地上の星
相内 充希 さま主催「共通書き出し企画」参加作品です。
――祭りじゃ、祭りじゃ~。
それは、天上の白き宝玉と呼ばれていた。
いいえ、世代が流れ、社会が変わっても、未来永劫、人が人として生きる限り、それは、キラ星のように輝き続けるのだろう。
――永遠に。
夏の朝、駅のホームで、白い杖を持った老人が、上ってくるエスカレーターを前にして、コツコツ杖でエスカレータの階段を突ついていた。
――目の見えない彼は、どうやら、降り口と言うのが判らないようだった。
だが、朝の通勤時間帯のまっただ中、誰も老人に声をかける人は居なかった。
遅刻するかしないかの瀬戸際、みんなクソ忙しい最中、他人に構っている暇など有りはしないのだ。
そんな中、彼に声をかける人物が一人現れた。
見た目、……麗しいとは、口が裂けても言えないようなその娘は、迷うことも無く老人に声をかけると、彼の手を自分の肩に乗せ、エスカレーターの乗り口の方まで連れていく。
その瞬間、その娘の頭の上には、純白な輪っかが輝き、背中には双翼が有るように見えた。
彼女の容姿にも関わらず、だ。
きっと彼女の行為が、その娘を天使のように見させたのだろう。
――人は、それを『思いやり』、と呼び、人間を天上の白き宝玉の様に輝かせていくのだ。
永遠に。
妙に書きたくなってきたので、書きました。