社からの連絡しだいなんだけど。多分大丈夫」
「うん。わかった。ご飯出来たら声かけるね」
「お願いね」
そういうとママは書斎へ行く。
「それじゃあ、エミィちゃん。ご飯作ろう」